政治家をあるものに置き換える大胆な構想(11:36)

ニルス・ヴァン・ナーメン(Niels Van Namen)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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たぶん驚くこともないでしょうが 私は病院に居たくありませんし 病院に行きたくもありません あなたは? 皆さんの多くは同じ気持ちですよね? でもどうして? なぜ私たちは 病院を嫌うのでしょうか? これは人生で 避けられないことなのでしょうか? 味気ない食事? 高い駐車料金? 独特の臭い? それとも分からないことへの恐れ?

すべてそうですし まだ他にもあります 患者はしばしば 一番近い病院に行くために 長距離の移動を強いられ 病院医療へのアクセスは 大きな課題になっています それは田舎や そして米国での問題ですが 人口がまばらな スウェーデンでも同様です 病院がたくさんある場合でも 典型的に貧困者や高齢者は 便利で安価な移動手段が無くて 医療を受けられません

そして多くの人が 費用を理由として病院を避け そのせいで適切な治療を 受けていません 64%のアメリカ人が 費用を理由に通院を避けています 更に治療を受けても 病院が時として病を重くします 米国内の死因の第3位は 医療ミスによるもので 癌と心臓病に続く 3番目の死因です

保健医療に20年以上従事してきて 病院システムがいかに崩壊していて 廃れているか いつも目にしています 例を2つお話ししましょう 日本の医師の4割 アメリカの医師の半分が 燃え尽きています 私の祖国オランダには たった1,700万人しかいませんが 今後数年で看護師が 12万5千人不足します

そもそもどうして 病人を1つの建物に詰め込む というアイデアに たどり着いたのでしょう? 話を古代ギリシャに戻してみましょう 紀元前400年 治癒のための寺院が建てられ 人々は診断のため治療のため そして治癒のために通いました それから2,000年もの間 宗教的な治療院が 産業革命に至るまでありましたが 産業革命の原理に則った 流れ作業のような病院が作られ 効率化し 製品を— この場合には患者ですが— できるだけ早く 病院から退院させていました

この1世紀に興味深い イノベーションがいくつも生まれました インスリンの製造方法が発見され 心臓ペースメーカーやX線撮像を発明しました そして素晴らしい 細胞・遺伝子治療の時代も到来しました でも病院システムを根本から 改善するという最大の変革は まだ先のことです そして私の信ずるところでは 今こそ 一挙に病院システムを改革し 現在のシステムを片付ける チャンスなのです まったく新しいシステムを創り上げ 在宅医療に革命を起こそうとしています

最新の研究では 46%の院内医療は患者の自宅で行えると 報告されています たいへん高い割合です それは主に慢性疾患の患者の場合です そのため病院は 急性期医療に特化した 小規模で機動性があり 移動可能な医療センターに 縮小できるし そうすべきです 新生児医療 集中医療 手術や画像診断は 少なくとも私の予測できる未来においては 病院に残り続けると思います

数週間前に同僚と会いました 彼女の母親は末期ガンと診断されたのですが 「ニルス 大変なの 母の余命が数ヶ月とわかってから大変なのよ 孫と遊ぶ代わりに 今は週に3回も小旅行を しなければならないの 片道2時間もかけてアムステルダムまで 治療と検査のためだけによ」 私は胸が痛みました プロの看護師であれば採血くらい 自宅でできることが 分かりきっています ですよね? もし彼女が検査や それから治療も自宅で受けられたら 最後の数カ月に彼女にとって とても重要なことが できたはずです 私の実母は82歳ですが 彼女が病院に行くのを避けるのは 旅程を計画したり管理したりするのが 難しいからです そこで私と妹が手助けをします でも医療を避ける高齢者は 他にもたくさんおり 生命の危機に至るまで 長々と待っていると 間違いなく高額な 集中医療に行き着きます コビンスキー医師は カルフォルニア大学の医療研究者で 70歳を超える患者の3分の1と 85歳を超える患者の半数以上が 通い始めたときよりも 悪い状態で病院を去ると結論づけています そして現実的な問題— 病院に行く際に 多くの患者が直面する問題は 自分の一番の相棒と行くならどこか? 飼い犬と行くならどこか? です ところで我が家の犬です かわいいでしょう?

