何が人を動かすのか(21:45)
講演内容の日本語対訳テキストです。
自動スクロールはしませんので、映像に合わせてスクロールさせてご覧下さい。
私は、困難と興奮の両方を感じています。興奮は、この場で恩返しができるからで、困難は、私のセミナーは一番短くて50時間だからです(笑)。誇張ではないです。セミナーは週末にしていて、コーチングなんかをしていますが、イマージョン学習に興味があって―皆さんは言語をどう学びましたか? 基本を習っただけではないでしょう。何度も繰り返して身につけたはずです。
私がここにいる理由は、クレイジーな男だからというのは別として、やる気を引き出すためではありません。皆さんには必要ないですよね。みんなそれが私の仕事と思っているようで、大違いです。なんですが、「やる気なら間に合ってる」と言われることがあって、「私の仕事はそんなんじゃないですよ」と答えています。「なぜ」を探求するのが私です。人が行動する理由を知りたいんです。
皆さんを行動に突き動かすのは何か? 今、皆さんの人生を動かしているのは何か? 10年前と何が変わったか? それとも同じことを繰り返しているのか? 内的動機付けの見えない力こそが、世界で最も大事なものだと信じているからです。感情こそ、人生の原動力だと信じているからこそ、私はここにいます。この場にいる人は皆、素晴らしい心の持ち主です。まあ、大部分はそうでしょう? 他の分野はともかく、考え方はみんな分かっていて、何でも合理化できます。何だってできます。数日前にやっていた話には同意します。人は利己的に行動する、というやつです
でも、時にそれは当てはまりません。いつでも利己的なわけではないのです。感情がからむと、思考の回路が変わるからです。世の中のあり方について、私たちが知的に考えるのは素晴らしいことです。頭のいい人は、頭の中でゲームだってできます。でも一番知りたいのは「何が人を動かすのか」。
この講演の終わりまでに皆さんを説得したいのは、自分が今いる場所を探索するということです。理由の1つは、もっと貢献できるように。もう1つは、他の人をもっと理解し、もっと認め、今日の社会が直面する問題に歯止めをかけられる「つながり」を作り出すためです。私たちを繋ぐテクノロジーで問題は拡大するばかりです。テクノロジーで私たちは接し合いますが、接し合うことが必ずしも「皆が皆を理解し、皆が皆を認める」という視点を作り出しはしないからです。
私が30年間夢中になってきたのは「何が人生の質に違いをもたらし、何が成果の違いをもたらすのか?」ということです。それが私の仕事です。今すぐ結果を出すこと。それが30年間、私のやってきたことです。電話がかかってきます。全国放送で中継されるゴルフの試合で選手が大きなミスをして、5打差もあったのにコースに戻れなくなったと。即座に答えを出さないと、無に帰します。あるいはまた、電話で、子どもが自殺を図っていると。即座に何とかしなければならない。この29年間、ありがたいことに、私は一度もやり損ねませんでした。これから先もやり損ねないとは言えませんが、そうできた理由は、人間のニーズへの理解にあります。
そういった電話を受けたとき、問題なのはそこなんです。どうやって変えるか? それに、人が、自分を越えた何かに貢献する能力を形作るのは何か、ということも探求しています。だから本当の疑問が何かというと、人生を見ていると、2つ大きな教訓があって、1つは達成の科学。うまくいくものが、すべて、よく身に付けているものです。見えないものを、どうやって見えるようにするか。夢見ていることをどうやって実現するか。ビジネス、社会貢献、お金、何であれ自分、友達、家族、誰のためであれ。
一方で、身に付けられる人が少ないのは充足の技です。科学は易しいですからね。規則があり、コードを書けば結果が出ます。一度ゲームを理解すれば掛け金を上げられます。しかし、充足となるとこれは技です。というのも、それは認めることであり、貢献することだからです。自分で感じ取るしかありません。ある現実の疑問に答えるための面白い実験の機会があったんですが、その疑問とは「すべてを与えられた時に人はどう変わるか?」です。リソースや、なにか必要と言うものをすべて与えます。100ドルPCではなく、最高級のPCをあげます。愛や喜びを与え、彼らの満足のために尽くします。そうした人たちは、得てして、皆さんご存じと思いますが、愛・教育・お金・後ろ盾に恵まれながら、更正施設を出入りして人生の残りを過ごすのです。一方で、究極の苦難の中にある人々が、心理的・性的・精神的・感情的に虐げられながらも、社会に大きく貢献することがあります。
