レオナルド・ダ・ヴィンチの本当の顔(4:13)
講演内容の日本語対訳テキストです。
自動スクロールはしませんので、映像に合わせてスクロールさせてご覧下さい。
おはようございます。これからしばらく、万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチについて見ていきましょう。
我々は皆、彼の素晴らしい作品をよく知っています。彼の素描、油絵、発明、著述などについてです。
しかし、彼の顔は知りません。彼についての著作が何千冊もありますが、彼の容貌については異説があり、いまも未解決です。このよく知られた肖像画でさえ、歴史家は受け入れていません。
あなたはどう思いますか? これはレオナルドの顔でしょうか? それとも違う? 調べてみましょう。
レオナルドは、周囲のあらゆるものを描きました。人物、解剖、植物、動物、風景、建物、水、なにもかもです。しかし顔は無い? 信じられないことでした。彼の同時代人たちは、ご覧のように顔を描いています。正面、あるいは斜めからです。情熱的な絵描きであったレオナルドも、きっと、時々は自画像を描いたに違いありません。それを見つけてみましょう。
もしも彼の作品を全部スキャンし、自画像を探せば、彼の顔はこちらを向いているはずです。そこで私は彼の絵を700以上調べ、男性の肖像を探しました。それらは120ほどあり、ここに見えます。このうちどれが自画像でしょうか? 自画像は、自分を見ながら描かなくてはならず、正面か斜めからになります そこで横顔は全て外します。また、十分に描き込まれている必要があります。そこで、ぼんやりした絵とか過度に様式化されたものは省きます。そして、彼の同時代人によれば、彼は非常に顔立ちがよく、美男子でさえあったとのこと。そこで、醜い顔と戯画も外します(笑)
するとどうでしょう、当てはまる絵は3つしか残らないのです。これがそうです。もちろん、あの老人もありますし、有名なウィトルウィウス的人体図もあります。そして最後にレオナルド唯一の男性肖像画「音楽家の肖像」も残ります。
これらの吟味に入る前に、なぜ私にこの事について話す権利があるかを説明します。私は、自身で1,100枚以上の肖像画を描いています。新聞紙上に、300年――失礼、30年にわたってです(笑)。とにかく1,100枚、こんなに描いた画家はわずかしかいません。だから、私は顔を描き、分析することをいくらかは知っています。オーケー、それでこの3枚を見ていきましょう。よく見ていて下さい。これらの顔の細部を見ていくと、同じように広い額、水平な眉毛、長い鼻、カーブした唇と、小さくてよく発達したアゴが共通しているのがわかります。
最初にこれを見たときは、自分の目が信じられませんでした。これらの絵が互いに似ていなくてはならない理由がないのです。ただ、自画像の特徴を持つ絵を探しただけで。
見て下さい、こんなに似通っている。順番は正しいでしょうか? 若い男が最初に描かれたはずです。そしてこれらの絵の制作年代をみれば、まさしくその通りとわかります。正しい順番に描かれています。当時レオナルドは何歳だったか? 絵と合うか? 合うんです。この時彼の歳は33、38、63歳だったはずです。
つまり、ここに、同一人物かもしれない3枚の絵があるわけです。レオナルドと同じ年齢のです。でも、これが他人ではなくレオナルドだとどうしてわかるのでしょう? 照合資料がいりますね。そして、これがレオナルド本人と広く認められている写真です。これはベロッキョ工房が制作したダビデ像で、15歳のレオナルドがモデルと言われています。そしてこの銅像の顔を「音楽家の肖像」と比べると、特徴が非常に似ているのが分かります。銅像が照合資料で、それによってこの三枚の絵とレオナルドの特徴が結びつくのです。
紳士淑女の皆様、この話はまだ公開されていません。ここTEDにいる皆さんが、最初に知るのにふさわしいのです。偶像の中の偶像が、初めて顔を持ちました。こちらです――レオナルド・ダ・ヴィンチ(拍手)
モナリザは世界で一番よく知られている顔です。でもレオナルド・ダ・ヴィンチの顔が分かりますか? イラストレーター、ジークフリード・ウォルドヘックは、彼がレオナルド本人の顔と信じているものを見つけるのに、思慮深い画像の分析技術を使いました。