(笑)

それは利便性だけの問題ではなく 不要な入院や 不要な費用についてなのです 私の友人のアートです 彼は最近簡単な手術のために 入院することになりましたが 2週間以上の入院を強いられたのは ある特定の抗生物質の点滴が 必要だったからです 2週間病院のベッドで過ごし その費用は1日1,000ユーロを超えました 馬鹿げた話です

こういったコストこそが 問題の核心なのです 世界的経済において 多く目にするのは ここ数年間 保健医療費が GDPに占める割合が 上がり続けていることです ご覧の通り 過去50年間で ドイツでは保健医療費は 約5%から 11%に上昇しています 米国では6%だったものが 17%を超えています そのような費用の大部分は 大規模できらびやかな 病院の建設費です そしてそれらの建造物は柔軟性がなく 病院を効率よく経営するには 病床が埋まる必要があるような システムのままになっています 病院にはベッド数を削減して経営する インセンティブは全くありません 考えるだけでも病気になりそうだ そうでしょう? そこでですが 私の友人アートの在宅医療費は 病院医療の10分の1程度で 済ませることができます

これこそが私達の向かう方向です 未来の病院ベッドは 私達の自宅にあるでしょう それはもう始まっています 全世界的に在宅医療は 毎年10%伸びています 私自身の経験から 移動手段と科学技術が 在宅保健医療を機能させるのです 科学技術は今まで病院でしか できなかった医療を 病院以外でもできるようにしました 採血のような診断検査 血糖値検査 尿検査などは居心地の良い 自宅でできるようになっています ネットで繋がったデバイスが増えるに連れ たとえばペースメーカーや インスリンの自動投与機などが 手当が必要になる前に 通知してくれるようになるでしょう それらの科学技術が うまく合わさることで 患者の健康状態をより良く把握でき そうした様々な情報が より良い管理に繋がり 医療ミスが— 米国内の死因の第3位である医療ミスが 削減されるのです

日々の仕事でも目にしています 私の仕事はロジスティックスですが 在宅医療は良く機能すると思います 患者の自宅に医薬品を運搬する 運転手がいます 看護師が同行して投薬を 患者の家でします 簡単なことなのです 私の友人アートを思い出して下さい 彼は抗生物質の点滴を 快適な自宅で受けられます 病院服や味気ない病院食も 病院にいる抗生物質耐性菌に 感染するリスクも ありません でもそれだけに留まりません 高齢者の方が必要な処置を 安らぎがあり かけがえのない相棒もいる 自宅で受けられるのです 処置や検査を受けるためだけに 何時間も運転する必要も もうありません

オランダとデンマークでは がん治療クリニックでの とても良い成功例があります 患者の自宅で 化学療法を施すものですが 時として患者仲間が 集まって処置を行います そういった患者にみられた 最大の改善は ストレスの軽減と 不安障害と鬱の改善です 在宅医療は患者がいつもの感覚を 取り戻すのにも役立ち 人生における自由を取り戻し そういった状態が 病気を忘れさせてくれるのです

在宅医療について話してきましたが 例えば私が家を持っていない そうホームレスだったら あるいは家はあるのだけれども 面倒を見てくれる人がいなかったり 家に入れてくれる人がいなかったら? そこで登場するのが シェアリングエコノミー あるいは いわゆる在宅ケアのAirbnbです オランダでは教会とケア団体が協力して ケアや話し相手が必要な人と その用途の家を持ち ケアや話し相手の 提供ができる協力者とを結びつけます

在宅医療は廉価で 容易に促進でき 迅速に構築でき これまでお話しした郊外もそうですが 人道の危機的状況でも 自宅に作ったほうが 安全で迅速で廉価にできるのです 在宅医療は 裕福な地域にぴったりですが 恵まれないコミュニティでも 適用可能です 在宅医療は先進国でも機能しますし 途上国でも機能します

だから私は 在宅医療により 患者の生活を改善しやすくすることに 情熱を注いでいます 高齢者が住み慣れた自分の家で 自分の最良の相棒を傍らに座らせて 必要な治療を受けやすくなるように 情熱を注いでいます そういった変化をもたらし 患者自身が病に邪魔されず それぞれの生活を確実に取り戻すことに 情熱を注いでいます 私にはそれが自宅で受ける医療 ということになります

ありがとう

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このプレゼンテーションについて

病院に行くことが好きな人はいません。そこへたどり着くまでの面倒や巨額の治療費や抗生物質耐性菌のような複雑で警戒すべきリスクの数々がその理由です。でも病院で行われる救命治療が自宅で受けられたらどうでしょうか? 保健医療の未来派であるニルス・ヴァン・ナーメンは科学技術の進歩によって、在宅医療が安価で安全な、よりアクセスしやすい病院医療の代替となると説明します。

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