クリックするものを選ぼう(4:36)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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ついこの前、白人男性と黒人女性が何人かでツイッターのアイコンや写真を互いに入れ替えてみました。内容は変えておらず、いつもと同じようにツイートしていたものの、突然、白人男性たちはNワードと呼ばれる黒人差別用語で呼ばれるようになり、ひどいネットいじめを受けていることに気づきました。一方で、黒人女性たちは急に居心地が良くなったと感じました。
さて、私の5歳の子供であれば、インターネットで見る内容はほとんどが子犬や妖精で、妖精が子犬に乗っていることもあるでしょう。本当です。検索してみてください。でも私たちはインターネットが本当に醜い場所になり得るのを知っています。民主主義にとって健全だと思われる様々な議論についてここで語るつもりはありません。私は、姑息な個人攻撃について話をしているのです。あなたにも経験があるかもしれませんが、あなたが女性や有色人種やゲイなら――または2つ以上当てはまるなら、少なくとも2倍は不快な思いを経験しやすいのです。実際、このトークの原稿を書いている時、ツイッターで『@SallyKohnSucks (サリーコーン最悪)』というアカウントを見つけました。紹介文によると、私は「男嫌いの男役レズで、キャリアで成し遂げた唯一のことは異常なセクシュアリティを広めたこと」なのだそうです。3分の1しか合っていませんが――いや、嘘ですよ! (笑)
冗談はさておき、このような戯言を皆嫌がっています。問題は、それを変えるために個人的な犠牲を払う気があるかどうかです。ネットを止めようと言うのではありません。クリックの仕方を変えようと言っているのです。クリックするというのは公的な行為ですからね。
もはや、あらゆるメディアを権力を持った数少ないエリートが管理し、私たちはただの受け手である、という時代ではありません。ますます、私たち自身がメディアになっているのです。かつてはこう思っていました。ちゃんと着飾って、化粧もばっちりして、テレビでニュースについて解説するのが、メディアを形成する公的な行為であり――家に帰ってネットをあちこち見てツイッターを読むことは、メディアを消費する私的な行為だと。もちろん、そのはずです。だってパジャマのままなんだし。ところが、間違いなのです。ブログに書くことやツイートすること、そして私たちがクリックすることすべてがメディアを形成する公的な活動なのです。私たちは新たな編集者です。私たちが何に注目するかによって、注目されるものが決まるのです。これが今のメディアの仕組みです。あなたがクリックするものに基づいて、私たちが何をもっと目にするかを決める、隠れたアルゴリズムがあるのです。今度はそれが私たちの文化全体を形作っていくのです。
アメリカ人の5人に3人以上が、この国は現在、無礼な言動という大問題を抱えていると考えていますが、少なくとも5分の3のアメリカ人は、社会における非常に卑劣な衝動を助長するような、侮辱的で噂を言いふらすくだらないものをクリックしているのではないかと思っています。メディアの世界はますます騒々しくなりつつあるため、人々はより大きな声を上げるよう駆り立てられます。そして声の大きい者の横暴がまかり通る世界では、卑劣という暴虐を助長するのです。
そうである必要はありません。その必要はないのです。動機付けを変えることは出来ます。まず誰でも出来ることが2つ――1つ目は、誰かが傷つけられるのを見たら傍観者にならないこと。もし誰かがオンラインで罵られていたら何かするのです。ヒーローになりましょう。これはチャンスなのです。声をあげて、はっきり言うこと。良い人間になりましょう。善で悪をかき消しましょう。2つ目は最低にたちの悪い――くだらないリンクをクリックするのをやめること。もし、いつどの番組にもカーダシアンが出ているのが嫌なら、脇からのぞくキム・カーダシアンのおっぱいに関する記事をクリックするのをやめること。クリックしてるでしょ?(拍手)
そこのあなたもね。同じような例ですが、もし互いをなじりあう政治家が嫌なら、ある政治家が別の政党の政治家を何と呼んだかについての記事をクリックするのをやめましょう。悲惨な事件の記事をクリックするのは、火に油を注ぐようなものです。事態は悪化し、火の手は広がります。私たちの文化全体が焼き尽くされます。
一番多くクリックを得たものが勝利するのであれば、自分たちのクリックで私たちの望む世界を作り始めねばなりません。クリックするのは公的な行為だからです。責任をもってクリックしましょう。ありがとうございました。
多くのオンラインニュースのサイトはニュースを伝えるという使命を超えて、公然と人を怒りに駆り立て(そしてページの閲覧を促し)ているように思えませんか? ニュース解説者のサリー・コーンは、こう提案しています。「あなたが怒りを覚えるように仕向けているだけのニュースとは関わりを持たないように。そうではなく、心から信頼できるニュースサイトにこそ、あなたの貴重なクリックを使いましょう」と。