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2024年夏以降、「エコーウイルス11型」と呼ばれるウイルスに感染した赤ちゃん3人が亡くなったとの報告を受け、厚生労働省は実態を把握するため、全国調査に乗り出した。感染が疑われる乳児が入院した医療機関に報告を求める。
全国調査では、生後3か月以下の乳児が急性肝炎や敗血症、髄膜炎などで入院し、エコーウイルスの感染が疑われる事例について、医師に保健所へ届け出るよう要請した。保健所が感染経路を調べ、地方衛生研究所が検体を分析する。調査期間は26年3月までで、24年1月まで遡って報告することも可能とした。結果は公表する予定だ。
国立感染症研究所などによると、風邪の原因となるエコーウイルスは、感染しても多くは無症状だが、乳児でまれに重篤な疾患を発症することがある。
22年夏以降、欧州で死亡や重症例が相次いで報告され、国内でも、24年8~11月に、生後間もない赤ちゃん3人が急性肝不全などを発症して亡くなり、いずれもエコーウイルスが検出された。
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65歳以上が支払う介護保険料が全国最高の大阪市は2025年度、保険料抑制に本腰を入れる。介護や支援が必要となる高齢者を減らす「介護予防」の推進費として、新年度予算案に24年度の2・3倍となる4億9400万円を計上する。
同市では、24年4月からの3年間に65歳以上が支払う介護保険料が月額9249円と、全国平均(月額6225円)を大きく上回り、全国最高となった。市の介護保険事業会計の歳出額は23年度、3146億円に上り、14年度(2232億円)の1・4倍。保険料は当時(5897円)の1・5倍以上となっている。
保険料を抑制するには介護サービスによる歳出を抑える必要がある。市は昨年12月、高齢化が進む中で今後も保険料が上昇する可能性が高いとして、25年度から3年間、重点的に対策に取り組む方針を決定した。
市内の高齢者のうち独居世帯が20年に45%と、20年前から10ポイント以上増えたことに着目。独居の高齢者は外出を控える傾向があり、要介護や要支援となるリスクがあるため、外出や運動を促して体力維持を目指す。
新年度予算案には、▽外出時の歩数を電子マネーに交換できるポイントを付与(2億4000万円)▽関心のない高齢者への周知(4500万円)▽介護予防に取り組む事業者支援(1900万円)▽高齢者向けの筋力トレーニング教室(1500万円)――などを盛り込む予定。
介護保険は、国や自治体の負担金と40歳以上が納める保険料が財源。保険料は65歳以上と40~64歳の人口割合を踏まえ、3年ごとに改定される。
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厚生労働省は、脳死下の臓器提供の経験が豊富な25の拠点施設と、経験の浅い約70の医療機関をオンラインで結び、遠隔で脳死判定などを支援するシステムの配備に今年から着手した。経験が浅い医療機関は、患者家族への説明や脳死判定で対応に迷いがちだ。拠点施設の医師が状況を同時進行で確認しながら、こまめに助言することで、円滑に脳死判定を進め、臓器提供の増加につなげる狙いがある。関連経費5億2000万円を昨年12月に成立した今年度補正予算に計上した。
厚労省によると、国内で臓器提供が可能な約900の医療機関のうち、実際に提供経験があるのは3分の1の約300にとどまっている。医療機関によっては、家族への対応や脳死判定などのノウハウが十分でなく、臓器提供の実施に後ろ向きになりがちとされる。
こうした医療機関を支援するため、厚労省は、臓器提供を行う人員や経験が不足している約70の医療機関に、遠隔操作で最大70倍のズームが可能な高精細のカメラとスピーカーを搭載した機器を配備する。
支援を受ける医療機関に脳死の可能性がある患者がいる場合、連携する大学病院など地域の拠点施設の医師とオンラインでつなぎ、患者の様子や脳波のデータなどを即時に共有する。拠点施設の医師は、機器から送られてくる画像やデータを確認しながら、脳死判定から臓器摘出まで必要な手続きを助言し、支援を受ける医療機関が判断する。摘出した臓器が移植に適するかの評価にも活用する。
臓器提供は、患者の脳全体の機能が失われ、回復する可能性がない脳死と判断された場合、医療機関が終末期医療の一つの選択肢として患者家族に提示し、同意を得られた際に行われる。
医療機関による家族への対応では、「患者に回復の見込みがないことに家族の理解が得られているか」や、「家族に臓器提供を積極的に勧めない」などの注意点がある。臓器移植法に基づく法的脳死判定の手順は厳格に定められており、深い昏睡状態にある、瞳孔の拡大・固定が見られるなどの項目を医師が2回確認する必要がある。
