ジェット・スーツができるまで(7:08)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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マイケル・ブラウニングは エンジニアで イノベーター 真の 発明家で 私の憧れの父親でした 飛ぶことに対する 彼の情熱はご覧の通り いささか怪しげな 1970年代の退職記念品でもわかります その記念品の約40年後 仲間が数人集まって 挑戦を始めました 空を飛ぶという人類の長年の憧れに かなり異質なやり方で挑むのです その挑戦の旅を今からお話しします
まず 人間の精神と肉体についての 仮説が出発点です この数日TED会場で ご覧になったと思いますが 人間は本当によくできているんです もしこの素晴らしいマシンを 適切なテクノロジーを用いて 拡張したらどうなるか? 現実的なアプローチで 空を飛ぼうとしたら どこまで到達できるか?
これは私の訓練パートナー ロンドンにいるデントン君の 優れたわざです 私よりずっと上手です ご覧の通り ロンドンです アイデアは これの増強です どのように増強するか? こういうのを1つ買いました
小型のガス・タービンです これがスタート地点です この小さなキットが かなり良いと分かったので 2台にして広いところに行きました ちなみにこの場の真のヒーローは ずばり私の後方にいる女性で 野菜の世話をしています 私たちを無視するという 良い仕事をやってのけています
(笑)
唯一残念なのは芝生です かなり傷めてしまったと思います
この動画で推力のほどが分かります 私には水平が保てません 約50キロの推力があります かなり手ごたえを感じて 見込みがありそうだと思いました
ここから進むべき 合理的な道はただ1つです 4台使うのです
(笑)
白状しますが 今見ても楽しいです
それから 熟慮して 負荷を分散させることにしました 脚は負荷を支えるよう できているので 使わない手はありません そこは良かったんですが ハーネスは アイデア倒れでした ご覧の通りです いつだって 何かを試しては
(笑)
ほらね うまく行きませんね
試しては 失敗から 学ぶことばかりでした 失敗には転倒も含まれます お気づきでしょうか? ここでは5機使用 ― 1機が修理中だからと 休んだりしないで 実験を続けています
(笑)
ここで燃料チューブを傷つけました ここでもまた学習しました 同じ間違いはすまいと
これは行き止まりでした
(笑)
これは 両腕に3機ずつですが これは無茶です 片腕に推力70キロですから 1機ずつ外しました
(笑)
でも かなり納得できる進歩が出始めました これなら 多分おそらく 上手く行きそうだと 思えるほどの進歩です ご覧ください 素敵でしょう? 両脚に1機ずつ 腕に2機ずつという形は 計算上は 十分な推力です そこから試したことを これからご覧に入れます 今見ても 楽しいです これは 初めて 6秒間 安定して飛行できたところです
(拍手)
ここに来て初めて この取り組みが 「うまく行くかどうか全くわからない」から 「おや イケそう」になりました そこから改良を重ねて行きましたが 引き続き転倒してばかりです 言ったように 転倒したら 一番よくわかるんです しばらくして 全体の配置に 磨きがかかりました ご覧のように 安定性と制御性が上がりました ワイヤーも何もありません 電子機器を入れた背中の プラスチック容器を含め 私たちが技術的な改善をすると共に バランスと制御をよく学んだ結果です
皆さんの耳を守るため 次の映像は音を消して 説明しましょう ジェットエンジンは音が ちょっとうるさいですからね これはほんの数週間前です ご覧の通り 安定性と制御性が 本当にかなり良くなりました これは最初の仮説の正しさを 証明していると思います その仮説は 人間の精神と肉体を適切に増強すれば かなり すごいことが達成できる というものでした それというのも この時点で私は 腕をどこに動かすかとか 考えていません 自分が行きたい方向を見ると 自転車に乗っているような感じで 腕が勝手に動くんです とても不思議な体験でした
このプロジェクトの目標は何か?
これは着地シーンで うまく着地するはずです
私は 誰かがこの装置で ショッピングに行くとか 子供を学校に送迎する日が すぐに来るとは考えていません でも我々グラビティ社のチームは すごい技術を築いて これが朝飯前に見えるように しようとしています 私たちの取り組みは 飛行という非凡な体験を イベントや見世物に留まらず もっと多くの人にもたらすことです 第2 第3のパイロットも 探し始めていて ボランティア募集中です
目下の夢はこうです 無謀かも知れませんが 粘り強く頑張れば いつの日か ビーチから上空に舞い上がって 海岸線をあちこちと 今よりもう少し高く飛べるかも — そのための安全装備に 目下 取り組んでいます 水平線から貨物室のハッチを 開いた輸送機が飛んできて 機体が通り過ぎたら 速度をあげて 輸送機に追い付いて 後ろから ― 前からはお勧めしません ― 後部に飛び乗りたいものです 現時点では まだ先の話ですけどね
でも ここで 話を大きく前に戻すなら — これは 私にとって とても個人的な旅でもあります 先ほどの愉しい写真 — 絵の中の写真に話を戻します 悲しいことに 私が15歳の時に 父は命を絶ちました かなえられなかった夢が たくさん残されました 父は素晴らしい発明家であり 独立独行のクリエイターでした 私は思います もし — もし父が見下ろしていたら 父はきっと 私たちの来し方を見て 微笑んでくれるだろうと思います プロジェクトを父に捧げます
どうもありがとうございました
(拍手)
(本人音声) このあとで行うデモは 多分話をするよりも 緊張します デモのためには やるべきことがいっぱいです 考えられる最悪のシナリオは 上手くスタートできないことです
それか 飛行中に 想定外の失敗をすることです 高く飛ばないのはそのためです だから悪くても バカみたいに尻餅をつくだけです でも みんなには その方が面白いかも
(音楽)
(高まるエンジン音)
(歓声)
空を飛ぶことは誰しも夢見たことがあるものですが、リチャード・ブラウニングはそれに取り憑かれてきました。ブラウニングは精神と肉体とテクノロジーをエレガントに組み合わせたアイアンマンのようなスーツを開発し、SFの夢を一歩実現に近づけました。発明の裏にある試行錯誤について聞き、ブラウニングと共に忘れられないデモンストレーション飛行をしましょう。