生存中にアーティストをサポートし認めるためにできること(7:58)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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(スウィズ・ビーツ)よし 僕が話す時には 君たちはミュートして 邪魔にならないようにしてくれる?
(声)いいよ
(スウィズ)ノってきたら そのままノり続けたいからね
クリエイティブな人たちには 何らかのサポートが絶対に必要だ 創造力の糧になるものが どうしても必要だと思う 内に秘めた火を 燃え続けさせるためだ
僕が音楽や創造に のめり込んだのは ずっと ずっと昔のこと 地元サウス・ブロンクスの ビルディング 700 アパート2E にいた頃だった 外に出ると 必ず音楽が聞こえてきた 裏の公園には DJが何人もいて音楽をかけていた バスケットのゲームをやっていても ハンドボールのコートを見ると そこには すごいグラフィティの 壁画があった キース・ヘリングの作だったかな ファブ・ファイヴ・フレディーだったかな すぐに クリエイティブな活動に 惹かれていった
音楽は最初っから僕に癒しを与えてくれた ストレスを感じるといつも アートを求め 創造を求め 音楽を求める 音楽は 抱きしめてくれる 愛を感じさせてくれる 伯父の一人が言っていたことを 思い出すんだ 「プロデューサーになるといい」 「なにそれ?」って思った 最初は 家族経営のビジネスだった ラフ・ライダーズは僕の家族が作ったんだ DMXを輩出し イヴを輩出し ドラッグ・オンを輩出し ザ・ロックスも出した 音楽の栄誉は全部席巻した ある時 こう思うにまで至った 「ここまで来たらもう お返しができなきゃ面白くないな」
The Dean Collectionは もともと家族の博物館として始めた ディーン家の名の下でね 僕の子供たちが責任を持って 次世代へと渡していくものだ 「でも ちょっと待てよ The Dean Collectionは そこで終わってはいけない 皆のためのものだ」と思った 画廊や展示場によっては 5万ドルの資金がなければ 話もしてくれない 沢山の人が これを 言い訳に使ってる だからアートは出来ない って アートは金待ちのためのものだと 思ってしまってる そうじゃないだろ こんなのはやめないと 正さないといけない だから 妻と2人でこう言った 「若い世代のための 入り口を作らないといけない アートの世界を理解してもらうんだ 力を持たない世代に」 それで 「No Commissions (手数料なし)」を始めた
大きなイベントだよ 招待状の返事が毎回 3万通以上来る ドリンクは無料 食べ物も無料 コンサートも無料 教育も無料 教育は無料であるべきだと思ってる 上海に行き ロンドンに行き ベルリンに行った サウス・ブロンクスの うちのバックヤードでもやった 「No Commissions 」に来れば 数ドルで何かは買える 何十万ドルもする物もあるけどね アートを愛する人であれば 貴賎を問わず参加できる 画廊とは全く違う事をやっている アーティストが 売り上げの100%を手にする
でも 「No Commissions 」後は どうやって持続し どうやって前に進むのか 魂を売るようなハメにならずに済んでほしい ある競売に関わったときは 親友の— ショーン「ディディ」 コムズが 2,100万ドルでアートを落札した ケリー・ジェームス・マーシャルの作で 生存中のアフリカ系アメリカ人の芸術家の 作品についた価格では過去最高額だった 「おい 今記録を破ったぞ」 と言ったら ケリーは 「喜んでいいやら 悲しんでいいやら 分からない」と言った その作品を最初に売った時は 10万ドルもつかなかったそうだ 想像してもみてくれ 10万ドルにもならなかった作品が 今 2,100万ドルで売れていく それを 家で 指をくわえて 見ているしかないんだ 自分には5%すら入ってこない