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従来の治療で効果が見込めない再発した子宮頸がん患者12人を対象に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)と遺伝子操作技術を組み合わせた新しいがん免疫療法の治験を、順天堂大と東京科学大の研究チームが開始した。
安藤美樹・順天堂大教授(血液内科)らのチームは、まず健康な人から免疫細胞「キラーT細胞」を採取し、iPS細胞を作製する。拒絶反応が起きないようゲノム編集技術で遺伝子を改変し、再びキラーT細胞に変化させる。こうして作った大量のキラーT細胞を患者に投与してがん細胞を死滅させるのが狙いだ。治験は順天堂医院(東京)で2028年末まで行う計画で、主に安全性を検証する。
子宮頸がんは、国内で年間約3000人の女性が死亡している。進行したり再発したりすると、手術や放射線療法など従来の治療が効きにくくなる。キラーT細胞は患者の体内で数が少なく、再発・難治性のがんを治すには不十分だという。
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徳島大歯学部から生まれた徳島市のベンチャー企業「amidex(アミデックス)」が、デジタル技術を駆使した精巧な型枠を使うことで、虫歯治療や矯正などで歯科医院に「削らない治療」をしてもらうサービスを提供している。「未来歯科治療」と名付け、全国で導入が広がっている。(吉田誠一)
従来の虫歯治療では、周囲の健康な歯の部分まで大きく削って型を取り、銀歯やセラミックをはめるのが中心。接着に使うセメント部分は再び虫歯になりやすく、再治療を受けるケースも多い。
近年は詰め物に使うコンポジットレジン(CR)というセラミックとプラスチックの混合素材の開発が進み、それを固めるペン形のLED光照射器の進化もあり、治療の幅が広がった。小さな虫歯を詰めるだけだったCR治療が歯の形を整えたり、再構築したりする治療へと発展してきている。
白いペースト状のCRを注射器形の注入器で歯に塗り、光を当てて固める。直接歯に接着させるため、健康な歯を削ったり、型取りして作った詰め物を削って修正したりする手間が不要になる。一方で、治療範囲が広くなれば、美しく仕上げるのに歯科医の高い技術が必要で、治療時間が長い難点もある。
同社は国産CRとデジタル技術の進化を背景に、歯科医院で簡単に美しくCR治療を仕上げてもらおうと、「未来歯科治療」として社名と同じ新サービス「アミデックス」を始めた。
各地の歯科医が患者の口腔内をスキャナーで読み取り、データを同社に送信。同社の専門医、歯科技工士らのチームが患者に合わせた歯の型をパソコンで設計し、3Dプリンターで透明な樹脂製の型枠(特許出願中)を作る仕組み。
各歯科医院では、送られてきた透明な型枠を患者の歯に添え、歯の色に合わせたCRを注入。LED光で固めれば、短時間で周囲の歯と見分けがつかないように仕上がる。病気やけがで歯が複数本なくなったり、欠けたりした歯でも、アミデックスで隣の歯にCRを直接接着させて新たな歯を作ることも可能だ。
昨年4月からアミデックスを解説するセミナーを開催、オンライン配信もして、受講した歯科医にサービスを提供。全国で130以上の歯科医院が導入し、利用が広がっている。
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厚生労働省は、情報機器に不慣れな高齢者らが、公民館や駅の中など身近な場でオンライン診療を受けやすくする体制づくりに乗り出す。診療所の開設許可がなくても、受診施設として届け出れば、オンライン診療を受ける場として認める。一方、診療の法令基準を設け、医療機関に対し順守を義務化して安全性の向上を図る。24日に召集される通常国会に医療法改正案の提出を目指す。
スマートフォンやパソコンの画面越しに行うオンライン診療は、新型コロナウイルスの流行を契機に広がっている。厚労省によると昨年10月現在、医療機関の1割にあたる約1万2500か所で対応している。
患者の通院の負担が減るだけでなく、地方の患者が、都市部に集中する専門医の診察を受けることも容易になる。医師偏在の対策として注目される。
厚労省は今回、公民館や郵便局、駅の中などで、オンライン診療を受けられる新たな仕組みをつくる。施設は、都道府県に届け出た上で個室や仕切りで患者のプライバシーを守れるスペースを設けるなど体制を整える。診療を担う医療機関は、施設の体制をチェックし、患者の急変時に受け入れる近隣の医療機関を確保する義務を負う。
現在、公民館などの施設がオンライン診療に対応するには、都道府県から診療所の開設許可を受ける必要があり、ハードルが高い。許可が不要になれば対応する施設が増え、高齢者らが施設の職員らの助けを借りて、オンライン診療を受けやすい環境が整う。働き盛りの世代が、移動の合間に施設に立ち寄って受診することも可能となる。
