職場で感情とうまく付き合っていくには(4:23)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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どんなに頑張ろうが オフィスに足を踏み入れた瞬間に 感情のスイッチをオフにするなんて無理です 感情を感じることは 人間らしさの一部ですから
[シリーズ 働き方]
感情は仕事に持ち込むものではない という社会通念のせいで プロ意識とは自分への厳しさ ひいては 冷徹さと同義だと誤解されがちです しかし研究によると 同僚が見栄えの良い プロらしい体裁を 取り繕うのをやめたときほど 私たちはその人の言葉を 信じやすくなるそうです 周りとの連帯感が増し もっと努力するようになり 業績も上がり 概して優しくもなるのです ですから そろそろ職場で感情と 付き合っていく方法を学んでおきましょう
とはいっても 途端に感情をまき散らし始めよう ということではありません 信頼を築く「打ち明け」と 信頼を壊す「打ち明け過多」は 別物です 突然 職場で感情の赴くにまかせ 予期される量をはるかに超える 情報を出したりすれば 周囲のみんなを不快にさせますし 自分の不利にもなります 弱い または自分が見えていない人だと 思われやすくなるのです 「昨晩は体調が悪かった」程度なら 望ましいのですが 詳細を洗いざらい話す必要はありません 消化途中の夕食と 「こんにちは」した など
さて 感情表現には 程度に大きな開きがあります 片側には“under-emoter”といって 感情を表現するのが苦手な人々が 反対側には“over-emoter”といって 心の内を何でも包み隠さず 話してしまう人々がいて どちらも健全な職場作りを妨げてしまいます
この両極端の間で バランスがいいのはどこかというと 「選択的な無防備さ」と呼ばれるものです 「選択的な無防備さ」とは 心の内を見せながらも 自分と同僚 双方にとっての 安定性と心理的な安全性を 優先することです ありがたいことに 誰でも 「選択的な無防備さ」を 練習を積めば身につけられます
始める方法は4つあります 1つめは 感情を漏らすことなく 感情の「フラグを立てる」こと 不機嫌は伝染しやすいですし たとえ感情を口に出していなくても おそらくボディーランゲージや表情から バレバレでしょう 腕を組んだり キーボードを ガシガシ打ったりしていれば 平静を失っていると 同僚にバレてしまいます さらに 黙ったままでいると 同僚は 自分のせいなのかと 不安になるかもしれません ですから 仕事と無関係の出来事を 引きずっている場合 例えば渋滞のせいなら そう言いましょう 詳細まで言う必要はなく シンプルな内容でいいんです 「朝からツイてなくて あなたのせいじゃありませんから」など もしも 仕事関連の出来事が原因で 気持ちが乱れている場合は 2つめの策を使います
自分の感情の裏側にあるニーズを理解し そのニーズに対処するのです 突然 周囲の人みんなに イライラするようになったら 落ち着いて 理由を考えましょう ピリピリしているのは 不安だからかもしれませんし 不安なのは 迫る締め切りに間に合うか 気が気でないからかもしれません であれば そんな気持ちを解消するため 今度はチームのみんなに こんな風に言います 「締め切り前に 確実に全部終わらせたいので 現実的な計画作りに 協力してもらえませんか?」
気持ちを打ち明けたいときは まず 相手の立場になって 考えてみてください 「今言おうとしていることを言えば 協力者がいるという安心感が得られ 状況理解を助ける」と思えるのなら そのまま打ち明けましょう でも 少しでも引っかかるのなら 言わないでおいた方が得策です
最後のコツは 状況を汲み取り 前向きな提案をすること チーム全員がこのところ残業続きで とりわけ くたびれている もしくは 不安そうな様子のメンバーに気がついたら それを口に出して認め 共感を示しつつ 行動に落としやすく 頼りになる解決策を考えてあげましょう 今のケースだと こんな提案ができます 「週次会議を明日にしてもらえるよう 上に掛け合ってみようか? そうすれば 時間を稼げるよね」 その人に成功してもらいたいけれど 体調も気にかけていることを 示すわけです
自分の気持ちを素直に表現し 自由に提案し 間違いを恐れず 自分らしさを 何もかも ひた隠しにしなくても良い人は 長期勤続する可能性がずっと高いのです そのほうが幸せですし 生産性も向上します
ここで 少し時間を取って 日々 自分が仕事に持ち込んでいる 感情表現を振り返りましょう 感情を出しすぎる傾向がある人は 不要な部分をカットしてみること やや控えめなほうだという人は 同僚に心の内を見せ 少しだけ無防備な自分であれる瞬間を 探ってみましょう きっと あなたに対するみんなの態度が 大きく変わるでしょう そして「選択的な無防備さ」が あなたが最も重宝するスキルの一つに なるかもしれません
「オフィスに足を踏み入れた瞬間に感情のスイッチをオフにするなんて無理です。感情を感じることは人間らしさの一部ですから」と語る、作家でイラストレーターのリズ・フォスリエン。「選択的な無防備さ」なるものが、職場で本来の自分らしさを発揮する鍵であるのはなぜか、説明します。