これはどういうことなのか、我々は問わねばなりません。我々を形作るのは一体何なのか? 我々はセラピー文化に生きています。その意味は、すべては過去で決まると思い込んでいるということです。そのように考えているなら、そもそもこの場にいないでしょうが、多くの社会で、人生は運命だと考えられています。過去と未来に違いはありません。そこに生きていればそうなります。この場のみんなが知っていて、思い起こさなければならないのは―というのも、何をすべきか頭で分かっていても、実際やるとは限らないので―思い起こすべきなのは、決断には究極の力がある、ということです。聞いてみましょう。人生で重要なことを達成しそこねたことがある人は「はい」と答えてください
(観衆)はい
熱意ある参加ありがとう (笑)
なぜできなかったのか。部下や、パートナーや、自分自身に、失敗した理由を聞いたならどう答えるでしょう? 知識が足りなかった。資金がなかった。時間がなかった。技術がなかった。マネージャーがダメだった。
(会場最前列にいた)アル・ゴア:連邦最高裁がダメだった
それでは―(拍手) 連邦最高裁も含め ここで共通しているものは何か?(笑)リソースが足りなかったと言います。それはその通りかもしれません。資金や、連邦最高裁の問題かもしれない。でも、それは決定的要因ではないんです(拍手)。間違っていたら正してください。決定的要因はリソースではなく、問題解決力です。私が言いたいのは、もし人間的な感情があるなら、これは一昨日のあなたの姿に強く見出したものですが、もしあの感情をもって話していたなら、きっと勝っていたはずです(拍手)
まあ、どうすべきか言うのは簡単ですけどね(笑)「ロビンズのばかが」と。でも、あの時討論を見ていて、この人の知性や能力に対する理解を妨げる感情がありました。それが、あの日、ある人々に訪れたのです。あなたに投票したかったのにしなかった人がいるのを知っています。私は苛立ちましたが、そこにはある感情があったのです。私の言うことが分かる人?
(観衆)はい
つまり、感情なのです。適切な感情を持ったなら、何だってやり遂げられます。クリエイティブで、陽気で、楽しかったなら意志は通じるでしょ?
(観衆)はい
お金がなくても、創意と決意で道は見つけられる。それが究極のリソースなのです。でもみんなが言い訳する話は違っています。みんな、いろんな言い訳をします。リソースがどうとか。でも究極的には、達成できなかった言い訳は―その次のスライドです―誰かさんのお陰ですっかり調子が狂いました(笑)。熱意は評価しますよ(笑)
リソースを決めるのは何か? 決断が運命を作ると言いました。その決断には3つあります。何に集中するか、集中するところをすぐ決める必要があります。意識するにせよしないにせよ、集中するものを決めた瞬間、それに意味付けするようになり、そして、意味は感情を生み出すのです。これは終わりなのか始まりなのか? 神は罰しているのか報いているのか、あるいはサイコロの目に過ぎないのか。そして、感情が行動を引き出すのです。
決断が運命を開いた時を思い起こしてください。重たい話に聞こえるでしょうが、ここ5年・10年・15年で、もし違う決断をしていたら、人生がまったく違うものになっていた。そういう例をいくつ思い付くでしょう? 良くも悪くもありますよね?
(観衆)はい
結果は、勤め先だったり、人生の伴侶だったり、仕事上の決断かもしれません。ここにいたGoogleの天才たちは、最初、技術を売るつもりでした。もし彼らが、自ら文化を生み出す代わりにそうしていたなら世界はどう違っていたか? 彼らの人生やインパクトはどう違っていたか? 歴史は、そういった決断の結果なのです。ある女性が立ち上がって「バスの後ろに行く気はないわ」と言う。自分の人生だけでなく、文化全体に影響を与えたのです。あの戦車の前に立ちはだかる男もそう。ランス・アームストロングの立場だったとして、「精巣癌です」と告知されたら男性には辛いことです。特に自転車乗りには(笑)。脳に腫瘍ができたら、肺にできたら、彼は何に集中する決断をしたでしょう? 多くの人とは違うことです。それは終わりではなく、始まりです。そこで自分は何をするのか? それまで勝ったことのない選手権で、彼はその後7回優勝します。感情的にタフになったからです。心理的な強さです。人間として違うところです。私はラボを通し、29年に渡り80カ国の300万人と関わってきて、そのうちパターンが見えるようになりました。南アメリカとアフリカは、昔繋がっていたのかもしれない。みんな「ばかばかしい」と言います。ランスを形作ったのは何か? 2つの見えない力です。1つは「状態」。みんな経験があると思いますが、何かをしては振り返り「何でやったんだ?」「馬鹿じゃないのか」と思う。そういうことのある人?