また、オンライン診療を行う医療機関の届け出制度を創設、現行の指針を踏まえて法令基準を定める。基準には、医師と患者がお互いに身分証明書を示し、本人確認を行うほか、効果や副作用に応じた薬の処方、急変時に対面診療できる体制を盛り込む。
違反の疑いがあれば、都道府県が調査、改善命令を出せるようにする。従わない場合の罰則も検討している。
2024年夏、厚労省の有識者検討会で、医師でない職員が美容医療のオンライン診療を担った疑いがある事例などが報告され、安全対策の強化が求められていた。
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民間信用調査会社の帝国データバンクは22日、2024年に倒産や休廃業・解散した医療機関が786件で、比較可能な00年以降で最多だったと発表した。新型コロナウイルスの流行に伴う受診行動の変化や物価高騰などによる収入減のほか、経営者の高齢化などの影響としており、増加傾向が続くとみている。
786件のうち倒産は64件、負債総額は282億4200万円だった。これまでの倒産件数の最多は09年の52件だった。
倒産に至った主な理由は、「収入の減少」が41件(64%)を占めた。背景には、コロナ禍をきっかけに受診控えや受診先を見直す患者が増えたことや、コロナ関連の補助金の削減、医薬品や検査キットなど医療資材の高騰があると分析した。
休廃業・解散に至った722件のうち診療所は587件と8割にのぼった。残りは歯科医院118件、病院17件だった。
同社が全国の診療所の経営者約1万人の年齢を調べたところ70歳以上が54・6%だった。同社は「経営者の高齢化が進み、健康問題や死亡により、急速に診療所の廃業が増えていくだろう」としている。
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エボラウイルスなど危険な病原体を扱うために長崎大が建設した「高度安全実験(BSL4)施設」について、政府は病原体の管理者として同大を指定できるようにした政令改正案を閣議決定した。
決定は21日付で、月内にも長崎大が正式に指定される。予防法や治療法の開発目的で研究が行えるBSL4施設は国内初となる。
BSL4施設は、天然痘ウイルスなど危険性が最高ランクとされる病原体を扱うことを想定し、職員の感染防止や病原体の流出防護など高度な安全対策が施されている。政令改正にあたっては厚生労働省が安全対策などを確認し、昨年、同大の指定を認めた。実際に危険な病原体を同大に移送するには、改めて厚労相の承認などが必要になる。
すでにBSL4施設として稼働している国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)は、地元との合意で患者の診断や治療の目的に特化している。
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厚生労働省などは22日、マイナンバーカードに保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」を巡り、最大で患者37人分の薬剤情報が、本人が同意していないにもかかわらず医療機関側に提供されていた可能性があると発表した。
発表によると、昨年10月から今年1月15日の間に、訪問診療で医療機関が患者のマイナ保険証の確認を行った際、患者が過去に処方された医薬品情報の提供に同意していなかったものの、医療機関側に提供されていた事例が確認された。患者の自宅などで医療機関側が使用する専用アプリの不具合が原因で、同意したとして登録されていた。アプリの不具合はすでに修正されたという。
厚労省は「今回の事象の経緯を検証し、再発防止策を実施したい」としている。
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厚生労働省は17日、全国約5000か所の定点医療機関から6~12日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数が、1医療機関あたり35・02人だったと発表した。前週(33・82人)の1・04倍で2週ぶりに増加に転じた。今後も流行が続く可能性があり、専門家は「今からでもワクチンの接種を検討してほしい」と呼びかけている。
日本感染症学会の石田直・インフルエンザ委員会委員長は「コロナ禍でインフルエンザが流行せず、ウイルスから防御する抗体の保有率が低下していることが今季の流行要因の一つではないか」と分析する。現在流行しているウイルスは、2009年に「新型」として流行した「A型」(H1N1)で、2月以降は、「B型」が広がる可能性がある。
インフルエンザの感染拡大を受け、厚生労働省は17日、製薬会社や卸売業者の治療薬の在庫量について、12日時点で約1110万人分あると発表した。国立感染症研究所によると、定点医療機関の報告をもとに推計される6~12日の医療機関の受診者数は約145万人で、厚労省は「在庫は確保できており、医療機関は適切に発注してもらいたい」としている。