3ワードアドレスで地球上のあらゆる場所に正確な住所表示を(5:18)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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国連によると まだ何十億もの人々が 住所のないところに住んでいます 経済学者ヘルナンド・デ・ソト曰く 「住所がないということは 法の外に(違法に)暮らしているのと同じだ 住民は存在しないも同然だ」と この状況を変えるための 私とチームの取り組みをお話しします
インターネットの地図で ブラジルの貧民街や 南アフリカ共和国の 黒人居住区を見ると わずかの道路と たくさんの空きスペースがあります でも 衛星画像に切り替えると 何千もの人々、家屋、店舗が 地図になっていない 広大で 住所のない空白の中にあります ガーナ共和国の首都アクラには 壁の隅に 数字や文字が 書きなぐってあり 住所のシステムは導入されたものの 完成していないのがわかります でも こういった住所のない場所には 計り知れない経済的な可能性があります
この問題に私が引っかかっている 理由を申し上げます 私は10年間 音楽業界で働き 皆さんはご存知ないかも知れませんが 音楽の世界では 毎日 住所の問題で困っています 演奏会場に行かねばならない ミュージシャンから 機材を持ち込む プロダクション会社まで 誰もがなんらかの形で道に迷います 自分の計画に増員が必要になって 自分が現地に着いたと思って 相手に電話をしたのに まだ着いてなかった なんてことまであるんです かなり散々な日もありました 例えば イタリアでは トラック運転手が 全部の機材を積み下したものの ローマから南に1時間ではなく 北に1時間の場所だったり もっとひどい日には キーボード奏者が私に 電話でこう言いました 「クリス 落ち着いて聞いて いま音合わせを終えたんだけど 違う人の結婚式会場に来たようだ」
観衆:(笑)
このローマでの運命のイベント後 間もなく 話の一部始終を 友人に話しました 友人は数学者で この問題は 私たちでどうにか できるかもと考えたんです 私たちが思ったのは 新しいシステムを作ることはできそうだけど 旧来のシステムっぽくては いけないということでした 2人とも 住所が悪い という考えで一致していました とても正確なものが必要だけど GPS座標の 緯度と経度の表示だと 複雑すぎます
そこで私たちは世界を 3m四方の正方形に分割しました 世界を 3m四方の正方形 57兆個に分割して 辞書にある3つの単語を 組み合わせれば 世界中の全部の四角形に別々の名前が つけられると分かりました たったの3語でです 使った単語は4万語で それを3乗すると 3語の組み合わせは 64兆通りなので 57兆個の正方形全部に 別々の名前をつけても まだ少し余ります まさにそのようにしました 私たちは世界を 3m四方の正方形に分割し それぞれに3語からなる 固有の識別子を与えました いわゆる「three-word address (3ワードアドレス)」です 例えば ここは 私が立っているこの場所は 「マスタード/クーポン/ピンナップ」です
観衆:(笑)
でもここに移動すると 私が立っているのは 「ピンチト/シンギュラリ/テュートリアル」
でも英語だけでやったわけではありません 私たちが思ったのは ユーザーが このシステムを自国語で 使えるようになるべきだということです これまでのところ 私たちは 14の言語で組み立てました その中にはフランス語と スワヒリ語、アラビア語が含まれ 今取り組んでいるのは コサ語、ズールー語、ヒンドゥー語です
でもこのアイデアは 雇ったミュージシャンたちを 時間通りに会場に辿り着かせる だけではありません 現在信頼できる住所がなくて 困っている国の75%が 3ワードアドレスを使い始めれば はるかに重要で多種多様なことに 応用できるようになります 南アフリカ共和国のダーバンで Gateway Healthという非営利団体が 地域のコミュニティに 11,000個の3ワードアドレスを 配布して お産が始まるときに妊婦さんが 救急サービスに電話をかけて 救急車が向かう場所を正確に 伝えられるようにしました でなければ 救急車が彼らを見つけるのに よく何時間もかかるからです モンゴルでは 国営の郵便事業が このシステムを採用し 今では 多くの人の家に 配達が行われていますが 史上初の快挙です 国連はこのシステムを 利用して 被災地での写真にジオタグをつけています そうすれば 必要な地域に正確に 支援を届けることができるからです ドミノピザも これを カリブ海地域で使っています なぜなら この地域では 顧客の家が見つかりにくく 冷めないうちにピザ届けたいと 真剣に考えたからです
近い将来 車に乗り込んで 3つのワードを言えば 自動運転車が正確な場所に 案内してくれるようになるでしょう アフリカ大陸では 固定電話を飛び越えて 携帯電話が使われるようになり 昔ながらの銀行を先回りして 直接モバイルで支払う方法になりました 本当に名誉なことですが アフリカの3か国— ナイジェリア、ジブチ コートジボワールの郵便事業が 3ワードアドレスシステムを 早速 導入したので これらの国々の人は こんにち 自分の住んでいる場所を すごく簡単に言うことができます
私にとって 住所表記がまずいことは 悩ましくもストレスのかかることでした でも 何十億もの人にとって それは事業効率を 著しく低下させる要因であり インフラの成長にとって 大きな足枷となり 命にも関わります 私たちはこの事態を 変える任務を負って 3ワードの活動を進めています
ありがとうございました
(拍手)
「what3words」でクリス・シェルドリックとそのチームは、地球全体を3m四方の正方形に分割し、それぞれの正方形に「famous.splice.writers」、「blocks.evenly.breed」といった3つの単語を使った固有の識別子をつけ、現在住所がない何十億人もの人に正確な住所を付与する活動を行なってきました。大きなアイデアに関するこの短いトークで、シェルドリックは、インフラ建設から、被災地への支援物資輸送、ピザを冷めないうちに宅配することなど、すべての人に正確なアドレスを付与することの経済的、政治的な意味を解説しています。