医療や検査を受けるときプライバシーは重要です。研究者は厳格な法律により、個人情報の収集を制限されています。しかし、仮説を検証しようとする人が誰でも、あなたの匿名化した医療記録を使えるとしたらどうなるでしょう。ジョン・ウィルバンクスは、プライバシー保護が研究を遅らせており、医療記録のオープン化がヘルスケアの革新の波を促しうるのではないかと考えています。
自動スクロールはしませんので、映像に合わせてスクロールさせてご覧下さい。
残念なお知らせと 良いお知らせがあります タスクもあります 残念なお知らせとは 我々は皆 病気になるということです 私も皆さんも 病気になります 誰もが病気になりますが 問題なのは どの程度重症かということです 死ぬ可能性はあるのか? 生き延びられるのか? 治療はできるのか?
我々は人間である限り病気をして来ました それゆえ 病気の原因を絶えず探ってきました 長い間 病気は神様がもたらす とされていましたよね 神の怒りや神からの試練というように また最近では 創造主からの天罰や 裁きというように また最近では 創造主からの天罰や 裁きというように 説明を求める限り 結局 病気になる原因の仮説を立てる行為 科学に辿り着きます 病気になる原因の仮説を立てる行為 科学に辿り着きます そして仮説が得られれば 病気の治療を試みてきました
この人はイブン・スィーナーです 11世紀に執筆した『医学典範』に 記された 薬の試験におけるルールは 現在のものと非常に近いのです 疾患と薬は重篤度と強力さにおいて同等で 薬は純度を保つ必要があり -- 最後に 治験を行う必要がある というものです 人体を用いた治験の物語 あるいは仮説を統合すると たとえ技術が高度でなくても 素晴らしい結果が得られます たとえ技術が高度でなくても 素晴らしい結果が得られます
こちらの人物 カルロス・フィンレーは 1800年代後半 当時としてはかなり珍しい仮説を立てました 彼は 黄熱病の原因を 汚れた衣服ではなく 蚊による伝搬だと考えました 人々は彼を嘲笑し 20年にも渡り “蚊男”と呼んだのです しかし彼は人体実験を行い 立てた仮説を人間で試したのです 彼はボランティアをキューパに派遣し テントに住まわせ 黄熱病に感染しやすい環境をつくりました 汚れた衣服を着て テントで生活する人たちと 黄熱病菌に曝露した蚊だらけのテントで 生活する人たちとに分けました 黄熱病菌に曝露した蚊だらけのテントで 生活する人たちとに分けました その結果 黄熱病を引き起こすのは 魔法の埃のような媒介物ではないと はっきり証明されました しかし 人体実験をしてはじめて 突き止められたのです 人々が実験に参加した目的はこれです 当時キューパで 黄熱病に感染するということは テントの中で熱や孤独に苦しみ 死亡する恐れもあることを意味します テントの中で熱や孤独に苦しみ 死亡する恐れもあることを意味します それでも人々は 進んで協力を名乗り出たのです
これは科学における実験デザインの 理論的に優れた例であるのみならず こんな素晴らしいものも 作り上げました 被験者たちはインフォームド・コンセント(説明同意書)と呼ばれる 書類にサインしました インフォームド・コンセントは 社会が誇るべきアイデアですよね? インフォームド・コンセントは 社会が誇るべきアイデアですよね? これが この実験と ニュルンベルグで行われた ナチスによる強制医療実験との決定的な違いです 研究参加の同意は 研究自体の 理解の上に成り立つという考えで 害や金目当ての人たち -- 理解や同意の無いまま治験に参加させようと 騙す人たちから私たちを守ってくれます そして 集めた仮説 人体での治験 -- インフォームド・コンセントを集約したのが いわゆる臨床研究で 医療の仕事の大半を占めます これは北から南 東から西まで 世界のどこに行っても同じです 臨床研究は研究の基本となります 新薬を研究するとしますよね 治験や採血 実験をしますが それには被験者の同意を得ます 研究の過程で被験者の同意に反する事が無いように
