日々の集まりに変革をもたらすための3つのステップ(10:17)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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こどもの頃 隔週の金曜日に 私は実の母と義理の父の家から 出かけました 2人は インド人とイギリス人で 無神論者で仏教徒 不可知論者でベジタリアン 時々ニューエイジ的で 民主党員でした 私が向かうのは 2.2km離れた 実の父と義理の母の家でした 2人は白人で 福音派のキリスト教徒 保守的で 共和党支持者で 週に2回は教会に行くタイプ 肉も食べる家庭でした 私がどうやって 紛争解決の分野に行きついたかは 説明するまでもないですね
(笑)
対話を促していく場所が シャーロッツビルであれイスタンブールであれ アフマダーバードであれ 課題はいつも同じでした どんな困難にもめげず 誠実さをもって 人々に有意義な形で つながってもらい 一歩踏み出してもらい 各自の経験を元に 変わってもらうことでした そこではよく 並外れて感動的なやり方で 人々が刺激しあうのを目のあたりにしました その後は その場を離れて 皆さんと同じように 日々の集まりに参加しました 結婚式 会議 新学期のピクニック その多くは期待外れに終わるのでした 強く張り詰めた対立関係にある集団と 私の日々の集まりとでは 意味のギャップがありました 確かに 誕生日パーティは 人種間の対話のようには ならないかもしれませんが 私が気になったのは そこではありません 紛争解決の進行役は 全てを脱ぎ捨てて 当事者がどう関わり合うかに 集中するように教えられます 一方 日々の集まりの主催者は 細かな段取りに集中します 食べ物 お花 魚料理用のナイフ そして 参加者がどう関わり合うかは ほぼ偶然任せです
だから 日々の集まりをどう変えれば 人々をつなげて意味を生むことに 重点を置ける場にできるかを 思案するようになりました カナッペなどに 気をとられるのではなく です また 気概溢れる 一風変わった 様々な「主催者」に話を聞きに行きました 五輪ホッケーチームのコーチ シルク・ドゥ・ソレイユの振付師 ユダヤ教のラビ キャンプの指導員 有意義で 変革をもたらすような 集まりの秘密について 理解を深めるためにです 今日は 私が学んだことを いくつかお話したいと思います 集まりの新しいルールについてです
多くの人が 集まりを計画するとき 出来合いのフォーマットから始めます 誕生日といえばケーキとキャンドル 取締役会なら 茶色のテーブルを1つ そして12人の白人の男
(笑)
目的が明らかだと決めつけて あまりにも早く形を決めてしまいます これでは退屈で どこかで見た 集まりになるだけでなく 私たちが求めるものに しっかりと向き合う機会を 逸してしまうのです 日々の集まりを より有意義なものにする 最初のステップは 議論の余地がある 特別な目的を 持たせることです
知人の妊婦は ベビーシャワーを恐れていました 「赤ちゃんの絵におむつをピン留めしていく」 ゲームや 贈り物をその場で開ける習慣を 奇妙で不必要だと感じたのです 彼女は立ち止まり 問いました ベビーシャワーの目的は何? ここで私が求めるものは何? そして彼女は気付きました それは 自分だけでなく 夫だって一緒に感じている 親になることへの恐れに 向き合うことだと そこで友人2人に この観点に立った 集まりを企画してほしいと頼みました そしてある日曜の午後 6人の女性が集まりました まず 本人が抱いていた 出産への恐れを解決するため 彼女という人について 各自知っていることを話し 自身がすでに持っている 特性を思い出してもらいました 勇気 驚異 信仰心 潔さ といった 出産のとき支えになるはずだと 思うことを伝えたのです 話しながら それぞれの意味を込めたビーズを つなげてネックレスにしていきました 分娩室でも身に着けていられるように
次に 彼女の夫が入ってきました そして夫婦で 新しい家族の誓いを書き 声に出して読み上げました まず 二人が親になっても 夫婦生活を中心に 置き続けるという約束 そして まだ見ぬ息子への 未来の誓い— それぞれの家系から受け継ぎ 今後も続けたいと思っていることと 自分たちの代で終わらせようと していること 両方です それから 男性も含め さらに友人たちが やってきて 夕食会が始まりました そして 贈り物の代わりに こども時代のお気に入りの思い出を 食卓で共有したのです
ベビーシャワーにしては盛り沢山だと 思うかもしれませんね もしくはちょっと変だとか ちょっと親密すぎるとか それでいいのです 特別ですし 議論の種になります この二人にとって特別なのです 皆さんの集まりも 皆さんにとって 特別であるべきです
