否定できない真実を伝える市民投稿動画の力(12:31)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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1996年 コンゴ東部にある都市ウビラです 彼の名はブケニ 武装市民団の司令官が彼の村にやって来て 近所の家の扉を次々と叩き 子供たちを訓練キャンプへ さらっていきます ブケニは近所のブライダルカメラマンから ビデオカメラを借りて ジャーナリストのふりをして キャンプへ向かい 子供たちを解放して欲しいと交渉します 彼は子供たちが兵士となる 訓練を受ける様子を撮影しました 「戦士たち 安心しろ!」 「制服があるぞ!」 「車もタダでもらえるぞ!」 「豆もだ!」 こうした子供たちの多くは15歳以下で これは戦争犯罪です 「タダだぞ!」
でも東コンゴに行かなくても 人権侵害はあるんです 高齢化が急速に進むアメリカでは 60歳以上の10人に1人が 虐待を経験するだろうと 専門家たちは予測しています これは隠れた疫病で ほとんどの虐待は身近な介護者や 家族によるものです
これはヴィッキー ヴィッキーは鉄の扉を 寝室のドアに取り付けて 自ら自室で囚われの身となりました 彼女の家を薬物の売買所にしてしまった 甥を恐れての事です これはメアリー メアリーは65歳にして 人生で初めてビデオカメラを手にしました そしてヴィッキーを含め 100人の迫害を受けた老人たちに カメラに向かって その体験を語るように頼みました
私はオランダ人なのですが オランダでは真実が とても重要だとされています 子供時代とは素敵なものです だって何をしても 大目に見られるんですから 「はいママ 私が葉巻を吸ったの」
(笑)
でも だからこそ私は 自分の生涯を 人権侵害を告発する市民動画を 広めることに捧げたのだと思います 紛うことなき真実を伝える ビデオの力を信じているからです 私の団体WITNESS(ウィットネス)は コンゴで撮影された動画を使って トマス・ルバンガという悪名高い戦犯を 告発する手助けをしました メアリーが撮影した動画ですが 私達はメアリーなどの 老人の人権活動家達を訓練し 高齢者虐待の物語が 議員達に届くようにしました そうした物語が議員達の共感を得て 高齢のアメリカ人達を保護する 画期的な法律の可決を後押ししました
こう思うんです 何十億人という人々が この強力なツールを手にしています カメラです 私たちは皆 メアリーやブケニのような 市民目撃者の力強い集団になれるのでは? 何故こんなにも動画が溢れているのに それが正義や人権に 繋がっていないのでしょう? それは目撃者になるのが 厳しいことだからだと思います あなたの物語は否定され ビデオは他の画像の海に 呑まれてしまうでしょう あなたの物語を信じてもらえず あなたは標的になるでしょう
では私たちが 目撃者たちを手助けできる方法とは? メキシコのオアハカ州では 大統領が非常に 非民主的な改革を強行した後 教職員組合がデモを決行しました 州警察がバスで乗り付け デモの参加者たちを銃撃し始めました 少なくとも7人が殺され 多数の負傷者が出ました 銃撃の様子がネットに流れ始め メキシコ政府はいつものように 公式な声明を出しました 独立系メディアが フェイクニュースを流していると 糾弾したのです 「そこにいたのは政府ではなく 撃ったのも政府関係者ではない そんなことは起きなかった」
メキシコで活動家を教育し その画像とメタデータを 効果的に使えるようにしました メタデータとは カメラが取り込む情報の一種で 日付や場所 気温 天気などの情報を含みます 何かを撮影する時の 持ち主のカメラの持ち方だって 判明します 動画は再び拡散され始めました 今度は証拠となるような情報を 動画に付け加えました 結果として政府は発言を 撤回せざるを得ませんでした オアハカ州の人々の為の正義は まだ達成されていませんが 彼らの物語 真実はもう明るみに出ました
それで私たちは考え始めました 「Proof Mode」があったなら? 皆が手にカメラを持ち その全てにそうした証明機能が 付いていたらいいのでは? それで Guardian Projectという アンドロイドアプリの開発者達と 「Proof Mode」という 技術を開発しました それらメタデータと 動画をつなぎ合わせ 動画の真正性を証明するわけです 画像が世界中のスマホから 発信されていることを 想像してください そうした画像にほんのもう少し 真実性があれば ジャーナリスト達や 人権調査官達や 人権弁護士達が活用できるでしょう
「Proof Mode」をブラジルにいる Coletivo Papo Retoという メディア団体の パートナーたちに配布しました ブラジルは 人権問題のある場所です ブラジルの警察は毎年 何千人もを殺害しています 調査のメスが入る時はただ一つ— どんな場合だと思います? 動画証拠がある時です 17歳のエドゥアルドは リオの警察によって 白昼に 殺されました その後起こったことを見て下さい 死体の手に銃を握らせ 2度発砲しました
(銃撃音)