(観衆)はい
何かやった後に「あれやったの俺だぜ!」と思ったことは?(笑)これは能力でなく、状態です。世界のモデルが、長期的には自分を形作るのです。世界のモデルはフィルタです。それが私たちを形作ります。それが決断をさせます。誰かに影響を与えたいなら、何に影響されるか知ることです。3つの部分があると思います。1つは目的。何を追い求めているのか。これは欲求とは違います。これまでにゴールを達成して「もっとないのか?」と思ったことのある人? そういう経験あるでしょう?
(観衆)はい
私たちが持っているのはニーズで、人のニーズには6つあります。
もう1つは、自分を動かす目的を把握したらそれを顕わにします。作るのではなく、顕わにするのです。すると地図が見つかります。ニーズを満たす方法を示す信念というシステムです。ニーズを満たす方法が「世界の破壊」という人もいます。何かを作ることだという人、誰かを愛することだという人もいます。それが自分に合った燃料なのです。では6つのニーズを簡単に説明しましょう
1つ目は「確実性」です。ニーズは、ゴールや欲求と違い普遍的です。みんな、苦痛を避け、快適さを求めるため確実性を必要とします。どうやって手に入れるか? 人を支配する? スキルを磨く? あきらめる? 煙草を吸う? すっかり確実性を手に入れると、皮肉なことに、必要なものであるにもかかわらず、健康や子どもやお金への不安があると、あまり考えられなくなります。天井が崩れ落ちないか不安なら、講演なんて上の空になります。しかし、確実性を追って、すっかり手に入れたならどう感じるでしょう? 何が、いつ、どう起きるか分かっていたらどう感じるか。退屈するでしょう。神はその無限の叡智で―(笑)人間に第2のニーズとして「不確かさ」を与えたのです。私たちは変化を、驚きを必要とします。驚きが好きな人は?
(観衆)はい
ウソだね。好きなのは、好ましい驚きだけでしょう(笑)問題を起こしたくはないけれど、必要としているのです。変化は重要です。見たことのある映画を借りたことありますか? やったことのある人? 他にやることないの?(笑)どうしてそんなことをするのか? いい映画だし、前に見たのは随分前で、忘れているので、変化があると期待するのです
第3のニーズは「重要性」です。重要だ、特別だ、唯一だと感じたい ―― お金を稼ぐことで得られ、精神性を求めることで得られます。タトゥーやピアスを、誰も見たがらないような場所に入れることで得られます。でも、一番手っ取り早いのは暴力です。何の経歴も、文化も、信条もリソースも能力もないなら暴力です。頭に銃を突きつけたなら、相手にとって私は即座に重要になります。0から10のレベルのどこかと言えば、10でしょう。相手が私に反応する確実性は10です。では不確実性は? 何が起こるか分からない興奮です。洞窟をよじ登って下まで滑り降りるような、まったくの変化と不確実性です。そして、命を賭けようと思うのも、重要性のためです。それが、常に暴力が存在する理由です。種として意識的に変わろうとでもしない限り、重要性を得る方法は無数にありますが、ユニークで違ったものになる必要があります
そして本当に必要なもの――「繋がりと愛」。第4のニーズです。
みんな愛を望みますが、多くの人は繋がりに落ち着きます。愛は怖いからです。傷つきたくない、深い関係で傷ついたことのある人(笑)手を挙げない人は、別な問題を抱えることになるね(笑)そしてまた傷つくことになる。このポジティブな集まりに来て良かったでしょう?(笑)これは必要なもので、親密さ、友情、祈り、自然の中を歩くことなどを通して得られます。どれもうまくいかなかったら犬を飼いましょう。ほんの数分離れていただけでも、半年ぶりに会うかのように喜びます(笑)
はじめの4つのニーズは、誰もが出会えるものです。自分に嘘をつこうと、人格を分裂させる必要があろうと。でも残りの2つは違います。最初の4つは人格的ニーズでしたが、あとの2つは精神的ニーズです。これこそ、充足の得られるものです。最初の4つで充足は得られません。喫煙、飲酒なんかでも最初の4つは得られますが、あとの2つはそうはいきません。第5のニーズ「成長」。これはみんな知っています。成長しなければ、人間関係が発展しなければ、ビジネスが成長しなければ、自分が成長しなければ、お金がいくらあっても無意味です。どれほど友達や愛してくれる人がいようと、地獄のように感じるでしょう。私たちが成長する理由は、与えられる価値あるものを持つためです。
