学生ローンは、どのように学生を搾取しているか(11:48)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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現在4千万人のアメリカ人が 新しい経済に向かう途中で負債を負います。卒業まで大学に通うお金がなく、1兆ドル以上のお金を借りているのです。逃れられない借金を払うために どんな仕事でも 見つけなければなりません。アメリカでは 破産したギャンブラーでさえ 再チャンスがあります でも 学生ローンを免除してもらうのは アメリカでは ほとんど不可能です。
遠い昔 アメリカでは大学に行っても 借金を抱えて卒業することなど ありませんでした 私の友人ポールの父は 復員兵援護法を使って コロラド州立大学を 卒業しました 彼の世代では 高等教育は社会全体の利益と 考えられていたため 無料か ほぼ無料でした 今は違います ポール自身がコロラド州立大学を 卒業した時は アルバイトをして学費を払い 英語の学位を取りました 30年前 高等教育は手頃で安く どんなに借金が増えたとしても 卒業までには払い終えられました 今は違います。ポールの娘は彼と同じ道を 歩みましたが 一つ違いがありました。彼女は5年前に 巨額の借金を背負って 卒業したのです。
ケイトのような学生は ローンを組まなければなりません。高等教育の費用は ほとんどのアメリカの家庭が 払えないほど上がってしまったからです。でも これは問題でしょうか? 教育にお金をつぎ込んで 借金を背負っても そのお陰で収入が増え 借金が返せるなら それほど悪い話ではありません しかし肝心な点は ここからです 同じ大卒でも 2001年の収入の方が 2013年の収入より 10%も高かったのです。
つまり― 学費は上がり 助成金は削減され 家庭の収入は減り 個人の収入も減ったのです 学生ローンを返せない学生が 4分の1以上いるなんて 驚きませんか? でも最悪の時代には 良い面もあります 無視できない真実が 明らかになるからです 今日は真実のうち3つお話しします。
学位を得るための負債が 1.2兆ドルもあるということが 明瞭に示しているのは 高等教育が 購入可能な「商品」に なったということです。
私たちは教育を 経済学者と同様に こう捉えています。職業訓練を通して 人的資産の価値を高める 投資であると。人々を分類し格付けして 雇用者が雇いやすくするための 投資と捉えているのです。
USニューズ&ワールドリポート誌の 大学の格付けは まるで コンシューマー・レポート誌の 洗濯機の格付けのようです。
教育に関する用語は残酷そのものです。教師は「サービス提供者」 生徒は「消費者」 社会学もシェークスピアも サッカーも科学も 全部「コンテンツ」です。
学生の借金は儲かるんです。でも儲かるのは あなたじゃない。あなたの借金が 学生ローン産業を儲けさせるのです。巨大な2つの会社、サリーメイとナビエントは 昨年 合わせて12億ドルの 利益を計上しました。
住宅ローンのように、学生ローンも束ねてパッケージ化し、小分けにして ウォール街で販売されます。これら証券化されたローンに 投資している大学は、二重に利益を上げます。あなたの学費からと借金の利息からもです。
これだけ利益があれば 高等教育ビジネスの一部が、虚偽の広告や おとり商法や 人々の無知につけ込み、教育を装った搾取をしても驚きはしません。
そして3つ目。
今や学位はブランドです。何年も前に私の先生が書きました。「学生が消費者のように扱われたなら 彼等は嫉妬と固執に囚われるだろう」。
消費者がヴァージョンアップの度に iPhoneを買い替えさせられるように 教育も次から次へと買わされるのです すでに「大学は新たな高校」と 呼ばれています でも なぜ大学で終わりにしないのか? それは 修士号から博士号へと どんどん上の証書を 買わされるからです。
より高い教育はまた ステータスとして販売されます。学位を買うのです。他人と差をつける為に レクサスやルイヴィトンのバッグを 買うように。それであなたは 羨望の的になる――学位はブランドです。
でも真実が うるさいセールストークに かき消されてしまうこともしばしばです。テレビで どこかの政策通が語る こんな売り口上を聞かない日は ありません。
「学位は中流生活へのエスカレーターに 乗るために 必要不可欠なものです」。
そして証拠として良く使われるのは、大卒は高卒より56%多く稼ぐという 大卒優位のデータです。
でも数字を注意深く見てみましょう。というのも、一見すると 私たちが よく耳にする、大卒なのにコーヒーショップや レジのバイトをしている人の話と 矛盾するからです。
何らかの形で高等教育に進学した100人の内 45人は、経済事情を含め 様々な理由で 期間内に学業を修了できません。
卒業した55人の内 2人は無職、18人は能力に見合った仕事に就けません。
大卒は高卒より稼ぐと言っても、法外な授業料と 大学在学中に 得られなかった賃金に見合うほどなのか?
