フェイクニュース大国 ロシアとの戦いの中で(05:17)
講演内容の日本語対訳テキストです。
自動スクロールはしませんので、映像に合わせてスクロールさせてご覧下さい。
2014年7月5日 ウクライナ軍はウクライナ東部の スラヴャンスク市街に入りました 軍は地元民全員をレーニン広場に集め その場で 親ロシア派活動家の息子を はりつけにしました まだ3歳の子どもをです この話は難民のガリーナ・ピシュニャクが ロシアのチャンネル1に話したものです
実は この事件は起こっていません 私はスラヴャンスクを訪ねましたが レーニン広場というものはありませんでした 実際には ガリーナの夫が ドンバスで活動する親ロシアの過激派でした
これは数あるうちの一例にすぎません ウクライナが ロシアのプロパガンダと フェイクニュースに苦しまされて もう4年になります しかしこの宇宙でロシアだけが それを行っているわけではありません フェイクニュースは世界中に溢れています 私達は皆フェイクニュースが何なのか 知っています よく見たり読んだりします しかしフェイクニュースで問題なのは 私達は 何が嘘で何が真実か 分かるとは限らないのに マスコミやソーシャルメディアから 得た事実を基に 判断を下すことです 事実が間違っていれば 判断も間違うことになります
多くの人が他人を一切信用しなくなり そのことが さらに危険性を高めます そうした人は容易に 選挙で人民主義者の餌食になり 武器を取ることもあります フェイクニュースは ジャーナリズムだけでなく 民主主義や社会にとっても脅威です
4年前 所属不明の兵士達が クリミア半島に侵攻しました 同じころ ロシアのメディアはウクライナについての フェイクニュースに熱を上げていました そこで ジャーナリストの私達は フェイクニュースを調査するための ウェブサイトを開設しました 私達はそれをStopFakeと名付けました その趣旨はシンプルです あるニュースを取り上げ 検証可能な裏付け資料と照らし合わせます 写真や映像 その他の強力な証拠物です もしフェイクだと分かった場合 それをサイトで公表します 今やStopFakeは 情報のハブになっており プロパガンダをあらゆる面から分析しています サイトは11の言語に対応しており 数百万回 閲覧されています 私達は1万人以上に 真実を見分ける方法を教えてきました そして世界中で 事実検証を担う ファクトチェッカーを育成しています
StopFakeはウクライナに関する 1千以上のフェイクニュースを暴いてきました これまで特定したところでは 18の話が フェイクニュースを基に作られています 例えば ウクライナは ファシスト国家だ 破綻国家だ クーデターによって力をつけた軍事国家だ というものです 私達は これは 報道のあり方が悪いのではないと証明しました 故意の誤報なのです
フェイクニュースは情報戦争において 強力な武器になります しかし私達にもそれに対抗する術はあります 皆 スマートフォンを持っていて なにか面白そうなものを見つけると よく自動的にしてしまいますね クリックして拡散するんです では フェイクニュースに 加担しないためには どうしたら? まず ある情報が過剰にドラマチックだったり 感動的だったり やたらクリックへ誘導するなら それは おそらく真実ではないでしょう 真実は時に退屈なものです
(笑)
作りものは いつだって魅力的です あなたの心を捉えるように 作られているからです 自分の手で調べてください これが2つ目のポイントです とてもシンプルです 他のサイトを見てみてください 別の情報源を確認してください 名前や住所、車のナンバー 専門家や著者を検索してください ただ鵜呑みにしないで 確認してください これが このフェイクニュースの広がりを 食い止める唯一の方法なのです
この情報戦争ではフェイクニュースだけが 問題なのではありません 私達の社会は信頼で成り立っています 制度や 科学への信頼 指導者への信頼 報道機関への信頼です フェイクニュースは 信頼を壊すものであり 信頼を取り戻せるかは 私達次第です
ですから自分に問うてください あなたが無くした信頼は何ですか? どこで信頼をズタズタにされましたか? そして それに対して これから あなたは何をしますか?
ありがとうございました
(拍手)
難民の住居としてよく紹介されるのは遠隔地の仮設難民キャンプですが、現実には全世界の難民の60%以上が都会に定住しています。TEDフェローのロバート・ハキザが都会に暮らす難民の生活の様子を紹介します。また、彼が始めた支援団体のような組織が難民に必要なスキルを与え、最終的に自立に導く様子を見せてくれます。