オオジャコガイの知られざる魅惑的生態(5:27)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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地元で 友達は 私をこう呼びます― 「シャコガイ娘」 「ハマグリ女王」 「二枚貝の母」などです
(笑)
会う度に毎回 ずっと貝の話ばかり するからでしょう 毎日 一日中です オオジャコガイは大きくて 色鮮やかな有殻海洋動物で その種では最も大きいです この殻を見てください! 最も大きい個体は 140センチメートル 250キログラムという 記録があります ほぼ象の赤ちゃん3頭分の重さです
南太平洋の言い伝えでは 警戒心のないダイバーを捕えようと 海底で待ち構えている 巨大人食い貝とされていました ダイバーが 貝から 真珠を取ろうとして 脚を食べられたという 話もあります 私は 「本当に?」 と思いました ですから 好奇心で 自分を餌にして 実験をしたんです
(笑)
注意深く 貝の口に 手を入れて待ちました うーん... 私の手はこの通り この穏やかな巨人は 私を食べるより 逃げて 体を守ろうと するようです ただの人食い貝伝説ってことです
不運にも 現実は 私たちこそ オオジャコガイの 脅威なんです 西太平洋やインド洋の海域では オオジャコガイは美味とされ 伝統的に食用として 採られてきました 漁師たちが特に関心があるのは 貝柱です 蝶つがいのように 二枚の貝を くっつける器官です この貝柱のためだけに 1960年代から80年代にかけて 絶滅寸前まで採られました オオジャコガイの貝殻は 宝石や飾り物として 装飾品貿易では とても人気です 南シナ海の漁師たちは 化石化した貝殻収集のため 広いサンゴ礁域を 堀り崩していました それは後に彫刻され 中国では いわゆる 「象牙細工」として売られていました 生きていても死んでからも 人間から逃れられません 「大災貝」です! (clamとcalamityをかけている)
(笑)
(拍手)
クジラやサンゴ礁のような カリスマ的な海洋動物に 注目が集まれば集まるほど 他の動物も助けが必要なことを 忘れがちです オオジャコガイへの強い関心から その未知の生態や行動を知ろうと 保護のための調査を始めました わかったことの一つは オオジャコガイが 海底を歩けることです 聞き間違いじゃないですよ 歩けるんです
研究の一環で たくさんの赤ちゃん貝を 碁盤目の上に置いてみました 24時間で何が起きたか 見てみましょう 歩くことは 天敵から逃げたり 交配相手を探すのに 大切なんです この巨大な生き物が動くのは 想像し難いですが 180キロまでの個体は 歩くことができ ただ動きが遅くなるだけです
博士課程のときに 他にもたくさん秘密を発見しました でも何か 欠けている ものがありました 自分自身に尋ねていたんです 「どうしてオオジャコガイなんかの保護を みんなが気にしなきゃいけないのか— 私は別としても?」
(笑)
実はオオジャコガイは サンゴ礁と 深い関わりがあることがわかります この何でも屋の貝は サンゴ礁の育て役として――食品工場として――エビやカニの 避難所として――浄水器として―― 一人で何役もこなしています 要するに オオジャコガイは サンゴ礁の住民として とても重要な役割を果たし オオジャコガイがいるだけで サンゴ礁が健康になるのです また最長で100歳まで 生きられるため オオジャコガイはサンゴ礁の健康の 重要な指標になります もしオオジャコガイが 姿を消し始めたら 科学者たちに気をつけろという 警報になります― 炭鉱のカナリアのように でもオオジャコガイは 絶滅の危機に瀕しています この世界最大の貝は 絶滅の危機にあり 野生の貝は50%以上も 大幅に激減しています オオジャコガイの サンゴ礁への 生態学的利益というのは 健全な個体が十分にいなければ 続きません だから オオジャコガイの保護は 最重要なのです
今日は オオジャコガイの声を 代弁しました なぜなら この素晴らしい動物は 私にとって大事だし 大事にされるに値するからです オオジャコガイたちに 殻から出てもらって 海の英雄なんだと 世界に知ってもらいましょう
ありがとうございました
(拍手)
紺碧の海というと、きっと思い浮かぶのはクジラやサンゴ礁でしょう。でも世界最大の貝であるオオジャコガイのことも、ちょっと考えてほしいのです。この素晴らしい生き物は100歳まで生き、最大140センチメートル、赤ちゃん象3頭分の重さにまで成長します。この魅力的な講演で、海洋生物学者メイ・リン・ネオが、なぜこの伝説的な生き物こそが海の英雄なのかを説明します。