あなたが同僚の給料を知るべき理由(7:29)

デビッド・バーカス(David Burkus)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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あなたの給料はいくらですか? 口に出してはいけませんよ 頭の中で数字を思い浮かべるだけです では 隣に座っている人の給料は いくらだと思いますか? これも 口に出してはいけません。

観衆:(笑)

それでは あなたの職場で 机を並べて働いている人の 給料はいくらだと思いますか? 知っていますか? 知っておくべきことでしょうか?。

私だって こんな質問は するのさえ気まずく感じますが でも 実際のところ 皆さんだって知りたいでしょう ふつうは 給料を大っぴらにするなんて と思いますよね 隣近所に言いふらすものじゃ ありませんし 職場の同僚に言うなんて もってのほかです お互いの給料が分かったら 大混乱に陥ると思われているからです 言い争いや もめ事が勃発し 辞職する者も出てくるかもしれません でも そういった対立は 秘密にするから生まれるのだとしたら? この秘密を取り払ったら どうなるんでしょう? もしオープンにすることで 社内で公平感が高まり 連携が深まるとしたら? 給料をすっかり公開したら どうなるんでしょう?

私はこの数年 従来の経営手法に 疑問を投げかけている— 企業リーダーを 研究してきましたが この給料の問題が 絶えず出てきます そして その結論には いつも驚かされています。

給料に透明性を持たせると つまり 社内で給料を公開すると 従業員にとっても その組織にとっても より良い職場になるというのです 同僚の給料に比べて 自分の給料がどうか分からないと 給料が低すぎるとか 差別されているとさえ 感じがちです 従業員が 不当な待遇や 差別を感じていても 知らんぷりな職場で 働きたいと思いますか? でも 給料を秘密にするとは そういうことなんです これは どこにでもある 昔からの慣行で アメリカでは労働者に 給与について話す権利が 法律で保障されているにも かかわらずそうなんです。

百年近く前の有名な話があります 雑誌『ヴァニティ・フェア』の経営陣が こんな題の文書を回覧したんです 「従業員間での給料の話の禁止」 禁止するんですよ 給料について話すことを それには みんな納得できなかったようです ニューヨークの作家たち ドロシー・パーカー、ロバート・ベンチリー、ロバート・シェアウッド、アルゴンキン・ラウンド・テーブルの全員が 透明性を求めて立ち上がり 翌日 職場に現れたときには 自らの給料を書いた札を 首からぶら下げていたそうです。

観衆:(笑)

想像できますか? 職場で みんなに見えるよう 給料を胸に書き出しているんですよ。

でも なぜ会社というのは 給料を口外させたくないんでしょう? なぜ 従う人がいる一方で こんな風に反対する人もいるんでしょう? よく言われる理由に加え 給料を秘密にしておくと 実は大きなコスト削減になるんです 給料を秘密にすることで 経済学で言う「情報の非対称性」が 生まれます つまり 交渉の場において 一方が 圧倒的に多くの情報を 持つことになります ですから 会社側は 雇用や昇進、昇給の交渉において 情報が知られていないことを利用して 多額の節約ができるのです 皆さんだって 他の人たちの給料を知っていたら 昇給の交渉がしやすいと思うでしょう。

経済学では 情報の非対称性があると 市場の失敗を招くとされています 誰かコピー機に給与明細を 置き忘れようもんなら 職場はもう大乱闘になるでしょう 事実 経済学者は 情報の非対称性は 市場の完全な失敗を 招きうるとさえ言っています 私たちは その一歩手前にいます なぜ そう考えるのか まず ほとんどの人は同僚と比べて 自分の給料がどうなのか知りませんよね 2015年に行われた 会社員7万人を対象とした調査では 市場相場の給料をもらっている人の 3分の2が 給料が不当に低いと感じる と答えました また 給料が低すぎると 感じている人のうち 60%が 転職を考えていると 答えています 実際の給料が 相場よりも 安いか高いかにかかわらずです 皆さんだったら この調査で何と答えたでしょうか? 給料が安すぎる? でも ちょっと待って なぜ分かるんですか? 職場で給料について 話せないわけでしょう?

また 情報の非対称性 つまり 給料を秘密にすることで 現在の市場に存在している差別を ないことに しやすくなります 2011年に女性政策研究所が 発表した報告書によれば 男女の賃金格差は 23%でした あの「1ドルに対して77セント」 という話はここから来ています 一方 連邦政府では 等級によって給料が決まり みんなに給料が分かる仕組みに なっているため 男女賃金格差は 11%にまで縮まっています ちなみに これは経済学者が よく議論している 給料に影響する様々な要素を 考慮する前の数字です。

男女の賃金格差を本当になくしたいなら 給料の公開に踏み切るべきかもしれません もし これが 市場の完全な失敗というものであるのなら 給料の公開こそが 公正を確保する 唯一の残された道でしょう。

自分がいくら稼いでいるか 知られることは 気まずいもの かもしれません でも もっと気まずいのは 自分が差別されているんじゃないかとか 妻や娘、姉妹の給料が低すぎやしないかと 思いあぐねることの方でしょう オープンにすることが 公正を確保する最善の方法であり 給料の公開は それを実現できます。

だからこそ 企業のリーダーたちも 何年にも渡って 給料の公開に 取り組んできたわけです 例えば デーン・アトキンソン 彼は連続起業家で 従業員の給料が非公開の形で 多くの企業を立ち上げ その条件を利用して 同じような資質であっても その人の交渉力によって 大きく給料を変えていたことも ありました でも デーンは これが対立を生んでいると気づき 一番新しく設立した会社 SumAll では 最初から 全従業員の給料を公開すると約束し 素晴らしい結果を生んでいます 様々な研究が示しているのは 自分の給料がどう決まり 同僚の給料と比べてどうかが分かると 従業員は業績を上げるため より懸命に働き より積極的に関わり 離職率も下がるということです。

だからこそ デーンだけでなく Bufferのような 技術系スタートアップから 何万人もの社員を抱えるホールフーズ・ マーケットまで 取り組んでいるんです ホールフーズでは 給料が公開されるだけでなく 店舗や部門の成績も 社内イントラネット上で 誰もが見られるようになっています。

給料に透明性を持たせる方法は たくさんあり どこにでも合うやり方 というのはありません 給料を社外にも公開するところもあれば 社内にとどめるところもあります 給与の計算式を公開したり 俸給表を作って 等級で給料が分かるように するところもあります 職場で社員が身に付ける― 給料を書いた札を 作る必要もなければ 職場で ひとり寂しく お手製の札を身に付けることもありませんが 職場で ひとり寂しく お手製の札を身に付けることもありませんが 給料の透明化のためにできることは たくさんあります 透明化に向けて 組織を動かす権限がある方は ぜひ進めてください その権限のない方は 自らの権利のため立ち上がりましょう。

給料はいくらですか? 同僚と比べて どうですか? あなたは知っておくべきだし 同僚もまたしかりです。

ありがとうございました。

観衆:(拍手)

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このプレゼンテーションについて

あなたの給料はいくらですか? 同僚と比べてその金額はどうでしょうか? あなたは知っておくべきだし、同僚もまたしかりだと、経営研究者のデビッド・バーカスは言います。このトークでバーカスは、給料は秘密にするものという文化的前提に疑問を投げかけ、給料を公開することがなぜ従業員、組織、社会にとって良いことなのか、説得力ある議論を展開します。

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