しかし 臨床研究を取り巻く環境は 変わりつつあります 50年や100年とまではいかなくとも 確立されて数十年 治験には しっかりとした仕組みが出来上がっていました 今や我々はヒトのゲノムデータを収集できますが 先ほどの話のように ゲノム自体は 決め手になりません 我々は環境に関する情報を収集できます そしてより重要なのは選択に関する情報です なぜなら 普通考えられている健康とは 実は身体とゲノム 選択 そして環境の 相互作用により近いものだからです 我々の持つ臨床手法はその研究観察には あまり向きません 我々の持つ臨床手法はその研究観察には あまり向きません 患者と医師との取り決めに縛られたものだからです 患者は医師を通して研究に参加することになります 私の祖父です 実際に会ったことはありません 母を抱っこしています 祖父の遺伝子は私に受け継がれています 彼の選択は 私にまで影響を与えました 彼もまた喫煙者でした これは私の息子です 祖父の遺伝子は 彼にももちろん受け継がれ 私の選択は彼の健康に 影響することでしょう これら2枚の写真に使われた技術は 全くの別物ですが 臨床研究の方法はというと その間 劇的な変化はありませんでした 今ではより良い統計があるというだけです インフォームド・コンセントを得る方法は 主に第二次世界大戦後に 確立されました あの写真が撮られた頃 70年前に作られた インフォームド・コンセントを 得る方法 -- 我々を害から守るためにつくられた この方法が 今ではサイロをつくっています 前立腺癌やアルツハイマー病の 臨床試験のために収集したデータが それらの研究のみにしか使用できない サイロに蓄積されていきます データを結び付けたり統合したりできませんし 資格を持たない人は利用できません 物理学者は書類を提出せずにデータに アクセスできません コンピュータ科学者もそうです 彼らは患者ではないのですから 普段そうした書類に慣れていないのです
そしてこれは思わぬ出来事なのです [インフォームド・コンセントの予期せぬ影響] 私たちを害から守るための手段が [インフォームド・コンセントの予期せぬ影響] 今では私たちのイノベーションを妨げているのです [インフォームド・コンセントの予期せぬ影響] それは本来の目標でも狙いでも ありませんでしたよね 私たちをより良く導くために創った仕組みの いわば副作用とも言えます この例えを考えると 憂鬱になりますが フェイスブックが 臨床試験の第3相試験程の小さな サンプルサイズのデータでできた 広告表示アルゴリズムを 使い続けるようなものです(データが不十分な事を例えて) 過去の試験情報を入手し それらを組み合わせて 統計学的に意味のあるサンプルを つくってはいけないのです
残念です そう思いますよね? 男性の45% 女性の38%が がんになります つまり 少なくともアメリカでは 男性の4人に1人 女性の5人に1人ががんで亡くなります がん治療に処方される薬の4分の3は 効果的ではありません これは私に直接関係があります 私の姉はがんサバイバーです 義母もそうです がんなんて最悪です がんになると プライバシーは期待できません 病院で時間の大半は裸で過ごします 知らない人が来て あなたを見たり つついたりします がんサバイバーに こう伝えます 患者を守るはずの道具が 実はデータの使用を妨げています がん患者の3,4%しか 臨床研究に参加しない場合は特に がん患者の3,4%しか 臨床研究に参加しない場合は特に すると 「プライバシー保護とはありがたい」 なんて反応はありません これは不当なことです 大問題です 情報を持っているのに使えないのは これは予期せぬ事態です 血液の値段と貴重さは莫大です 米国では 年間2260億ドルが がん治療に充てられ 1日に1500人が亡くなります それはより深刻になっています
では良い知らせとは 変化が起きたこと -- [何が変わったのか?] なかでも最も重要な変化は [何が変わったのか?] 以前は医療に委ねられていた方法で [何が変わったのか?定量化が可能に] 自分自身を測定できるということです [何が変わったのか?定量化が可能に] 多くの人は それを デジタルの排気ガスと呼びますが 私はそれらが子供の後ろを舞う 塵のようなものと考えます 後ろに手を伸ばし 塵をつかみ そこから健康について多くを学べます もし私たちの選択が健康に影響するなら 食生活は 健康面において非常に重要です すなわち簡単で基本的なこと -- 食事の写真を撮る人が十分いれば 食事が健康にどう影響するか 詳しくわかります 食事が健康にどう影響するか 詳しくわかります 興味深い一例は -- これはiPhoneアプリThe Eateryですが -- 私たちは自分が食べるピザは 他とは違い ずっと健康的だと考えますよね? (笑) あたりまえの結果と思うかもしれませんが これは以前 医療制度が何年も 何十万ドルも費やした 研究に相当します ベンチャー企業の数人が 5か月間で完成しました 私はその会社とは何ら金銭的利害関係を有しません
