次世代のアフリカの建築家とデザイナー(12:57)

クリスチャン・ベニマナ(Christian Benimana)
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対訳テキスト
講演内容の日本語対訳テキストです。
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私のこれまで最長の旅は 2002年でした まだ19歳の時です その時 人生で初めて 飛行機に乗り 初めて外国に 行きました ルワンダから

何千キロも移動して 夢を追いかけました 子供の頃からの夢です その夢は 建築家になることでした それは当時 私の国では不可能でした 建築の学校がなかったのです だから 奨学金を得て 中国に留学した時 私の国での生活と家族を後に残して 上海に移りました

それは素晴らしい時代でした 中国は 大規模な建設ブームの 真っ只中で 私の新しい故郷 上海は 短期間に 超高層ビルの都市に 変貌しました 中国は変化しつつありました 世界水準のプロジェクトで 発展の新たなイメージを発信しました 現代的で技術の粋を集めた建物が 文字通り至る所に 建っていきました しかし その裏で 非常に多くの出稼ぎ労働者の搾取や 何千人もの大規模な立ち退きによって こうしたプロジェクトが 可能になっていました このように急速な開発は 環境汚染の大きな原因にもなり 今も中国につきまとっています

その後 2010年に 私はルワンダに帰りました そこで見た開発パターンは 中国のものに似ていました ルワンダでは 当時も今も 人口増加と経済成長が続いています 都市、インフラ、ビル建設への圧力は ピークを迎えており 結果として 大規模な建設ブームも起きています

これはアフリカ大陸全土で 起きていることです 理由は こうです 2050年までに アフリカの人口は二倍になり 25億人に達します その時 アフリカの人口は ほぼ 現在の中国とインドの人口を 合わせたぐらいとなります これほどの人数を収容するのに 必要なインフラやビルは 人類史上 類を見ない規模になります 私たちの推計では 2050年までに 住居を7億戸 建てなければなりません 学校は30万校以上 医療施設は10万施設近く 建てなければなりません

分かりやすく言い換えましょう 今後 35年間 毎日 7か所の医療施設と 25校の学校と 6万戸近い住宅を 建てなければなりません

これら全てを どうやって 建てるのでしょうか? 私が中国で見たような 持続可能とは言えない建築や建設のモデルに 倣うのでしょうか? あるいは アフリカ独自の モデルを生み出し 持続可能で公平な開発が できるでしょうか 私はできると信じています すでに始めているアフリカ人を 私は知っています 例えばナイジェリアの建築家 クンレ・アデイェミの 海岸沿いの大都市の スラムでの活動です ラゴスのマココのような 何十万人もが 水上の高床式の仮設住宅に 暮らす場所です 政府によるインフラやサービスは ありません 海面上昇や気候変動の 大きなリスクのあるコミュニティです それでも ここに住む人々は 偉大な知恵と 生き延びる意志の模範例です クンレのチームは 海面上昇にも 耐えられる学校の 原型を製作をしました これがマココ・スクールです この原型は水面に浮かぶ構造で 診療所や 住宅、市場など このコミュニティに必須な インフラに応用できます これは独創的な解決策です コミュニティがラゴスの水面上で 安全に住めるようになります

彼はフランシス・ケレです 母国 ブルキナファソで 活動しています ケレのチームが設計したプロジェクトは 伝統的な建築手法を用いています ケレのチームは コミュニティで活動し 学校の原型を開発しました コミュニティ全体が この国の村の あらゆるプロジェクトでも同じように 一緒に建てたのです 子供達は 基礎となる石を 運びました 女性たちは レンガ作りのための 水を運びました そして 皆で一緒に 粘土の床を叩きました コミュニティと共に働いて ケレのチームはよりよく機能する プロジェクトを作り上げました 十分な明るさと 十分な換気を備えています この特定の環境に 適したものであると同時に 本当に美しいのです

これまでの7年間 私は MASSデザイングループで 建築家として働いています ルワンダで始まった設計会社です アフリカのいくつかの国で 業務を行なっており より公正で 持続可能な 建築の実践モデルに 注力しています マラウィも そのような国の一つです 美しい 人里離れた風景があり 高い山々と 肥沃な谷があります 一方で 世界で最悪の 産婦死亡率を持つ国の一つです マラウィの妊婦は 自宅で出産するか 最寄りの診療所まで 非常に長い道のりを歩かねばなりません このような母親の36人に1人は 出産中に亡くなります

そのマラウィで MASSデザイングループのチームと カスング妊婦待合村を設計しました これは 女性が出産予定日の 6週間前にやってくる場所です ここで出産前ケアを受け 栄養学や家族計画の 研修を受けます 同時に 他の妊婦やその家族との コミュニティも形成するのです カスング妊婦待合村のデザインは マラウィの村に固有な型を借用し 非常に単純な素材と技術を使って 建てられています 私たちが用いたブロックは この敷地の土から作られたものです これによって この建物のカーボン・ フットプリントが削減されます しかし まず何よりも 妊婦にとって 安全で 尊厳ある空間を 提供するのです

