よりスピーディーに決断する方法(4:55)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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“FOMO”という言葉に 馴染みがあるでしょう
[FOMO生みの親]
「見逃すことの恐怖」の略です 今 自分がしていることより 他の人がもっと楽しいことを している気がする現象です 皆さんが知る必要のある“FO”が もうひとつあり これはもっと危険です FOBOと呼ばれ 「もっと良い選択肢の存在を 恐れること」の略です
シリーズ 働き方
私達は圧倒されるほど 選択肢に溢れた世界に生きています かつては単純だった決断― レストランを選んだり 日々の買い物をしたりすることさえ 今では過剰分析で満ちています テクノロジーは 物事をより明らかにしただけです ひと組の白い靴紐を オンラインで買おうとすれば 何千ものアイテムをかき分けて 何百もの評価を読まねばなりません 朝のカフェラテよりも安い 2本の紐を買うためだけに 驚異的な量の情報を処理します
完璧に満足のいく数々の結果の中から 苦心して1つだけ選ぶ中で 恐らくFOBOを経験するでしょう できるだけ多くの選択肢を集め 取っておくことに 価値を見出す文化に起因する症状です
なぜこれが悪いのかと 思うかもしれません 直観に反しています 多くの良い選択肢から選び出すのは 特権であるはずでは? 問題は FOBOのせいで 厳しく分析し出すと止まらなくなり あなた個人にも仕事面にも マイナスに影響しうるということです 確信を持って 決断することができないと 貴重な時間と労力が 無駄になります
幸運にも FOBOを 克服する方法があります 秘訣は こうです 決断するためには まず利害関係を見極めましょう これによって 意思決定の戦略が決まるからです 結局のところ 人生で遭遇するのは たった3通りの決断です 利害関係が大きいもの 小さいもの 利害がないものです
利害関係のない決断から始めましょう 些細なものごとであり これには 間違った答えが ほぼ存在しません そして 数時間も経てば 決断したことさえ 覚えていないでしょう この良い例は テレビで観る番組を選ぶことです 何千もの番組があるので 圧倒されてしまいやすいのですが どの番組を選ぼうが それによる影響は 基本的にゼロです そう FOBOに時間を費やすのは 莫大な労力の無駄です 前に進むのみです
利害関係がない決断の場合 カギは運に委ねることです 例えば 選択肢を2つにまで絞り コインを投げるとか 私のお気に入りは 時計に決めてもらう方法です 選択肢のそれぞれを 時計の左右半分に割り当て 秒針の位置で どちらにするのかを決めるのです 今日の食事は魚に決まり
続いて 利害関係の少ない決断です これらには影響が伴いますが さほど大きなものではありませんし 満足できる結果も たくさんあります 職場での多くのルーティンワーク 例えば プリンターの購入 ホテルの予約 職場外での会議の場所の選択は 本来的に利害関係が少ないものです ちょっと考える必要はあっても 運命を左右するほどではないし 恐らく数週間のうちに 忘れることでしょう ここでも意思決定を 任せることはできますが 批判的思考を介在させたいと 思うでしょう 少し利害関係がありますからね 今回は 他の人に任せましょう
基本となる基準を定めて 推薦させる人を選び 彼らの助言を受け入れます 詳細に調べたくなる誘惑を 退けましょう 目的はタスクを処理することで 決断を先送りすることではありません
利害関係の少ないものや 利害のないものに取り組んだので 利害関係の大きいものを 処理するのに 必要な余裕と時間が 生まれました 「どっちの家を買うべきか」とか 「どちらの職に就くべきか」といった決断です 利害関係が大きく 長期にわたる影響があるため 絶対に正しいものを選ぶべきです
始める前に 決断する過程を導く 基本的な理念を決めましょう まず あなたにとって 本当に重要なことを考え それに合わせた基準を定めます
次に 関連する事実を集めます 全ての選択肢に関するデータを 確実に収集すれば 十分な情報を得たうえで 正しい決断だと 自信を持つことができます
そして 3つ目に 本質的に FOBOは 完璧に満足のいく数々の選択肢から 1つだけ選ぶときに起こるのだと 覚えておきましょう あなたが何を選ぼうが 下げ幅は限られていると 安心してください
基本原則ができたので 早速選んでみましょう あなたの直観に基づいて 第一候補を見極めることから始め 選択肢をひとつずつ 第一候補としっかり比較します 都度 予め決めた基準に基づいて 2つのうちの良い方を選び もう一方を捨てます FOBOを避ける秘訣は これです 選択肢を消したなら もう復活させないこと 選ばなかった選択肢に 立ち戻り続ければ 行き詰まる恐れがあります 最後の選択肢に辿り着くまで この過程を繰り返します
このやり方に倣えば 自然と決断に辿り着きます まれに行き詰まってしまったら 最後の決断を 信頼が置けて 特定のトピックについて 助言する素養のある 少人数の人々に 任せましょう 5人以下のグループで 理想的には人数は奇数がいいでしょう 必要があれば 同点決勝で 決めることができます
さて 決断することができました 残すは最後のチャレンジです きちんと成し遂げましょう 決断が完璧だったかどうかが 本当にわかるとは約束できませんが これは言えます 世界のかなりの割合の人々は FOBOについて 悩む必要はありません 戦争 貧困 病気によって 僅かな選択肢しか持たない― 数十億の人々とは異なり あなたには 自律的に生きる機会が たくさんあります 欲しいもの全てが手に入らなくても 決断できるという事実は 強力なものです
贈り物と言えるでしょう 最大限に活用しましょう
際限なく再調査と選択が続く世の中で、投資家で作家のパトリック・マクギニスは“FOBO”―もっと良い選択肢の存在を恐れること―の危険性と、それを克服する方法を共有します。