第6のニーズは、自分を越えた「貢献」です。言い古されてますが、生きる秘訣は与えることです。人生とは「私」ではなく「私たち」のもの。文化はそれを知っており、この場のみんなが知っています。ネグロポンテが100ドルPCの話をしたとき、何よりも興奮するのは、今や彼は天才というだけでなく使命があるということです。彼の変化を感じられ、それは素晴らしいことです。彼の使命は、他の人も感化します。私の人生にもありました。11歳の時ですが、感謝祭にお金も食べ物もなく飢えていました。父は完全に失敗し、母は父にそれを分からせようとしていました。そこへ誰かが戸口にやってきて、食べ物を届けてくれました。父は3つの決意をしました「これは慈善だ。それはどういう意味か。自分は無価値ということ。何をすべきだったのか? 家族を離れよう」それが父のしたことです。これは私の最も辛い体験でした。私の3つの決意は違った道を辿りました。1番目「食料確保への集中」なんて考えでしょう!(笑)
2番目。これは私の人生を形作ったものですが、「知らない人からの贈り物」。父はいつも言っていました。「誰も気にかけてくれはしない」。それが、突然知らない人が、何も求めることなくただ私の家族に気を配り、食べ物をくれたのです。それは私に考えさせました。「他人が気にかけてくれるというのはどういうことだろう?」他人が自分を気にかけてくれるなら、自分も人のことを気にかけて何かをしよう。それで、17歳の時の感謝祭の日にそれまで貯めていたお金で、2つの家族に食べ物を届けたのです。私の人生で最高に楽しく、感動的な体験でした。次の年は4家族に。誰にもその話はせずにです。その次の年は8家族。褒められたくてやったんじゃありません。でもその後に、「クソッ!誰かの助けがいる」と思いました(笑)
それで私はどうしたでしょう? 友達を誘って、会社を作りました。11の会社ができ、基金を作りました。18年たった今、誇りを持って言えます。この基金を通じて35カ国の200万人に、感謝祭やクリスマスの休日に食べ物を届けました(拍手)世界中のあらゆる国で。素晴らしいことでした(拍手)ありがとうございます(拍手)この話をするのは、自慢のためではなく、人間であることに誇りを感じるからです。みんな貢献できることにワクワクしています。言えるからではなく、体験できるからです。
もう時間切れですが、最後に、目的が人間を作るという話をします。人によって違うところです。同じニーズを持っていても、一番重視するのは確実性か、それとも不確実さか? 洞窟を登る人間は確実性派ではありません。動かされるのは、重要性か愛か。6つとも必要ですが、どれを優先するかによって向かう方向が変わってきます。そして向かう方向によって、行き着く先も変わります。もう1つの要素は地図です。目的地への行き方を示してくれるシステムと考えてください。ある人の地図は「たとえ自分の命にかえても人の命を救う」消防士です。あるいは「目的のためには人を殺しもする」。重要性のニーズを満たそうとします。神や家族のために働こうとしますが、持っている地図が違います。
異なる信条が7つあります。時間がないので、この話ははしょります。そして最後の要素が感情です。地図のある部分は時間ですが、長い時間が100年を指す人もいれば、3秒の人もいます。私に残された時間ですね(笑)。最後のやつは自分にかかってきます。目的があって、地図があれば――Macでうまく動かないのでGoogleマップを使えないんですが――MapQuestを使うという致命的な判断をした人はどれくらいいますか?(笑)目的地にたどり着けません。自分の信念が目的地にたどり着けないことを保証するとしたらどうでしょう?(笑)
最後は感情です。英語で、名前のついている感情は6,000種類あります。単なる言語表現ですが、言語によって違います。しかし支配的な感情が―もっと時間があれば普段体験するあらゆる感情をみんなに書いてもらい、必要なだけ時間をかけて紙の両面にそれぞれ、力付ける感情と無力化する感情を書きます。何種類の感情を体験すると思いますか? 12個以下です。その半分はクソみたいに感じさせるもので、良い感情は5、6個だからこんな感じです。「嬉しい・嬉しい・興奮する・くそっむかつく・落ち込む・うんざりする」何が起ころうとも腹を立てる人間を知っているという人はどれくらいいますか?(笑)一方で、何が起きようとも、幸せや興奮を見出す人もいるでしょう?
