古代の驚異的建造物に隠された建築の秘密(04:22)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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今 私たちが建設するものが 将来 驚異的建造物だと 見なされるでしょうか? ストーンヘンジや ピラミッド マチュピチュやイースター島を 考えてみてください どれも現代の建築とは 大きく違っています 巨石をたくさん使って 複雑かつ 一見非論理的な方法で 組み立てられており さらに 建設の過程を示すものは 残っていないので 神秘に包まれています 人が作ったなんて 思えないのも そのはず― 人ではないのです 原始的な巨人族が 注意深く作ったものなのです そう サイクロップスです
(笑)
私はこの巨人たちと協力して 巨石を動かす秘訣を 学んできました 実はサイクロップスも そこまで力持ちではありませんでした 素材を活かすのに 非常に長けているだけなのです
さて ビデオに映っている 大きな石のような うねうねした生き物は この協同作業の成果です まあ サイクロップスは 架空の生物であるにせよ 驚異的な建造物は 現実のものです 人の手で作られたものです 同時にそれを取り巻く 神話も作られました 驚異的建造物では 神話と現実が強く 結びついているのです
例えばイースター島です オランダ人探検隊は 初めて島民に出会ったとき ラパ・ヌイの人々に 尋ねました 先人は一体どうやって 巨像を運んだのか と ラパ・ヌイの人々は言いました 「先祖が像を動かしたのではない 像が自ら歩いたのだ」と
何百年もの間 忘れられてきましたが これは本当です モアイとして知られる像は 左右に回転しながら 立ったまま運ばれました いいですか? モアイは現代人にも 壮観ではありますが 当時を想像してみてください 巨大なモアイ像たちが 島を歩いているのです 真の記念碑は 像そのものではなく 石に命を吹き込む 文化的儀式のほうだったのです
建築家として 私は この夢を追い続けてきました いかに建築についての考えを変えて 神秘的な側面を取り込めるだろうか? そこで私は自分への挑戦として パフォーマンスを行ってきました 大きく重い物体を 動かし立たせるという― 古くからある シンプルな課題です この5メートルの巨石は 地面を歩いて直立するよう 設計されました この1.8トンの巨大な物体は 自ら起き上がっては 生き生きと踊ります そこで分かったのは 着想から完成まで 建築を成果物ではなく パフォーマンスとして 捉えることによって 現在も使える賢い建設方法を 再発見できるということです
未来について語るとなると テクノロジーや効率や スピードの話ばかりです でもサイクロップスから 私が学んだことは 驚異的建造物は賢く 壮大で持続可能でもありうる ということです 大規模であり 神秘をまとっているからです 古代の驚異的建造物の建設方法を 人は今も知りたがりますが 私はサイクロップスに どうしたら神秘を生み出して 「どうやって?」と 思わせられるかを尋ねています
30年か60年の寿命を想定して 建造物を設計する時代にあって どうしたら永遠に 人を楽しませるものを 作れるかを知りたいのです
ありがとうございました
(拍手)
古代文明の人々は、どうやって巨石を動かしてストーンヘンジやピラミッド、イースター島の像を作ったのでしょうか? この短くも楽しいトークで、TEDフェローのブランドン・クリフォードは過去の建築の秘密を明かし、こうした巧妙な手法を未来に残る建造物を作るのにどう使えるかを教えてくれます。「30年か60年の寿命を想定して建造物を設計する時代にあって、どうしたら永遠に人を楽しませるものを作れるかを知りたいのです」と、彼は言います。