拡張現実はどのように積極行動主義を変えているか(06:57)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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グレンです 年齢は25 それから私は 自分の本当の苗字を知りません アメリカでは珍しくありません アメリカで暮らす黒人の大半は 奴隷の雇い主の苗字と共に歩んでいます 黒人の歴史は何世紀にも渡って 体系的に抹消され書き替えられてきました
今回お伝えしたいのは 米国南部連合の記念碑が アメリカ全土に700以上もあることです 奴隷制を維持しようと戦った 南部連合の兵士に 敬意を表するために 建てられたものです 奴隷制の大半は南部に存在しました 1890年代から1950年代までのことで 人種隔離を実施したジム・クロウ法が 効力を発揮していた時代です 今日に至るまで 黒人は公共の場で 奴隷の雇い主の記念碑に 向き合うことを 余儀なくされてきました それらの記念碑は物理的に その組織での定義を表現しており それは 誰の命が大切で 誰の命がそうでないか という点についてです
語り継がれたこの物語を 途絶させようとするなら 起源に遡らなければなりません 民族の大量虐殺や奴隷制、男性優位社会を アメリカに持ち込んだのは クリストファー・コロンブスでした アメリカ人の大半が 1492年の彼の航海について知っています しかし 彼が到着後2年のうちに 推定25万人の先住民アワラク族を 皆殺ししたことを知っている人は それより少数です さらに彼が支援者に向けた手紙の中で 9歳から10歳の少女は需要が高く 年齢に関係なく少女たちは いい値段で売れると書いていたという その事実を知る人は さらに少ないのです ニューヨークのコロンバスサークルにある 高さ23メートルの彼の像はそれでもなお 1892年以来 セントラルパーク横に そびえ立っています
私は「Movers and Shakers」を始めました 記念碑の撤去を求める 非営利団体です この団体は 活動家や芸術家 教育者や技術者から成り 没入型技術の利用に 力を入れています 迫害に遭った人々の物語に 光を当てるためです コロンブスを玉座から引きずりおろす 私たちの運動では 視覚に訴える形での行動主義を 実践しています 私たちは コロンブスの 真実の物語に基づいた 拡張現実装置を作り それを用いて コロンバスサークルとタイムズスクエアで 教育イベントを行いました コロンブス像に関する論争のことを 多くの人たちは イタリア系アメリカ人のコミュニティと 被差別コミュニティとの間の緊張を 表していると考えています しかし実際には この国の大半の黒人がここにいるのは コロンブスが始めた 残虐行為の結果によるのです そこで私たちは 大西洋を越えて行われていた 奴隷貿易の起源を批判するため ユニオンスクエアで奴隷の競売を 開催するに至りました この問題を世間に広めるため 鎖を身につけ ニューヨークマラソンに参加しました ジャイアンツスタジアムでの アメリカンフットボール開幕戦では 奴隷制の再現を行って逮捕されました
私たちは全力を出し切りましたが 最終的に ニューヨーク市は コロンブス像の維持を決定しました さらにニューヨーク州は満場一致で 像を州の象徴にすると決めました 衝撃的で悲しい知らせでしたが 他の道が開かれました 私たちは気づいたのです 拡張現実を用いれば 記念碑の設置や声明を発表するために 政府からの許可は必要無いのだと ただ行動を起こせば良いのです 現在ニューヨークには 奴隷の雇い主として有名な人物の記念碑が 男性のもので150点以上 女性のもので6点 公共の場に設置されています そこで私たちは 拡張現実で見ることができるー 女性や有色人種の記念碑を たくさん街中に置くことにしました
一般的に記念碑は 故人の偉業を記念して作られますが 拡張現実を用いることで 別の物語を見せることができます 私たちはスポーツ界から着手しました アメリカンフットボール選手 コリン・キャパニックは サンフランシスコ・49ersの 先発クォーターバックで 彼は 体系的な人種差別の不当性を 訴える場として スタジアムを使うことを望んでいました そこで彼は米国陸軍特殊部隊と協議し もっとも敬意ある方法として 国歌斉唱時に 片膝をつくことを決めました その結果 彼はチームから契約解除され アメリカンフットボールリーグ界から 追放されました さらに数百万人の批判を受け アメリカ大統領からさえ 侮辱を受けました 彼の勇気が正当に評価されるまで 数十年かかるかもしれません そこで私たちは行動を起こそうと決めました 現在トランプタワー前を通る誰もが コリンが片膝をついている像を 拡張現実で見ることができます トランプ政権は手を出せません
(笑)
表現することが大切なのです セリーナ・ウィリアムズは全世界に向け 高級カントリークラブで行われていた スポーツの頂点に 貧困地域出身の黒人少女が 君臨できることを証明しました 彼女を称えましょう
ジャッキー・ロビンソンは 肌の色の壁を壊しました そして多くの黒人野球選手に 全米野球リーグでプレーする希望を与えました 私たちは彼の記念碑を エベッツ・フィールドに移設する予定です そうすれば ブルックリンの その球場跡地で誰でも 彼のフルスイングを 観られるようになります
拡張現実を用いれば 語られるべき物語を 公共の場で語り伝える力を手にできます フリーダ・カーロやオードリー・ロード トゥーサン・ルーヴェルチュール マダム・C.J.ウォーカーなど 彼らの偉業は 私たちの常識になるべきです 歴史を再現した「ポケモンGo」が 私たちの目標なんです
拡張現実は組織支援にも利用できます 体系的な弾圧と戦う組織の支援です 2019年に私たちは スマートフォン用無料アプリをリリースし 拡張現実で作られた 記念碑や様々なサービスを搭載予定です スマートフォンを使えば 一銭も払わずに 拡張現実の一端に触れることができます
保釈金による不当な扱いに関する 1シーンです 少し画面を操作するだけで 保釈金プロジェクトの 寄付画面を見ることができます 保釈金の支払い能力が無い人への 寄付を募るプロジェクトです
拡張現実を使えば 私たちは弾圧された物語に 光を当てる力を持てます 組織がそれを退けたとしてもです この道具を利用して 体系的に抹消された人々の歴史に 光を当てることができるのです より具体的に言うと 体系的な人種差別に立ち向かう取組を 支援するための1つの方法として この技術を使うことができるのです 拡張現実を使えば 弾圧よりも正義が優先される世界を 再び描く力を持てるのです
ありがとうございました
(拍手と歓声)
グレン・カンタベは技術を利用し、迫害を受けた人々の物語に光を当てています。没入型視覚プロジェクトを紹介するなかで、彼はチームのメンバーと共に行っている「Movers and Shakers NYC」での活動について話してくれます。「Movers and Shakers NYC」は仮想現実や拡張現実、創作芸術を利用し、軽んじられてきた集団のための直接的な行動と支持運動を行っています。