9.11テロが起こったとき、私はハワイにいました。45カ国から2,000人が参加し、4カ国語に同時通訳される。1週間に渡るプログラムでした。その夜のテーマは「感情をマスターする」でしたが、何をするかまだ決めてなくて、花火や何やら楽しいものを用意していて、こういう予定ですと言うつもりでしたが、予定通りにやったためしがなく、突然こう言いました。「人が本当に生き始めるのはいつか? 死に直面したときです」そしてこう続けました。9日後にこの島を出ることなく死ぬとしたら、誰に電話して、何と言い、何をしますか? これは、9.11テロの起きている最中でしたが、ある女性がセミナーに来て話しました。前の彼氏は誘拐され、殺されていました。今の彼氏にプロポーズされましたが、彼女は断りました。
「もしそのハワイのセミナーに行くなら僕たちは終わりだ」「終わりにしましょう」セミナーの後彼女は彼に電話し、彼は貿易センタービルの最上階で働いていていたんですが、伝言を残しました。「愛してるわ、結婚したいとだけ伝えたかったの。私バカだったわ」彼が電話をかけ返してきたとき、こちらでは朝の3時で、彼女は眠っていました。「これが何を意味するのかわからないけど、君は僕にとても素晴らしい贈り物をしてくれたんだ。僕は死んでいくんだから」彼女はその録音をみんなに聞かせてくれました。彼女は後にラリー・キングの番組にも出ています。彼は言いました。「何で2度もこんなことが起きるのかと思うだろうけど、これは君への神のメッセージだと思う。これからの人生、日々、持てるものを与え、全力で愛しなさい。何者にも立ち止まらずに」。彼女が話し終えると男が立ち上がりました。「私はパキスタン人でイスラム教徒です。あなたの手を握って言いたい。お気の毒ですが、これは報いです」続きは話せませんね。時間切れです (ブーイング) ――じゃあ10秒で(拍手)
10秒で話しましょう。時間は守りたい。その男性と、世界貿易センターで働くニューヨークの男性にステージに上がってもらいました。その場にニューヨークから来た人が200人ほどいて、会社や友人を失った人も50人いました。トレーダーをしている鉄のような女性が、30人の友人を失い泣いていました。私は彼らに言いました。「何に焦点を当てましょうか? これは何を意味しているのか、我々は何をすべきか?」
このテーマをみんなに考えてもらいました。「今日誰かを失わなかった人は、他の誰かをどう助けるか」がテーマです。ある女性が立ち上がって、すごく怒って叫び出しました。ニューヨークの人でもアメリカ人でもないのに、誰も知っている人はいませんでした。「いつも怒っているんですか?」彼女は「ええ」と。罪のある人は罪を、悲しい人は悲しみを感じました。それからさっきの2人に代表として議論してもらいました。占領地区に家族のいるユダヤ人で、もし普段通り仕事に行っていたら死んでいただろうニューヨークの人と、テロリストになりたいという意志を持つ人です。ビデオがありますので、ご覧になりたい方にはお送りします。私の話よりいいでしょう。2人は歩み寄っただけでなく、信条と世界観を変えました。彼らはもう4年も一緒に、モスクやシナゴーグを通して平和のための活動をしています。彼はまた「私の聖戦 ―平和への道」という本も書きました。変化は起こせるのです。
だから皆さんに、頭の中にある織物―自分をコントロールしているニーズ、信念、感情を探求してほしいのです。2つの理由があります。より多くの人が与え、達成すること。みんなそうしたいとは思っています。与えることでこそ、私たちは満たされるのです。もう1つは、認められるようになること。知的に理解するだけでなく、他の人を動かしているものを認めるということです。それこそが、この世界を変えられる唯一のものです。ありがとうございました。お役に立てたなら光栄です。
(拍手)
アンソニー・ロビンズが、人の行動の動機となる「見えない力」について話します・・・それに客席最前列のアル・ゴアとのハイタッチもあります。