適切な目標が成功の秘訣である理由(11:52)
講演内容の日本語対訳テキストです。
自動スクロールはしませんので、映像に合わせてスクロールさせてご覧下さい。
私たちは重要な時にいます 我々のリーダーや 優れているはずの組織が みんなの期待を 裏切っています なぜか? 無能さや不正のため であることもありますが 多いのは 目指すところが 間違っているということです これは許容できません 止めなければなりません そういった間違いは どう正せるのでしょう? どうすれば正しい道を 選べるのか? 簡単ではないでしょう
私は長年 様々な優れたチームと 仕事をしてきましたが 彼らが正しい目標を選ぶことも 間違った目標を選ぶこともありました 沢山の成功があり 失敗もありました 今日は その違いを 生むものが何かを お話ししたいと思います 何が重要であり 彼らがなぜ どのように 意義ある果敢な目標を 定めたのか 正しい理由による 正しい目標の話です
1975年に遡りましょう これは私です 多くのことを学んでいた 長髪のコンピューター技師でした 私はアンディ・グローブの元で 働いていました 世代を問わず 最も偉大な経営者と言われています 優れたリーダーであるだけでなく 優れた教師でもある彼は 私にこう言いました 「何を知ってるかは あまり問題ではない 肝心なのは実行だ」 彼はまた「目標と主要成果」 というシステムを生み出しました 語呂がいいですよね うまく実行するためのシステムです これはアンディ・グローブ教授が話している 70年代の有名な映像です
(グローブ) 目標による管理の 2つのキーワードは 目標と主要成果で それぞれ用途があります 目標は方向を定めます 主要成果は測定可能で なければなりません 終わったときに議論することなく 言えなければなりません 「できたのか できなかったのか?」 イエスかノーか シンプルです
(ドーア) アンディらしいですね イエスかノーか シンプルだと 「目標と主要成果」 OKR (Objectives and Key Results) は シンプルな目標設定システムで 組織にもチームにも使えるし 個人でも使えます 「目標」は成し遂げたいと思うことです 「主要成果」はそれを どう実施するかです 「目標」と「主要成果」 「何を」「どのように」 本当のことを言うと 多くの人が 間違った目標を設定し ほとんどの人は 目標を立てさえしません 確かに多くの組織は 何か目標を設定し達成しています 売上げる 新製品を発売する 数字を出す でもチームを鼓舞するような 目的意識を欠いています
目標を正しく設定するには どうすればいいのでしょう? まず 「なぜか?」という質問に 答える必要があります なぜか? 本当に違いをもたらす チームというのは その志と情熱と目的を うまく組み合わせた 明快で説得力ある理由を 持っているものです
1つ例をお話ししましょう 私はある素晴らしい 起業家と仕事しています ジーニー・キムという女性で Nunaという会社を 運営しています Nunaはヘルスケア情報を扱う会社です 会社が設立された当初は 大企業の社員の健康上の必要を満たすために データを活用していました 設立から2年たった頃 米国政府が メディケイドのための 初のクラウドデータベースを 構築する企業を募りました メディケイドは 7千万人のアメリカ人を 支える医療保健で 貧しい人や 子供や 障害者を対象としていることは ご存じでしょう 当時のNunaは 社員がたった15人で データベースは1年で 構築する必要がありました 果たすべき責務がたくさんあり 率直に言って やってもあまり 儲けにはなりませんでした これは社運を賭ける時で ジーニーはこの機を掴みました 臆することなく チャンスに飛びついたのです なぜか? 個人的な理由がありました ジーニーの弟のギモンは 自閉症でした 7歳の時に 最初の大発作を ディズニーランドで 経験しました 地面に倒れ 呼吸が止まりました ジーニーの両親は 韓国からの移民でした ほとんど頼るものもなく アメリカにやってきて 英語もよくしゃべれず 家族をメディケイドに登録することは ジーニーに託されました 彼女が9歳の時です その瞬間が 彼女のミッションを定めたのです そしてそのミッションが 彼女の会社となり その会社が この大きな契約に応札し 勝ち取り 成し遂げたのです ジーニーが理由を説明しています
(ジーニー) メディケイドは 私の家族を破産から救ってくれ 今もギモンやその他の 何百万という人の健康を支えています Nunaは私からメディケイドへの ラブレターです データの1行1行が 人の命であり 尊厳をもって語られるべき 物語なんです
(ドーア) ジーニーの話は 「なぜやるのか」という強い思いが 目標に向けた発射台になることを示しています いったい何を成し遂げたいのか ということです 適切な目標とは 重要で 行動指向で 鼓舞されるようなものです これは曖昧な思考に対する ワクチンの働きをします ロックスターが 「目標と主要成果」を使うというのは 考えにくいでしょうが ボノは長年にわたり 世界の貧困や病気との戦いのために OKRを使っていて 彼の組織ONEは 2つのとても果敢な 目標に取り組んでいます ひとつは 最貧国に対する 債務免除 もうひとつは HIV治療薬を 誰でも使えるようにすることです なぜこれが良い目標なのか? チェックリストで 確認してみましょう 重要か? イエス 具体的か? イエス 行動指向か? イエス 鼓舞されるものか? この点については ボノに聞きましょう