今や経済学者も認めているのは ちゃんと卒業した人しか 利益を得られないという事です。
一方それは ここ何十年と 高卒の賃金が ものすごく 減っているせいです。何十年間も、高卒の社員は 自分達が生産したものに見合う 十分な給料を得ていません。もらえるはずの収入が 手に入っていれば 大学進学が割に合わない投資だった人も 多かったでしょう。これは大学優位でしょうか? いえ 高卒の切り下げだと思います。
大学に入学した 3人に2人は 適正な仕事を見つけられません。
彼らの未来には 希望がなく、実際悲惨です。こういう人々が 学生ローンに最も苦しめられるのです。
興味深いと同時に、悲しいことですが 彼らこそ大学の優位を 盛んに売り込まれた人たちでした。皮肉なだけでなく 残酷なマーケティングです。
私達はどうするべきか? もし学生や親までが 高等教育を 商品として扱ったら? 誰もが もうしていることですから、そうなると 他の商品同様 自分がお金を払っているものを 知ろうとするでしょう。
薬を買うときは 副作用のリストをもらいます。高等教育という商品を買う場合も 消費者が十分理解した上で 選択できるように 注意書きがあるべきです。
車を買うときは リッターあたりの走行距離が わかります。カナダ学の学位で 何ができるかわかりますか? そういう分野が実際あるんですよ。
もし それがわかるアプリがあったら? 大学の専攻にかかる費用と 予想される収入を示すアプリです 「収入ベースの学費」 IBTと 名付けましょう だれか作ってくださいよ(笑)
現実に目を向けましょう(笑)
IBTには 3つの利点があります まず 誰でも 大学や学部から 卒業後の収入がわかります それがわかれば 強引な押し売りの被害に 合わずにすむように なるでしょう しかも賢明な選択ができます 大卒の資格の為に 収入の増加分の15%以上を 授業料として支払う意味がありますか?
IBTの2番目の利点 学費と収入を結びつけることで 大学の運営者は 独創的な方法を探して コストを管理せざるをえなくなるでしょう 例えば 学生達はどの学部でも 大体同じ学費を払っています 明らかに不公平で 変えるべきです 工学部の学生は 哲学科の学生に比べて たくさんのリソースと 設備と実習室と教員が 必要です その結果として 哲学科の学生は 工学部の学生を 補助する形になります その上 工学部の学生の方が 給料は高くなります 2人の学生が同じ商品を 同じ価格で 買っているのに 片方は半分とか3分の1の サービスしか受けられないのです 実際 大卒の場合 学生ローンの利息を払うため ある専攻だと 収入の25%を払い 別の専攻だと 5%しか払わないことになります 個々の専攻がより正確に査定されれば こういう不平等はなくなるでしょう。
もちろん、これらのすべてのデータをここのどなたかが調べてくれるでしょう? 情報収集をよく計画し、公に会計事務所で監査してもらうべきでしょう。統計のうそを防ぐために。統計の危うさは知ってますね?
それはともかく IBTの最後の そして最大の利点は 欠陥商品の購入による 家計破綻の恐れや 実際の破綻から アメリカ人が解放されることです。
もしかしたら いつか 先のスピーカーがおっしゃった通りに 若者もお年寄りもアメリカ人は 好奇心や学習への愛を 再発見するかもしれません。好きなことを勉強し始め その内容を好きになり 自らの情熱にしたがって 知識に刺激され 自分が求める探究の道を 進めるようになるかもしれません。
まさにそんな青年だったのが 2年前の エリックとケビンでした。負債を抱える学生の研究を通して 私に刺激を与え 今も一緒に研究しているのが 彼らなのです。
ありがとうございました(拍手)
サジェイ・サミュエル教授は、こう始めます。「遠い昔、アメリカでは大学に行っても、借金を抱えて卒業することなどありませんでした。」現在、高等教育は「商品」になっています。費用が急騰して学生たちは総額1兆ドル超の借金を負い、その一方で大学とローン会社は莫大な利益を上げています。そこでサミュエル教授は、根本的な解決法を提案します。授業料と、選択した学位で将来得られる収入を結びつけるのです。そうすれば、学生たちは自分の将来をよく理解した上で決定し、学習への愛を取り戻し、有意義な方法で世界に貢献することが出来るのです。