総合診療科の未来について
これからの総合診療科はどうなっていくのでしょうか。
今はクリニックベースで総合診療を行っているところ、病院ベースで総合診療を行っているところ、そして救急ベースで総合診療を行っているところの3つに分類できます。病院ベースであっても病院によって環境がかなり違いますから、統合がなかなか難しいですね。
コラム・連載
今はクリニックベースで総合診療を行っているところ、病院ベースで総合診療を行っているところ、そして救急ベースで総合診療を行っているところの3つに分類できます。病院ベースであっても病院によって環境がかなり違いますから、統合がなかなか難しいですね。
大学病院は別にしても、これも規模によりますね。入院管理において、ジェネラルマインドを持った人が臓器専門医とコラボレーションしながら思う存分活躍できれば、専門医の先生も専門領域に集中できる時間が増え、専門性をより高める形ができます。なんでもやりたいジェネラリストと臓器専門医とwin-winの関係になるのではないでしょうか。こうした形を中規模、大規模病院で多く作っていければ、病院総合診療医が活躍できる場所が増え、面白くなると思います。病院経営にとってもプラスになるのではないでしょうか。
救急外来からの症例は、虚血性脳血管障害、尿路感染症、敗血症・菌血症、肺炎、糖尿病、電解質異常、膿瘍、てんかん、不明熱、皮膚・軟部組織感染症、ウイルス感染症、椎体炎、偽痛風、慢性閉塞性肺疾患、副腎不全、低体温症、リウマチ性多発筋痛症、間質性肺炎など多岐に及んでいます。また、上記疾患群に加えて、いくつかの専門科にまたがる複数の疾患をもつ患者、どこの専門内科に属するのかが不明な患者、主病名が内科以外の他科であるが、内科合併症や全身状態が不良のため内科管理が必要な患者、また、集中治療が必要な重篤疾患を抱えているが緩和的加療が中心となる超高齢者、内科専門科に属せない複合的問題を抱えている患者や社会的複雑な背景を持った患者などを24時間体制で受け入れています。
現在救急外来、病棟に加えて、内科新患外来、往診(私が訪問看護センター長でもありますので)まで行っています。今は少しずつですが理想形に近づいています。また、今でも担当はしているのですが、消化器内科や循環器内科の手技の必要のない疾患群をさらに担当し、そして外科系入院患者の内科管理ができれば、各臓器専門科の先生がたにも役立つ存在だと思っていただけるのではと思っています。
ここ数年、当科の診療方針を少しずつですが、知っていただけるようになったのか人が増えてきています。専攻医を含め現在9名の人員となっています。ただ、理想形を完成させるためには、まだまだ足りません。
ならないといけないですよね。各臓器専門科のカバーをさせていただければと、ここまで自分で話をしてきましたが、病院総合診療そのものも専門診療科です。今後、病院診療の中の1つの専門診療科として、ニーズの高い存在になればと思います。
薄まってしまうという危機感もありますが、広く学べるというのは逆にそれはそれで面白いです。こればかりを勉強していると飽きてくるから、ほかに何をしようかという感じですね。色々なところを「こんなのもあるんだ」、「こういう病気もあるのか」と思いながら、ちょうどネットサーフィンするみたいな感じで勉強するのが面白いです。未だに診たことのない病気や症状も多くありますし、見たことのない症状の組み合わせによって「この病気だったのか」という気づきも毎日のようにあります。
今はネットで検索できるので、情報収集自体はより便利で、難しくはないです。
1990年代当時はCD-ROMで文献検索をしていました。19○○年というCD-ROMを入れて調べる、前年までのCD-ROMはありますが、今年のCD-ROMはまだない。最新の文献検索にはかなりの労力が必要でした。私が卒後3年目の研修医をしていた頃はCD-ROMもなくまだ本でした。あいうえお順やABC順になっていて、Aで始まるところを見て、今度は年ごとに一生懸命見ていました。そうやって調べていた時代に比べれば、今はポンと出てきますが、今は私が若かった頃よりも勉強すべき内容が増えているので、そのぐらいでないといけないのかもしれません。私も三浦知良選手のように50歳になっても第一線にいるために、日頃からの情報収集を怠れません(笑)。
勉強しないと、各科からの信頼も得られません。カズみたいに年をとってもやるためには、いつまでも日頃の鍛錬を続けていく必要があります。
著者プロフィール
総合病院国保旭中央病院 副院長、総合診療内科部長、臨床教育センター長
日本内科学会総合内科専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会指導医、日本神経学会神経内科専門医、日本神経学会指導医、日本病院総合診療医学会認定医など。