世代についての既成概念はどれだけ仕事を妨げているか(11:35)

リア・ジョージズ(Leah Georges)
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対訳テキスト
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アメリカの現代史上 はじめて 5世代が職場で関わり合っています

ベテラン世代は 1922年から 1943年の間に生まれた世代で “偉大なる世代”や成熟の世代 沈黙の世代として知られています 自己を犠牲にすることで知られており 権威に敬意を払い 働くこと自体が見返りだと考えます

ベビーブーム世代はそのすぐ後 1944年から1960年の間に生まれました 勤勉であることが特徴です この世代から「ワーカホリック」 という言葉が出てきたほどです 競争を奨励し 効率的な コミュニケーションを大事にします まだ定年してない場合 定年後のことを考えつつある世代です

X世代は ロストジェネレーション またはカギっ子世代として知られ 1961年から1980年の間に 生まれた人たちです 人口が最も少ない世代で ベビーブーム世代と 人数の多いミレニアル世代に挟まれています 上の どの世代よりも多くの家庭で 親が離婚した世代でもあります また ワークライフバランスという考えを 生み出した世代であり それを職場環境で 初めて 実際に要求した世代です

そしてミレニアル世代― 誰でも賞がもらえた世代ですね 1981年から2000年 の間に生まれました 家庭にテクノロジーが存在しなかった時代 なんて知らない世代です 非常に現実的で 希望に満ち 強い意志を持っています 自分たちが世界を 変えるのだと思っています 正直 その通りだと思います やや理想主義的なところも あるかもしれませんが このわずか数年間で ミレニアル世代は X世代を追い抜いて 職場でもっとも大きな割合を 占める世代になりました 現に アメリカの労働者の 3分の1以上が ミレニアル世代です そしてもうすぐ加わるのがZ世代 2000年以降に生まれ 高校生インターンをしていたり もうすぐ高校を卒業する世代です

さて ブラウザを開いて Amazonを見たり 好きな検索エンジンで 検索してみましょう 現代の職場は戦場だと 思うかもしれません こんな題名のブログが目に入ります 「ミレニアル世代が最悪である 17の理由」とか 「ベビーブーム世代は 世の中を駄目にしたのか」 「世代間の大分断を解決するには」など まるで『ウエスト・サイド物語』です ベビーブーム世代がこっちの扉 ミレニアル世代があっちの扉 ロビーのほうから登場し 一日中争い合い 不平を言い 帰宅し そしてまた職場にやってくるのです

でも 実はそもそも世代というものが 存在しないかもしれないとしたら? このテーマについて これまで 考え 研究してきましたが 私も他の研究者たちも 世代というものが本当に存在するとは 言い切れないのでは と考えています もっと言えば 各世代の存在は 認めることができたとしても 誰をどの世代に入れるかについては 確実に 見解が合いません 同じ世代の中でも 20年とか開きがあるわけなので 歴史上の どの瞬間であっても 1歳と20歳が 共通の価値体系を持っていて 仕事で同じものを求めていて 本人の都合に関係なく 同じ既成概念が 当てはまるなんてありえません 実際 世界では地域ごとにそれぞれ 世代を異なる形で定義しています だから 異なる地域とは 世代を 比較することさえできないのです しかも 往々にして 世代についての既成概念は その通りに現実化してしまうものです 人々が各世代の一部であるかのように ふるまい始めるのです 世代とは現実のものであると 声高らかに言われてきたからです でも私には確信が持てません

この「世代」という考え方は アメリカ文化に深く 染み付いてしまっています 「世代」が話題にのぼるとき 何の話をしているのか みんな 正確に理解しています 実際 各世代について 思うところも 感じることも たくさんあるのです そう言い切れるのには根拠があります やる気のある 若手アメリカ人研究者なら 疑問が浮かんだときに 誰でもやることをしたからです グーグル検索です そして 次のことがわかりました グーグルは アルゴリズムで出来ていて 同じトピックについて 他の人が何を検索しているかを基に よく検索されている語句や 予測検索結果を表示します おかげで 人々が 各世代をどう思っているかが とてもよく分かりました ご覧ください