しかし 遺伝子解析を完了できることは より重要です 遺伝子型は決め手とはなりませんが 健康への手がかりを与えてくれます 私のをお見せしましょう 塩基配列を 解釈したものです お分かりのように 私が有するリスクは 前立腺癌 32% 乾癬 22% アルツハイマー病 14%です 遺伝学者なら あわててこう言うことでしょう 「まさかアポE E4対立遺伝子の事を公開したの? どうしちゃったの?」と この結果を手にして 医師たちに相談すると 誰にも言わないよう言われました 「病気になったら治療に役立つのでは?」 と言っても イエスと答えられる人はいませんでした しかし私は 情報を共有すれば 悪い事の代わりに素晴らしい事が起こる ウェブ世界の住人です スライドにこうした情報をまとめたので 更に態度が大きくなった私は医師のもとに行き 「実は血液検査の結果が欲しいんです -- データを返してください」と言いました これが最新の血液検査の結果です お分かりのように コレステロール値が高いです 特に悪玉コレステロール値が高く 肝機能の数値も悪いです でも 検査を受ける前夜の食事会で 美味しいワインを飲んだからです (笑) 注目すべきは これらがコンピュータで扱える 情報ではないということです データという観点からは 祖父が母を抱いた写真と同様の情報で 私はシステムの内部から 使えるデータを 取り出さなければなりませんでした
ここで提案したいのは [私たちはコモンズを形成できます] 後ろに手を伸ばし 塵をつかむこと -- [私たちはコモンズを形成できます] 身体を調べ 遺伝子型情報を集め -- [私たちはコモンズを形成できます] 医療システムから記録を入手することです [私たちはコモンズを形成できます] それを使い何かを一緒につくること それがコモンズです [私たちはコモンズを形成できます] コモンズについてはあらゆるところで話題がつきませんよね コモンズは私的財から生まれた 公共財以外の何物でもありません 私たちが自発的に かつ標準化された 法律のツールを通して -- さらに標準化された技術を用いて貢献します それがコモンズのすべてです 私たちが共に重要だと考え 一緒につくるものなのです
データのコモンズが他に類を見ないのは 自分自身のデータから作られるからです データ管理の方法として プライバシーを好む人や 取りつかれる人は多数存在しますが 少なくとも中には共有することを 管理の一形態として好む人もいます デジタルコモンズで注目すべきは データのサイズが十分大きければ 参加率が高くなくても 大量で見事なデータになるのです 従って フリーソフトを書く プログラマーはあまりいませんが Apache Webサーバが存在します ウィキペディアを読み 編集もするという人は多くありませんが ちゃんと機能しています つまり 共有という管理形態を選び 共有する人がいる限り コモンズを創造し 情報を得られます そして生物学では 貢献者の数はさらに優れています (テネシー州の)ヴァンダービルト大学は研究に際し 生態サンプルや血液を バイオバンクで共有するよう求めました 拒否した人はたった5%でした 私はテネシー州出身ですが そこは米国で最も科学に肯定的な 州というわけではありません (笑) しかし 協力したくないと言う人は たった5%でした つまり 選択肢と機会を与えれば 人々は共有したいのです
私がこれに夢中になった理由は 家族の存在というはっきりした側面の他に 数学者と長い時間を共にしたからです 彼らは大量のデータがある場所に 引きつけられます というのも データを活用し ノイズから信号を読み解けるからです 彼らがノイズから手繰り出した相関関係から 必ずしも病因が特定される訳ではありませんが 現代の数学はいわば 巨大な電動工具セットのようなもので 私たちがのろのろとノコギリを使って データを分析する傍らそれは医療データに 繋がれもせずただ 放置されているようなものなのです もし遺伝子型や検査結果 -- 生活様式についての選択 -- 環境情報が多く共有されれば 人々の微妙な差異や選択 -- およびその結果生じる健康状態の 相関関係を読み解けるようになります そしてそのための オープンソースなインフラが存在します セージ・バイオネットワークスは 他にはない 巨大な数学システムを有する 非営利団体ですが 扱うべきデータが欠けています
