移民の子供の気持ち(8:01)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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ある朝 私が小学校三年生だった時 母が「フフ」というガーナの伝統料理 とともに学校に送り出してくれました
(笑)
フフはキャッサバでできた デンプンの白い玉で 濃いオレンジ色の 薄味スープと一緒に食べます そして このスープには鶏肉 牛肉 もしくは両方が入っています 美味しい 風味豊かな一品で 母は 寒い日に私を温めてくれる と思ったのです 昼食で 魔法ビンを開け 新しい香りを放った時 友達は好意的には反応しませんでした
(笑)
「何それ?」と一人は聞きました
「フフだよ」と答えました
(笑)
「うわ 変な匂いがする フフって何?」 と聞かれました
彼らの反応で食欲が失せてしまいました 母には二度と弁当にフフを入れないでくれ と頼みました サンドイッチかチキンヌードルスープ またはなんでもいいから 友達が食べるものを頼みました そしてこれが初めて 自分の家族に独特なものと 他の人に普通なものが違うこと 何がガーナのもので 何がアフリカのもので 何がアメリカのものかの違いに 気付いた時でした
私は第一世代のアメリカ人です 両親は移民です 実際 私の父 ガブリエルは50年ほど前に アメリカに来ました 西アフリカにあるガーナの 北部地域のクマシと言う都市から 西アフリカにあるガーナの 北部地域のクマシと言う都市から ニューヨークに来ました 勉学のために来て 会計学の学士号を取得し その後会計士になりました 私の母 ジョージーナは 数年後に彼の元へ渡米しました ファッションが大好きで 自分で女性用の衣料品店を開けられるほど 貯金が貯まるまで マンハッタン南部の 縫製工場で働きました 私は自分のことをアメリカ人であり アフリカ人であり ガーナ人であると思っています そして世界中の何百万人もの人が これらの異なる区分けを掛け持ちしています ジャマイカ系カナダ人 韓国系アメリカ人 またはナイジェリア系イギリス人かもません しかし 私たちの物語や経験の違いは 親が生まれ育った国とは違う国で 生まれ育ったことから来ていて 視野の狭い人から見て 誤解される恐れがあります
私はニューヨークという アメリカの中で 最も移民の多い場所で育ちました 従ってニューヨークのような場所で 移民第一世代が馴染むのは 簡単だと思うかもしれません しかし 私の子供時代を通じて 私が属している様々な世界の 理解を決定づける瞬間が いくつもありました
私が5年生の時 ある生徒が 私の家族は難民かと聞きました その言葉の意味を知りませんでした 彼は自分の両親に言われたことを 説明してくれました 難民とは 死 餓死 病から逃れるために アメリカに来るアフリカ人だと 私は自分の両親に聞いてみました すると少し笑われました 面白いからではなく 短絡思考だったからでした そしてガーナには十分食料があり アメリカには 自分の意志で移住して来たと 安心させてくれました
(笑)
これらの問いは 歳をとるにつれて もっと複雑になって行きました 中学校で私は初めて 大人数のアメリカ人の黒人学生と 一緒の学校に通いました そしてその多くが なぜ私が彼らとは違う喋り方をするのか なぜ私の親は彼らの親とは違うのかを 理解できませんでした
「それでも黒人なの?」と ある生徒が聞きました 私は自分で黒人だと思っていましたけど
(笑)
肌の色から自明だと思っていました
(笑)
父に聞くと 自分も初めてアメリカに来た時 その意味について混乱していたことを 話してくれました 彼がガーナにいた時 全員黒人だったため そのことについて 考えもしなかったと説明してくれました しかし アメリカでは 考えるのです
(笑)
それでも父は 「お前はアフリカ人だ 覚えておけ」と言います そしてこれを力説しました たとえたくさんのアフリカ人が私のことを アメリカ人として見なしていても
これらの誤解 そして複雑な文化問題は 子供達からだけの質問ではありません 大人たちも移民とは誰なのかを知りません 現在の傾向を見て アメリカで今最も急速に増えている— 移民の人種は何かと私が聞けば 誰だと思いますか? 10人中9人は ラティーノと答えますが 実はアフリカからの移民なのです では 教育界では? 最も教育程度の高い移民の人種は? 多くの人はアジア人だと思いますが 実はアフリカからの移民なのです 政策面でも 旅行が禁止されている 8カ国中3カ国が アフリカの国だと 知っていましたか? 多くの人は 敵視されるイスラム教徒は 中東にしか住んでいないと思いがちですが その禁止されている人の多くが アフリカ人なのです そのため このような教育 政策や宗教の問題に関する 私たちの移民に対する先入観は 間違っているのです 職場の多様性や受け入れ方について どの性別と民族性の組み合わせで 上級管理職に昇進する可能性が最も低いか と聞いたら 誰だと思いますか? 今回の答えは アフリカ人ではありません
(笑)
黒人の女性でも男性でもなく ラテン系の女性でも男性でもありません アジア人女性の昇進の可能性が 一番低いのです
このような話や問題を取り上げ テクノロジーで見つけやすくすることが デジタル・ストーリーテラーとしての 私の仕事の一部です 今年 肖像画や自伝の オンラインギャラリーを エノディというプロジェクトのために 開始しました エノディの目的は 私のような 育った国との繋がり 生まれた国との繋がり そして黒人としての繋がりを持った 移民第一世代を取り上げることです このデジタル空間は 様々な母国で誤解されている私たちの サイバーホームになるように 作りました エノディという ハイフンを使って母国と アメリカ カナダ イギリス もしくはドイツにある 我が家をつなげる人たちが 何百万人もいます 実際に あなたたちが知っている 多くの人がエノディです 役者のイッサ・レエと イドリス・エルバもエノディです コリン・パウエル 元検事総長のエリック・ホルダー 元米国大統領のバラク・オバマも 皆 アフリカ移民か カリブ海移民の子供達です しかし 皆さんはどれだけ 私たちのことを知っているでしょう この複雑なかじ取りは 第一世代だけが経験すること ではありません
私たちは深く 北アメリカやヨーロッパの人々の 生活や文化に関わっています どれだけ私たちが皆さんの 歴史と未来に重要かに 驚くかもしれません だから 私たちを会話に引き込んでください 移民とは実際に誰なのかを見出して 私たちを 特徴づけや 限られたメディアの物り口や どう見えるかとは別に接してください 私たちは生きた文化のるつぼなのです そして もしそのるつぼの中が 新しい または違う匂いがしても
(笑)
そっぽを向かないでください 一緒に食べよう と言ってください
ありがとうございました
(拍手)
マイケル・レインは、移民第一世代—育った国と生まれた国の両方と強い繋がりを持っている人たち—の話を伝える任務に就いています。このトークでは、移民に対する誤解や移民の限られた体験談を解き、彼らが属する世界の物語を共有します。「私たちは生きた文化のるつぼだ。」とレインが語ります。「もしそのつぼの中の物が、新しい、または違う匂いがしても、そっぽを向かないでください。一緒に食べよう、と言ってください。」