アメリカ人はベビーブーム世代を 保守的で馬鹿で 最悪の世代だと考えています 怒りっぽくて 人種に偏見が強く 自分が大事な人たちなのだそうです X世代については 皮肉屋の集まりだと いうことがわかりました 怒りっぽく 先ほども言いましたが ロストジェネレーションとして知られ 最も人口の少ない世代です この世代も 馬鹿なんだそうです

(笑)

そしてベビーブーム世代にいらつく人が ほとんどです

さて ミレニアル世代は どうかというと 食べ物のことで頭がいっぱいです

(笑)

やっぱり「馬鹿」が出てきましたね! 怠惰で 繊細で クビにされ 嫌われていて 自分たちを 重要だと考えています そしてたぶん 検索結果のなかでも 一番恐ろしいのがこれです Z世代はお先真っ暗 だそうです

(笑)

この5年 多種多様な企業で 管理職 部下の方たち両方と 話をしてきました そして 次のことに気がつきました 職場における「世代」は 会話の一部分ではなく 今や 会話そのものに なったのです つまり 誰もが グーグルの検索結果が正しいという前提で 仕事をしているということです だから 企業は今や必死で 多世代の職場を管理する方法を 見つけようとしているのだと思います 「管理」です 私たちは何事も管理したがります 社会に出てくるミレニアル世代の波に 備えようとしているわけです ハリケーンには備えるものですし 医大の入学試験や 自然災害に備えての対策ならわかりますが 23歳の新社会人たちに なぜ対策を練るんでしょう

(笑)

企業に取材する中で 素敵な取り組みの話を聞きました 誰もが仲良くし 自律的に動き 成功していると感じる― そんな職場を作ろうとしている 企業もあります 一方で 多世代の職場を どう舵取りするかについて とんでもない考え方をする 企業もありました 準備はいいですか? こういうものです ある企業を訪れました 彼らは「可視化できれば実現できる」 という考え方を取り入れていました とても重要な概念です けれど それも台無しでした 理想的な多世代の職場の 写真を壁に飾っていたのです 「可視化できれば実現できる」 というわけです

(笑)

こういう写真もありました

(笑)

こういうところでは働きたくありません

(笑)

ここでは 色のついた服は禁止みたいですね 人事も ヒールで飛び上がる人たちには 困ってしまうでしょう 間違いありません 私が話をした企業では 最近 休憩室にボールプールを 設置する寸前までいきました ミレニアル世代の離職防止策としての 提案だったとか 私たちは30歳です 3歳ではありません

(笑)

他にもあります 私が知っているミレニアル世代の女性は まじめに話を聞いてもらいたいなら ミレニアル世代であれば これを身につけないといけないと言われました 肩パッドです そうなんです 肩パッドをつけないかぎり 年下も年上も まじめに話を聞いてくれないと 言われたのです 80年代そのままの どこにも売ってさえいない 肩パッドです この若い女性は 修士号を2つ持っていました 私のことです これが最善策だというのでしょうか? 多世代職場の舵取りをするために… 肩パッド?

(笑)

もう1点 老若男女 様々な人を雇用している企業に 話を聞いてわかったことがあります 私たちには相違点よりも共通点のほうが ずっと多いということです 本当によく耳にする話です みんな 意味のある仕事を 柔軟性のある働き方を 仕事での支え そして 評価を求めています 美味しいコーヒーも どれひとつ 世代には関係ありません 確かに それぞれが求めることに ちょっとした違いはあります 20歳の人と60歳の人は 家に帰ってすることが違います 違う価値観を持っています 少なくとも 仕事の外の領域で 起こることについてはそうです