日々の集まりを より有意義なものにする 次のステップは 良い議論を喚起することです 私もそうだったように 皆さんも 夕食の席ではセックスや政治 宗教の話は 禁止だと習ったかもしれません それで協調が保たれたり そのような話をしない意図がある場所では 効果的なルールです でもこれでは 熱く燃えるように 人と関わるという 大事な要素が失われてしまいます 相応しい状況を作りだすことで 良い議論のための 土壌を築くのが 最良の集まりというものです 人間のつながりは 不自然な衝突と同じく 不自然な平和によっても おびやかされるものだからです かつて ある建築事務所に勤めていた時 事務所が岐路に立たされことがありました これまでの事業形態を保ち 建物を作ることに注力するか それとも 今どきの人気ビジネスである デザイン業務に軸を移し 空間を作る以上のことに注力するか 決める必要がありました 職場では 現に意見の対立がありましたが みんなの前で議論する人は いませんでした そこで 良い議論を交わす場を設けました 昼の休憩が終わり 建築技師全員が戻ってきたとき プロレス風の試合を開催したのです 選手の入場です 一人を「建築」を代表するコーナーに立たせ もう一人を「デザイン」側に立たせ 両者の首に白いタオルを巻きました トイレから拝借したものです ― 失礼 iPadで『ロッキー』の音楽をかけ 両方につけたドン・キングばりの マネージャーが 選手をたきつけ 相手への反論を準備させました それからまず 未来のビジョンについてそれぞれに 最善と考える主張をしてもらいました ところが 礼儀という枠にとらわれ 議論がなかなか進行しないので 選手以外の全員に 各自支持する側へ 移動してもらいました みんなの前でです 各自が自分の立場を 体で示すことができたことで 膠着状態を脱出しました 勝ったのは 建築派でした
これは仕事の場合ですが たとえば 感謝祭の夕食が 一触即発状態になってしまう場合は? どうですか?
(笑)
まずは 目的を問いましょう その家族は今年 何を求めているのか? 情熱的で良い議論を促進するのが 目的の一つであれば 一晩の間 意見を言うのは禁止して 代わりに 物語を話してもらいましょう 背後にある対立に関連したテーマを 選びましょう けれど 意見の代わりに みんなに 物語を話してもらうよう 頼むのです 他の人が聞いたことのない これまでの人生や経験 人と違うと感じたときの話 周りと一体感を感じた話 考え方が変わったときの話などです 家に火が付くほど熱くなりすぎずに お互いを分かり合うためです
そして最後に 日々の集まりを より有意義なものにするために 普段とは違う空間を 一時的に作ってみましょう 期間限定のルールを設けるのです
数年前から 一連のルールが定められた 集まりの招待が届き始めました 退屈そう 窮屈そうだと 思いますよね? 違うのです 多文化的で 様々な背景を持つ人で 構成される この社会では お互い異なる文化圏で育ち それぞれ異なる作法を学んできています 共通の作法なんてありませんから 暗黙の規律は不都合です 一方で 期間限定のルールは 私たちを 有意義な形でつなげてくれます ある特別な目的のための 1回限りの「法律」なのです たとえば会社のチームの夕食会 異なる世代の人たちが 集まる場所であり 携帯電話の作法の前提は 共有されていないので 「一番最初に自分の携帯を見た人は 誰であれ 勘定を持つこと」
(笑)
やってみてください
(拍手)
知らない人同士で 起業アドバイスをする集まりでは 1人のベンチャー投資家の話を 全員が聞くだけ という流れは 主催者側としては望ましくないので—
(笑)
お分かりですね
(笑)
「自分が何の仕事をしているか 明かしてはいけない」
母親同士の夕食会では たまたま母親であるというだけで いつもと同じことを話すのは 面白くありませんから 「こどもの話をした人は 1杯飲まなければいけない」
(笑)
充実したディナーになるはず
ルールは強力です 私たちの行動を一時的に変え 調和させることができるからです 多様性のある社会では 期間限定のルールは 特別な力をもたらします ルールがあれば 人々が違いを越えて集まり つながり 一緒に意味を生み出せます 同じである必要はないのです
こどもの頃 私はカメレオンとなることで 2つの世界を行き来していました 母の家で誰かがくしゃみをしたら 私は「お大事に」と言い 父の家では「神のご加護を」 と言ったものです 私自身を守るために 隠れたのです 同じ経験がある方も多いでしょう 大人になり 紛争解決の仕事を するようになって初めて 隠れることを やめるようになりました そして気付いたのです 私にとって理想的な集まりとは 他の人と同じ場所で過ごせて ありのままの姿で 自分を見てもらえ 相手をも見ることが できるような場です
集まり方こそが大事なのです なぜなら どう集まるかは どう生きるか だからです
ありがとうございました
(拍手)
うまくいく集まりとそうでないものがあるのはどうしてでしょう?作家のプリヤ・パーカーが、パーティ、夕食会、会合、そして休日を、有意義で変革をもたらしてくれる集まりに変える3つの簡単なステップを語ります。