考えてみてよ 僕はプロデューサーで作曲家だ ラジオで曲が流れる度に 収入になる 映画で流れる度に 収入になる とにかく曲が流れれば 収入になる ビジュアル・アーティストは 一度しか収入にならない なぜだろう? 絵が何回も売却・取引されても アーティストの生涯の作品で 他の人が 10倍 15倍 時には100倍も アーティスト本人より儲けているのに そこで 作ったのが 名付けて 「Dean's Choice(ディーンの選択)」 売主や コレクターが 例えばサザビーズ(競売会社)に 作品を持ち込む そこには書類があって こう書いてある 「皆さん このアーティストは生存しています あなたは投資額の300%を得ました このアーティストと協力したからです 売り上げの中から アーティストに お好きな額を贈呈して下さい」 たった5人でも 実行すれば アートが根底から変わり始めると思う もうヨーロッパでは始まっている 音楽業界では起こっていることで 「出版」と言う アーティストが生活できる ミュージシャンが生活できる 何年も何年も 自分の出版の著作権から発生する 残余所得で生活できる
じゃあどうすれば クリエイティブな人々が一緒になって お互いを祝福できるんだろうか? ティンバランドと一緒に 練っている考えがある Verzuzと言って もう3年も前から考えている それが こんなご時世になってしまい 皆 ソーシャルメディアを使って 自己表現を始めた そこで 僕は自分の人気曲を演奏し 彼は 彼の人気曲を演奏し インスタライブ配信した
(ビデオ)(笑)
(ティンバランド)楽しんでるかい? これは文化のためになる
(スウィズ)皆「バトル」と呼びたがるが 「バトル」という言葉は避けた 世の中には ただでさえ 「バトル」が多いんだから 僕らは「教育的な祝賀会」と呼んでいる 次で9回目か10回目だと思う 僕とティンバランドが始めた時は 2万人だった 昨日現在では 75万人が一堂に会した
僕らが「Verzuz効果」と呼ぶ現象がある 「Verzuz効果」ってのは Verzuzに貢献したアーティストに 起こる現象だ 例えば ベイビーフェイスや テディ・ライリー どちらも何百万もアクセスが増えた どちらの曲も 再度 ヒットチャートに載った 初の女性版Verzuzを見ると エリカ・バドゥと ジル・スコットの2人とも トップ20のヒットチャートに 7曲ずつ載っている これがVerzuz効果だ 表示回数がうなぎのぼりで もう何十億って数だよ これは前代未聞のことだ こういったアーティストは 自分の作品に対し 今 花束を受け取っているようなものだ 素晴らしいことだと思う 生きている間に花を楽しめる
僕も思い入れがあることだ 何度も落ち目だと言われてきたからね 流行しては忘れられ それを100回は繰り返した アーティストでも ビジネスを理解する必要があり 理解すれば 本来いけるレベルまで 昇っていくことができる クリエイティブな人は ややもすると非常に感情優先で 「そんなこと(ビジネス)は 他の人に任せて 私はこっちに専念したい」と思いがちだからね 大切なのは 創造性だけではない 教育も大切だ だからこそ 僕は学校に戻り 30代半ばで 学業に勤しんだ 自分たちのビジネスを知る必要がある 僕らに必要なのは もう少し深く掘り下げ 知識を利用することだ クリエイティブな人間を利用しようとする 世の中に備えるために そうすれば 良い選択をすることができ アーティストが貧困の中で 死んでいくなんてことはなくなる アートを守らないと 将来を守れない 世界を守れない 創造性こそが人間を癒すんだ
何でカーテンが閉まってるんだ? 時間切れか
(苦笑)
(声)結構いけてた 良かったよ
(スウィズ)(笑)
伝説的なヒップホップのプロデューサーであるスウィズ・ビーツは、アーティストのビジネスのやり方を本格的に革新すべく、力を尽くしています。この素晴らしいトークでは、自身と同じくクリエイティブな人々が力を発揮できるようにどうやって支援しているのかを語ります。例えば、売り上げの100%をアーティストに渡すアートフェアを世界中で展開していること、生存するビジュアル・アーティストの資金源をもたらす新しい手数料制度、そして、ファンを楽しませ、ミュージシャンに売上をもたらすオンラインの音楽祝賀祭Verzuz。「アートを守らなければ、将来を守ることが出来ない」とスウィズは語ります。