けれど 現状では 各世代の集団としての特性にばかり 目を向けるあまりに 誰もが人間なのだという事実が 職場では忘れられてしまっているのです 同僚が実際はどんな人なのか 人となりを知るには 多世代の職場をもっとうまく 舵取りする方法を 見つけなければなりません ボールプールよりも良い方法を 理想主義のミレニアル世代的な 考え方かも知れませんが きっとできます とんでもなく難しいことだとは 思いません

根本的に ひたすらに きちんと 相手のありのままの姿を見ましょう アプローチを個別化するのです 相手は「世代」ではなく人です 私が話を聞いた中には 特定の世代に通じるものを感じる という人がたくさんいました テキストメッセージを使う80歳の人や かぎ針編みをする23歳の人もいます 両方とも 各世代の既成概念からは ほど遠いですよね

イノベーションの先端を走る ニロファー・マーチャントは 相手のユニークさを 理解しなくてはならないと言います つまり 世界でその人だけが抱える立場を 理解するのです それは その人だけが持つ経歴や経験 そして希望で形作られるものです ただし 理解するには 柔軟性と好奇心が必要です

もし 相手のユニークさ つまり その人が抱える立場を 理解することができれば たとえば 職場でいつも「怒っている」ように ふるまうベビーブーム世代の人は 不安なだけなのだと理解できます なぜなら その人は 16歳のときから毎日働いてきたのに ある週の初め 想像していたよりもずっと早く 定年退職の日を迎えるのです 退職後の計画はあるけれど そのリストにあるやりたいことも 10日かそこらで 全部やりきってしまうでしょう でも その後は? だから 優しくしてあげませんか 将来が不安なだけなのかも しれないのですから

あるいは X世代の人 こども3人を持ち 立ち寄り先が4つ 2つしかない腕で なんとか家族の生活を まわそうとしています 職場では あまり 愛想がないかもしれません 群れない人なのかもしれませんし 疲れているのかもしれません そして ミレニアル世代 何様か知らないけど 2か月で昇給を求める あの人です たぶんそれは この世代が 大学を出るために 上のどの世代よりも多くの 借金を抱えていて 生きていくため 家賃を払うために お金が必要なだけなのかもしれません

こうして 相手のユニークさを理解できたら その人だけが抱える立場を理解できたら 世代という概念にとらわれることなく 「ジム」や「ジェン」など 個人相手の話になるのです ひとつ課題を出しましょう 周囲からひとりだけ選んで その人のユニークさを探し 見つけましょう そして 適切な時を選んで 相手に教えてあげてください 他の誰でもなく その人にしかできないことを 見つけてください それが 仕事を豊かにするからです それを繰り返し 繰り返しやるんです そして気がつけば 仕事は 世代との関わりではなく 人と人の関わりになります

多世代の職場の素晴らしさを 本当に理解する方法は 相手のありのままの姿を 見ること以外にありません 相手と一緒に生活を始める必要はありません けれど時には 相手の立場に立つのも 素敵なことだと思えるかもしれません だから どの世代が 一番怒りっぽいかとか 一番身の程知らずなのかとか 一番食べ物のことで頭がいっぱいかなんて 議論する必要はありません 私たちはみんな 教室や職場に やってきては 家に帰ります 疲れたり ときにはボロボロに なることもあるでしょう 謙虚に 相手のありのままの姿を その日 その人がどうあるかを 見るよう努めましょう 世代に関係なく です 仮に 各世代の間で 戦争が起きているような気がするときは 少なくとも次のことには 誰もが同意できるでしょう 肩パッドは解決策にはならないと

(笑)

ありがとうございました

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このプレゼンテーションについて

沈黙の世代、ベビーブーム世代、X世代、ミレニアル世代、Z世代—今や5世代が職場で共存しています。それぞれがお互いに対して持っている既成概念は、生産性やコミュニケーションをどれだけ妨げているのでしょうか? 社会心理学者のリア・ジョージズが、実は世代と世代の間には相違点よりも類似点のほうが多いのだと論じ、多世代の職場の舵取りをするために役立つ戦略を提案します。

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