それが私の仕事です 世界初の完全にデジタル化され 完全に自発的参加型であり 範囲が無限で 全世界が参加でき 倫理的に認められた あなたがデータを提供する臨床研究を行う団体です もし皆さんが後ろに手を伸ばし 塵をつかむように -- 身体を調べ ゲノムを知り -- 医療システムから記録を 何らかの方法で入手すれば オンラインのインフォームド・コンセントの手順を踏み -- コモンズへの情報の寄与は 正しい情報に基づいた任意の判断に よるものなので -- 自分の情報を アップロードして この手のビッグデータの研究を行う 数学者たちへと届けられます ゴールは 最初の1年で10万人分 5年で100万人分のデータを 集めることです それは 統計学的に意味のある コーホートを持つことになり そこから伝統的な臨床研究のサンプルサイズを取り 全体に対して比較ができます その結果 我々特有の差異と 社会として前進させる必要がある 種類の健康との 微妙な相関関係も導き出せます
さらに私は 他のコモンズにも 多くの時間をかけてきました Webの創世を見てきました 創造的なコモンズの世界の創世に 身を置いてきましたが 共通することが4つあります それは非常にシンプルだということです もしウェブサイトを訪れて この研究に参加するとなれば 複雑に感じることはないでしょう しかし過度に単純化されたわけではありません 意図的に簡易なのです いつでもこのシステムに力を加え コントロールを加えることが出来るからです しかし 最初につけてしまったものを 取り除くのは非常に難しいのです シンプルであるということは 簡単すぎるというわけではなく データの簡易さは 脆弱さを意味するわけではありません それらは システムにおいて 強みとなります
オープンであるのも お金がないからというわけではありません 閉鎖的なシステムや法人は オープンウェブ上で たくさんの利益を儲けます オープンウェブが存在するのは 法人がシステムの開放性に利益を見出しているおかげにもよるのです 法人がシステムの開放性に利益を見出しているおかげにもよるのです よってこれらすべては 我々が生み出した臨床研究の一部で 実際14歳以上であればみなさんがアクセスできます そして平たく言えば 仕組みを悪用しないという旨の 契約にサインすれば参加出来ます そして平たく言えば 仕組みを悪用しないという旨の 契約にサインすれば参加出来ます するとデータの分析に入れます ついでにCAPTCHA認証システムも解く必要があります (笑) そしてもしその上に会社組織を 形成したいなら それも結構です それらすべてが同意に含まれています そしてもしそれらの条件が 気に食わないなら参加しなくてよいのです これが私たちが健康データに持ち込もうとしている コモンズの設計原則です これらのシステムをつくるためには 他に 比較的小数の奇特な人々の力が 求められます ウィキペディアをつくるのも維持するのも それほど多くの人は 必要とされませんでした 健康に無理なことがあってはなりませんし だから "患者”という言葉が大嫌いです システムが壊れたり ヘルスケアが壊れるとき 患者になるのは嫌です ヘルスケア政策ではなく ヘルスケアへの科学的な取り組み方について話しています 患者になりたくないのです 皆さんに与えるタスクとは 患者にならないことです だから 家に帰ったら実際に ご自身のデータを得ようとしてください ぎょっとし怒るでしょう データの取得のむずかしさに きっと憤慨するでしょう しかし それは皆さんにしてもらいたい 挑戦で おそらく共有してくれるでしょう もしかしたらしないかもしれませんが もし家族に病気の人がいないなら 奇特な人の一人には ならないかもしれません しかしもしいたり ご自身が病気なら 共有してくれるでしょう この先数か月に渡って 実験を行えることでしょう 奇特な人がどれだけいるのか はっきりすることでしょう Athena Breast Health Networkが カリフォルニア州の女性15万人を研究し 研究の参加者のデータ全てを 解析可能な形で参加者に返します それはワンクリックで私の研究に 当てはめる事ができます 喜んで奇特になる人が どれだけいるかはっきりすることでしょう
終わりにあたって 仕事を辞めてから約1年経ちますが 私が学んだ最も美しいことは 素晴らしい結果を達成するのに そんなに多くの人を必要としないことです ただ喜んで奇特になることです 我々の危険は 14人が冒した黄熱病にかかるという 危険には及びませんよね デジタルに 公的ドメインで裸になるように 情報を共有することです 皆さんは私についてよく知り 今は情報量が不釣り合いの状態です 裸で一人でいるのは恐ろしいものです しかし集団で自発的に情報をさらけ出し提供する ことで非常に美しい成果を生み出す可能性があります 我々すべては必要ありません 我々の中の一部の貢献でできるのです ありがとうございました (拍手)