これらの事例は 建築やデザインが 複雑な問題に取り組む 力と主体性があることを示します しかし より重要なのは 私たちは コミュニティにとって 効果的な解決策の モデルを築けることです しかし 3つの事例では足りません さらに300例あっても 足りないでしょう アフリカの建築家とデザイナーの コミュニティ全体が さらに何千もの事例で 先導する必要があります

今年5月 キガリで アフリカの建築について シンポジウムを開催し アフリカ大陸全土で活動する アフリカ出身の一流デザイナーや 建築学の教育者を たくさん招待しました 私たちには 一つの共通点がありました 全員が 外国の学校 それも アフリカの外の学校に 通ったことです これは 変えなければなりません もし 私たちが 私たち自身の 解決策を生み出そうというなら キガリを北京にしようとするのではなく ラゴスを深センにするのでないなら 次世代のアフリカの建築家や デザイナーの 設計への自信を育てる コミュニティが必要です

(拍手)

去年9月 私たちはアフリカン・デザイン・ センターを立ち上げ そのコミュニティづくりを始めました アフリカ大陸中から 11人の研修生を受け入れました これは 20ヶ月間の設計と建築の 研修プログラムです ここで彼らは クンレや彼のチームのように 都市化や気候変動などの大きな課題に 取り組むために学んでいます ケレや彼のチームのように コミュニティと共に働き 革新的な建築による 解決策やプロセスを生み出します 私たちがMASSデザイングループで 過去数年にわたって研究してきたように 彼らは より良い建物が 健康に与える効果について 理解しようと学んでいます このフェローシップ最高の瞬間は 彼らが実際に設計し 建設するプロジェクトです

これは ルヘヘ小学校です 彼らが設計したプロジェクトです 彼らはコミュニティで共に暮らし 課題を理解し 好機も発見しました 例えば 地元の火山石で作った 壁を使い 校地全体を 遊びとアクティブ ラーニングのスペースにするのです 彼らは環境条件も評価し 日照を最大にし 音響効果も良い 屋根のシステムを開発しました ルヘヘ小学校の建設は 今年始まります

(拍手)

そして これからの数ヶ月間 アフリカン・デザイン・センターの 研修生は ルヘヘのコミュニティと 手を取り合って建てるのです

研修生に アフリカン・デザイン・センターの 研修後 何がしたいか尋ねると 南アフリカ出身のツェポの答えは この新しい建築方法を母国に 導入すること でした そのため 彼は ヨハネスブルグで 個人で開業する予定です ザニは 女性がエンジニアになる機会を 増やしたいと考えています アフリカン・デザイン・ センターに加わる前 ナイロビで エンジニアリング分野の 男女格差を解消する組織の 立ち上げを手伝っていました 彼女はこの運動を アフリカ中に そして最終的には 世界中に広げたいのです モーゼスは 南スーダン ー 世界で最も新しい国の出身で 母国の素材を使った 建築の方法を教える 初の技術専門学校を作りたいのです モーゼスは建築家になるために 決意が必要でした 母国の内戦によって 彼の建築教育は たびたび中断されました アフリカン・デザイン・センターに 応募した時も 電話インタビューの後ろで 銃声が聞こえました しかし たとえ内戦の最中でも 建築は コミュニティの結びつきを 回復できる一つの方法だという 信念を持ち続けました 優れた建築が 将来のアフリカを築く方向性に 影響を与えるという この研修生の信念に 感動せずにはいられません

アフリカの過去にない成長を 見過ごすことはできません 未来のアフリカの都市を 想像してください 広大なスラム街ではありません 地球上で 最も逆境に負けない 最も社会的包摂が 進んだ場所になるでしょう それは 達成可能です 私たちには それを 現実のものにする才能があります しかし 将来の課題に向けて その才能を準備する道のりは 私自身にとってそうであったように あまりにも長いのです 次世代のアフリカの 創造的なリーダーのために 私たちは その道のりを 短く 効率化しなければなりません しかし 最も重要なのは ー いくら強調しても足りませんが ー 私たちは 彼らにデザインの 自信をつけさせ 真にアフリカらしく かつ 世界的に感動を与える解決策を 生み出せるよう 力を与えなければなりません

ありがとうございました

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このプレゼンテーションについて

クリスチャン・ベニマナは、アフリカの成長著しい都市が、持続可能かつ公正な方法で繁栄するよう取り組む建築家のネットワークを築こうとしていますー発展とアフリカ独自の価値観のバランスをうまく取りながら。彼は、ナイジェリアからブルキナファソを越えて、コミュニティ同志を結び付ける建築の事例を紹介します。アフリカ大陸内外に広がる建築家、デザイナー、エンジニアの汎アフリカ的活動は互いに学び合い、刺激を与えあっています。そして、ベニマナは私たちに、地球上で最も逆境に負けない、最も社会的包摂が進んだ場所としてのアフリカの都市の未来を描くよう、語りかけるのです。

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