自己防衛を偽装する為です この動画を映した女性は とても勇敢な目撃者でした この動画を投稿した後 命を狙われることを恐れて 姿を隠さなければなりませんでした でも人々は怯む事なく動画を撮り続けます 私たちはメディア団体と一緒に WhatsAppを使って住民に 安全に撮影したり 安全に撮影した動画を ネットに載せたり 証拠となる映像をどう撮影するか等の ガイダンスやヒントを送っています
この例は 「Mídia Ninja」という ブラジルのグループ 左の男性は重装備の軍警官です デモ参加者に近づいて行きます ブラジルでデモをすると 逮捕や さらにひどい扱いを受けることがあります 警官はこう言います「こちらを向け 今からお前の身体検査をするぞ」 デモ参加者はこの様子を ライブ配信していて 小さなカメラをつけています 軍警察に彼はこう言います 「あなたを見張っている 5千人が私と一緒にあなたを観ているんだ」 さあ 立場が逆転しました その場にいない目撃者 つまり 視聴者の影響力は絶大です
それで考え始めたんです その力を活用できたらどうだろう 遠くの目撃者達の力を? 彼らの専門性や影響力 団結 技術力を 最前線コミュニティが必要としている時に 活用できたらどうでしょう? そして「Mobilize Us」という プロジェクトを始めました 私たちの多くが 手を貸したいと考え 自分の持つ技術や 専門知識を提供したいけれども 多くの場合私たちは コミュニティや個人の権利が侵害された時 その場にいるわけではないからです ちょっとしたアプリで スマホの向こう側の迫害者を映し それを観ている人数を表示できます でもそれをネットで配信できるとなると どうでしょう 想像してください 不法移民の 一斉取締りを受けた あなたのコミュニティが その瞬間をライブ配信し 何百人という弁護士たちに 見せることができたら? それがどう影響すると思います?
私たちはブラジルのパートナーコミュニティと これを試してみることにしました これはカミーラです 彼女は「ファヴェラ・スコル」という 貧民街のリーダーで ライブストリーム経由で 遠くの目撃者達や 翻訳者や 配信を手伝う者 物語を増幅する者を呼び入れました 彼女のコミュニティが 昨年のきらびやかなオリンピックのために 力づくで退去させられたからです
私たちは善い目撃ということを話しています でも迫害者達が撮影した場合はどうでしょう? もし傍観者が撮影しても 何もしなければどうでしょう? これはクリッシーの物語です クリッシーはトランスジェンダーです 彼女がメリーランド州で マクドナルドのトイレを借りに 店に入った時 それを咎めた2人のティーンエイジャー達が 彼女を手酷く殴り マクドナルドの店員が それを携帯で撮っていました 彼がその動画を投稿すると 数千もの 人種・性差別的コメントが寄せられました それで私たちは「Capturing Hate(ヘイトを撮る)」 というプロジェクトを立ち上げました そしてトランスジェンダーや 性区別に当てはまらない人々への 虐待の様子をとらえた 限られたサンプル数の動画を取り上げました 2つの単語を使って探しました 「異性装者のケンカ」と「『男役』のケンカ」 329本のビデオはいまこの瞬間も 視聴され続けています 驚くべき9千万回 これらのビデオには 何十万というコメントがつき 更なる暴力とヘイトに 拍車をかけています
それで私たちは 未分類の映像証拠を データにして ビデオをデータに変えました そのツールを用いて いま 多くのLGBT団体がそのデータを使い 権利を主張し戦っています それらのデータを シリコンバレーに持ち帰り こう言いました 「一体どうして こんなビデオが出回っているのか? ヘイトが蔓延し 更にヘイトを生み 暴力を助長しているというのに あなたたちのポリシーには こんなコンテンツを 容認しないとあるのでは?」 そう言って ポリシーの変更を要求しました
私は希望を持っています より多くのビデオをより多くの 権利や正義へと変えていけると思います スナップチャットでは 1日の動画再生回数は 100億回に上ります ではそのスナップチャット世代を 効果的で安全な市民目撃者になるよう 育てたらどうでしょう? 彼らがこの新しい世代にとっての ブケニになったらどうでしょう?
インドでは女性が スナップチャットのフィルターを使い 個人情報を隠してDVを告発しています [私は家で迫害され 一歩も外出が許されません] TEDトークの語らないような 本当の真実とは 人権侵害と戦うのはとても難しい ということです 人権侵害の解決は容易くはありません そしてただ一つの技術が人権侵害者を 止められる訳がありません でもサバイバー達や 被害者たち 迫害を受けているコミュニティの物語 彼らの真実は 重要です そして正義がそこから始まります
ありがとうございました
(拍手)
スマートフォンやカメラは社会正義の為の最も強力な武器となるでしょうか?Witnessという組織を通じてイヴェット・アルバディンク・タイムは活動家達がビデオを用いて人権を守り保護できるように戦略・技術を開発しています。彼女は遠くに住む目撃者達の力について伝え、不正の瞬間を捉える為に身近なツールを使おうと呼びかけます。