(ボノ) 情熱がありますか? どう情熱的ですか? その情熱で どんな行動をしていますか? 心に頭が伴わないなら 情熱に意味はありません OKRの枠組みは 熱狂を育みます 内なる作用です 失敗が許容される リスクと信頼のための環境を 与えてくれるんです そのような仕組みと 環境があり しかるべき人々がいるなら 魔法はすぐそこにあります
(ドーア) 彼の言葉はいいですね OKRは熱狂を育む 魔法はすぐそこにある ぴったりです
なぜやるのかをジーニーが 何を目標にするかを ボノが語ってくれたので 今度はどうやるのかに 目を向けましょう どうやるのかが 主要成果だと言いました 目標を達成する方法です 成果として良いのは 具体的で期限付きであり 積極的ながら現実的で 計測や検証が 可能なものです そういうのが 良い主要成果です
1999年に私は Googleの創業者のラリーとセルゲイに OKRを紹介しました 写真は「ガレージ」にいる 24歳の彼らです セルゲイはOKRを採用すると 熱意を持って言いました— 正確じゃないか 実際にはこう言いました 「会社を経営するためのものが 何にもないので それを試してみます」と
(笑)
私はそれを お墨付きと受け取りました でも その後 Google社員はみんな 四半期ごとに目標と主要成果を 書き出しているんです それを評価して みんなが見られるように 公開しています ボーナスや昇進の査定に 使われるのではありません それは別の話で もっと高い目的のため 目標に向けみんなが 真剣に取り組むためです
2008年にGoogleの スンダー・ピチャイが掲げた目標は 将来のWebアプリのための 次世代クライアントプラットフォームを 構築するというものでした 端的に言うと 最高のブラウザーを作るということです 彼は主要成果を とても思慮深く選びました 最高のブラウザーかは どうやって測定できるのでしょう? 「広告クリック数」とか 「エンゲージメント」とかありますが 彼はユーザー数を選びました Chromeが素晴らしい ブラウザーかどうかは ユーザーが決めることだからです 3年に及ぶ1つの目標 最高のブラウザーを作る という目標を掲げ 主要成果は毎年同じ 「ユーザー数」でしたが バーを引き上げていきました 最初の年は 2000万ユーザーを 目指しましたが 達成できず 1000万未満でした 2年目は5000万に上げて 3700万という結果でした 良くはなっています 3年目はさらに目標を上げて 1億にしました 積極的なマーケティング キャンペーンをやり チャネルを広げ 技術的改善をし そして ドカーン! 1億1100万ユーザーを 達成しました
この話が気に入っているのは ハッピーエンドだからではなく 注意深く正しい目標を選び 何年もそれを 追い続けているからです 私みたいなオタクには ぴったりの話です
私はOKRを 大望の「何を」と「どのように」からできた 透明な器のように見ています 本当に重要なのは その器に注ぎ込む理由です 自分の仕事を なぜするのかということです OKRは万能薬ではありません 強固な文化や 強いリーダーシップの 代わりになるものでは ありませんが そういう基礎ができているなら OKRが頂上へと導いてくれるでしょう
自分の人生について ちょっと考えてほしいと思います 適切な指標を持っていますか? 自分が価値を置くもの 目標 主要成果を 書き出してみてください 今日やってください 意見がほしければ 私に送ってください john@whatmatters.com 宛に
世界を変えようとする Intelや Nunaや ボノや Googleの 目標を見ると どれもまったく 素晴らしいものです ユビキタスコンピューティング 安価で最高のヘルスケアを すべての人に 世界から貧困をなくす 世界のあらゆる情報を アクセス可能にする これらの目標のどれもが OKRによって 動いているんです
私はアンディ・グローブの 素晴らしい福音を広める 「OKRのジョニー・アップルシード」と 呼ばれていますが 私は皆さんに 加わってほしいんです 本当に重要なことのために 戦いましょう OKRはビジネスに 限ったものではありません 家族でも 学校でも 政府でも使えるものです 政府に責任を 持たせることができます 情報を変えることができます 正しい道に戻すことができます ただ本当に重要なことが 測れさえするなら
ありがとうございました
(拍手)
私たちのリーダーや組織が期待を裏切っていますが、それは必ずしも無能さや不正のためではないと、ベンチャー投資家のジョン・ドーアは言います。時にそれは、単に間違った目標のためなのだと。この実践的な講演では、GoogleやIntelやボノがその大いなる目標の設定と遂行に使っている「目標と主要成果」(OKR) という目標管理法によって、いかに正しい道を進めるかが示されています。適切な目標設定が成功と失敗を分けうること、OKRによってリーダーや自分自身に責任を持たせられることを知ってください。