情報格差を埋めよう!(09:55)
講演内容の日本語対訳テキストです。
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情報格差を表しているのは コンピュータの使い方を知らないせいで 仕事を得られない45歳の母親です 家族に無料で電話できることを 知らない移民です 情報にアクセスできないが故に 宿題を解く事ができない子供もそうです 情報格差は新しい形の非識字です 情報格差はこのように定義されます 情報通信技術に アクセスできる個人や集団と アクセスできない人々の間に 生じる格差です
なぜこのような事が起きるのか? 3つの理由があります はじめに彼らがその様な技術にアクセスする 経済的余裕がないからです 2番目にどう使うかが分からないからです 3番目にそのような技術によってもたらされる 恩恵を知らないからです 基礎的な統計について考えてみましょう 世界の人口は70億人に近づこうとしています その中でデジタル世界にいるのは およそ20億人です 世界の全人口の大体30%に当たりますが という事は 残りの70%の人々— つまり50億人近くの人々が コンピュータやインターネットに アクセスできないのです この数字について少し考えてみましょう 50億人 インドの人口の4倍に当たります この人数がコンピュータ または インターネットに触れた事さえないのです これが今話している デジタルの深い淵なのです 情報格差どころではありません
クリス・ハリソンのまとめた この地図を見ると 世界中のインターネットの接続が 示されています ほとんどのインターネットの接続が 北アメリカとヨーロッパに 集中している事が分かると同時に 世界の他の地域は情報格差の 漆黒の影に飲み込まれています 都市間のコネクションについても 見る事ができます そして分かるのはほとんどの情報が 北アメリカとヨーロッパで作り出され その他の地域からはアイデアや情報が 発信されていないのです これが意味するところは? 私たちが生きている世界は デジタル革命が起きているように見えますし ここにいる皆さんも革命の中にいると 考えているでしょうが デジタル世界から疎外された 世界人口の70%はこの革命とは無縁なのです
どういう事でしょうか? デジタル化から疎外された人々は 将来の労働市場では 競争すらできません 彼らはつながる事ができず 十分な情報が得られず 刺激を受けて発奮することもなく 責任も持たされないからです インターネットは贅沢なものではなく 権利でなくてはなりません 21世紀においては社会生活に必要不可欠な 基本的なものなのです それなしでは社会が営めません
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インターネットは 世界と私たちをつなぎます 私たちに活力を与えます 社会への参加をもたらします 変化に必要な道具なのです どうしたらこのような情報格差を 埋められるのでしょうか? 情報格差を埋め 解決しようとする モデルは多くありますし 人口全体を含む形で解決しようとする モデルもあります しかし問題は うまくいっているか?
ここにいる皆さんはOLPCについては ご存知でしょう 子供1人に1台のコンピュータを 与えるものです この発想の問題は 私たちは本当に子供がコンピュータを 家庭 それも恵まれない家庭に 持ち帰ることを望んでいるのか? 子供にコンピュータを与えるには 膨大な費用が掛かる事を 理解しなくてはなりません インターネット接続、電気代、保守 ソフトウェアとその更新などの費用です 別のモデルを作り出さねばなりません 家庭の負担にならず むしろ役立つモデルです また二酸化炭素排出量も 忘れてはいけません 50億台のノートパソコンを想像してください 世界はどうなっているのでしょうか? パソコンが有害物質となることを 考えてみましょう 廃棄物です コンピュータを1人に1台与えると 廃棄物も50億倍になります ノートパソコンが100ドルでも 483兆ドルにもなります これは10歳から24歳までの 若年層だけの話です デジタル世界から疎外された人の およそ30%になります それでも145兆ドルもかかるのです こんな額の資金を持つ国があるのでしょうか? とても持続可能なモデルとは言えません
この事を踏まえて 私たちは違うモデルを作りました スペイン語でRIA Learning and Innovation Networkと 英語では呼ばれる— テクノロジーを活用して教育を展開する コミュニティセンターの ネットワークを作りました 1台のコンピュータを利用する人数を 増加させる方法で 1人当たりのインフラ経費を減らし その様なコミュニティにいるすべての人に 教育とテクノロジーを届けたかったのです
基礎的な比較をご覧ください RIAは1,650台のコンピュータを 所有しています OLPCモデルで1人1台の割合で 使ったとすると 1,650人の利用者の利益になります そうではなく私たちが取った行動は 学校よりも長い時間利用可能な センターを設置し すべての市民を対象とします 最年少の利用者は3歳で最年長者は86歳 2年足らずの間に利用者は14万人にも上り その中から—
