コラム・連載
シーズン3 第1回 東京オリンピック
東京オリンピックはどうなるのでしょう。
やれるのか、やれないのか、今、頑張っているところだと思いますが、医師の立場からすれば、人が密集しすることで、新型コロナウイルスの感染を拡大するオリンピックは感染が沈静化するまでは開催しない方がいいです。商売をしている人の中にはオリンピックをしないといけない人が大勢いることは分かっていますが、集まって、唾液を飛ばし合う機会を作るのは言語道断です。競技によっては突き合ったり、相撲と変わらない格闘技のようなものもありますしね。
海外からの観客は来られなくなりました。
無観客は前提でしょう。競技も自分の国でやって、オンラインで繋げればいいんです(笑)。それを観客が見られるようにすればいいだけです。100メートル走でも、走幅跳でもそれぞれの国でやって、同時に配信すればいいんです。色々な競技大会をオンラインでやっているのに、オリンピックをオンラインでやると儲からない業者がいるから、選手を集めたいのでしょう。オリンピックに限らず、会食だって、集まらずにするべきです。オンラインで繋ぎ、食事しているところをお互いに映し合えば十分です。
ホテルなどは切実なのでしょう。
これは東京オリンピックそのものの話で、ホテル業界を繁栄させる話ではありません。私は東京オリンピックには反対していないけれど、ウイルスを移し合うのは良くないと言っているんです。形態を変えればいんですよ。このインタビューみたいにオンラインであれば、くしゃみをしても大丈夫です(笑)。それにしても、思いついたことを話すのは楽ですね。皆、「これを言ったらいけない」とか、「これを言ったら誰かが傷つく」とか、心にもないことを言ってしまうから、面白くない話になります。
森喜朗元首相の失言も話題になりました。
私は森さんみたいに正直に話す人が大好きです(笑)。ラグビーを全く知らない女性がラグビーの委員会に来て、色々と質問してきたら邪魔なんですよ。ラグビーをやったことない人がラグビーの会議の運営を妨げるのは良くありません。話を聞いてくれるのならいいですが、ラグビーをしたことがなければ、アイディアを出しようもありません。
「わきまえていない」という言葉も出ましたね。
わきまえていないですよ。やったことがないもの、経験したことがないものについて話すときには誰もわきまえていません。私が経験したことのない女性の悩みを語るのはおかしいし、それは女性の権利でしょう。私が語るべきなのは男性の悩みであって、女性が男性の悩みを語るのは間違っていると思います。知らないことには余計な口を挟まないで、わきまえて聞かなくてはいけません。これは森さんの言う通りです。私は今でも森さんを支持しています。あれでいいんです。
お知り合いでいらっしゃるんですか。
森さんとは友だちではないですし、何の利害関係もありません。でも、私より前の世代の人たちが言うことには必ず敬意を持って伺います。私が愛用しているフェイスシールドも、どこかの小中学生が作ってきたなら「ありがとねえ」と言ってから、ゴミ箱にポイですが、ドクター中松が作ってきたから、皆にお勧めしています(笑)。
上の世代の方へのリスペクトがおありなんですね。
大学だって、教授が言っていることを聞いて、それに合わせて、答えを書いていくわけです。今なら「教授が言っていることは間違っていますよ。私はそうは思いません」と言えますが、それは私が一人前の医師になり、意見を言える段階に来ていて、意見を言う権利があるからです。「昔からこう言われているのだから、これに従え」というのは従うわけにはいきません。でも教わっている間は異論を挟まず、「左様でございますか」と噛み砕いてから初めてお手向かいしないといけません。
著者プロフィール
著者名:高須 克弥
高須クリニック 院長
- 1945年 愛知県幡豆郡一色町(現 西尾市)で生まれる。
- 1969年 昭和大学を卒業する。
- 1973年 昭和大学大学院を修了する。
- 1974年 愛知県幡豆郡一色町に高須病院を開設する。
- 1976年 愛知県名古屋市に高須クリニックを開設する。
- 2011年 昭和大学医学部形成外科学(美容外科学部門)客員教授に就任する。
- インタビュー 高須克弥先生に訊け
- 25. 2022年の再生プロジェクト
- 24. 前科者の会
- 23. 高須クリニック銀座移転
- 22. GonzoさんとのCM撮影
- 21. 新型コロナウイルス第6波
- 20. 再生プロジェクト
- 19. がんを治療する
- 18. がんを発見する
- 17. 末期がんに対する挑戦的治療法
- 16. 新型コロナウイルス第5波
- 15. 本物と偽物
- 14. フェイスシールド
- 13. 医師国家試験
- 12. 昭和大学での日々
- 11. 東京オリンピック
- 10. ウィズコロナの時代に
- 09. 最近の美容外科に警鐘を鳴らす
- 08. 社会貢献活動
- 07. 愛知県に暮らす
- 06. 新型コロナウイルス
- 05. 新しい美容外科
- 04. ミケランジェロ™
- 03. 国際交流
- 02. 血液クレンジング
- 01. 美容外科のニーズ
- 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
- がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
- 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
- 私の研究 一瀬 幸人Dr. 国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究センター長
- 次代を担う君達へ 菊池 臣一Dr. 福島県立医科大学 前理事長兼学長
- 若い医師へ向けたメッセージ 安藤 正明Dr. 倉敷成人病センター 副院長・内視鏡手術センター長