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その中から34,000人が 私たちのコースを卒業しました
OLPCのもうひとつの課題は コンピュータの用途を 教育に限定できないことです コンテンツがなければ テクノロジーは意味を成しません 活用が目的ではなく 意味のある活用をする手段なのです ではどの様にこのような 強い影響をもたらしたのでしょうか コミュニティに出向いて 変えようとするフリだけではダメで 非常に多くの要素の観察が必要です 私たちが手掛けたのは 「都市針術」と呼ばれる手法で まずその場所の基本的な地理を 観察する事から始めます エカテペックを例にとってみましょう メキシコでも最も人口が密集する自治体です 所得水準も非常に低いところです 基本的な地理 つまり道路や路地を観察し 歩行者や車両の流れを観察します 次に所得水準や教育に目を向けます それから 全身を癒せるような場所に センターを作ります これが街全体を変化させる 細い針に当たります こんな感じです
ここでテクノロジーを通じた 教育を活用する上で 考慮すべき4つの基本要素があります 1つ目に場所を作らねばなりません コミュニティにとって歓迎すべき場所を 作る必要があるので 子供や高齢者 その他コミュニティに住むすべての人々の 需要に基づいた場所に作る必要があります そしてそのような場所は すべてリサイクルされた材料で作ります 環境への影響を押さえるため モジュラーアーキテクチャーを使います
2つ目につながりです つながりとはインターネットへの 接続だけを意味してはいません そんな事なら簡単です 人と人とのつながりを 作り上げる必要があります インターネットは とても複雑な有機的組織体で 人類のアイデアや想いや感情を 原動力にしています 情報交換を支援するネットワークを 作らなくてはいけないのです
3つめはコンテンツです 教育はコンテンツがなければ成り立ちません 1台のコンピュータが 1人の子供にあるだけでは 関係を持っているふりはできません そうならないために 基礎的な学習課程を作りました それは人々に コンピュータの使い方 インターネットの使い方 オフィスソフトの使い方を教え 72時間でデジタル市民を育て上げる場所です ただコンピュータに触っただけで デジタル世界に取り込まれた ふりはできません 学習課程が必要なのです この課程を終えると さらに長期間の学習課程を取る事ができます
4つ目にトレーニングです ユーザーのトレーニングだけではなく ユーザーの教育を促進する人々も 養成する必要があります 情報格差について私たちが語る時 人々には汚名や畏怖があり 自分たちの人生に有益なのか 理解できていません 促進役を養成することで デジタルバリアを乗り越える 手助けをする事になります
4つの要素がある事を説明しました 場所 これは既に作りました つながりもあります コンテンツもあり トレーニングもあります 私たちはデジタル教育の コミュニティを作りました でも もう1つ要素があります テクノロジーのもたらす 利益のすべてについてです この教育法は 印刷した静的なコンテンツではなく 動的で 変更可能だからです 私たちのすべきことは コンテンツを用意し トレーニングを行い ユーザーの傾向を分析すると さらにコンテンツを向上できます これが好循環を生み出します 知識の形態の違いに応じた教育 ユーザー需要の違いに応じた教育を 届けられるのです この事を心に留めつつ テクノロジーは人の成長過程に応じて 修正可能なものであると 考えなければなりません
ある事例です 2006年にここで住むことになりました メキシコ全土の中でも 最も貧しいコミュニティーです ごみに頼って生活する人々の ドキュメンタリーを撮影しに行きましたが すべてをごみに頼っていて ごみを使って家を建て ごみを食事にし 身にまといます 彼らと2か月生活を共にして 子供を見たり仕事の仕方を見たりして 変化をもたらす唯一の方法 貧困の循環を打ち切る唯一の方法は 教育であると理解しました テクノロジーを使えば この様な コミュニティーに教育をもたらせるのです 別の写真です
一番のメッセージは 世界を救うのはテクノロジーではなく 私たち自身であり テクノロジーが役に立つということです ここにいる皆さんにも経験があるでしょう 人類のエネルギーが テクノロジーを動かすのです 世界をより良くするために そのエネルギーを使おうではありませんか
ありがとうございました
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50億人もの人がインターネットを使うことができません。アレフ・モリナーリは、デジタル化から取り残された人々にコンピュータを使う機会を与え、それを活用するノウハウを共有することで、力を与えています。