コラム・連載
シーズン5 第1回 新型コロナウイルス第6波
手術のあとのお時間をいただき、ありがとうございます。
手術はまだ続いていますよ。私の代わりの医師が縫ってくれています。
新型コロナウイルスのオミクロン株について、お聞かせください。
オミクロン株自体は前からあったのかもしれないもので、気がついていなかっただけかもしれません。新しい株が見つかると、大騒ぎになりますしね。今回は南アフリカだったから発見が早かったように思います。同じアフリカでも、これがケニアかナイジェリアなら発見が遅かったかもしれないですよね。アフガニスタンでも遅くなったでしょう。
先生はオミクロン株を楽観視されていますよね。
楽観視していますよ。オミクロン株はデルタ株に比べると、重症者が極めて少ないです。ほとんどの人がワクチンを2回打ちましたし、免疫があるからだと思います。どんな伝染病でも伝染らなければいいのです。そして感染っても、重症化しなければいいのです。重症化しないのであれば、何も怖くありません。
確かに重症者は少ないです。
重症化するなら、水虫だって怖いものです。HIVに感染している患者さんにとっては水虫が命取りになりかねません。水虫が原因で、カリニ肺炎が起きたりするからです。医師にとっての脅威は患者さんが亡くなることですが、このオミクロン株では亡くなるケースが極めて少ないです。
では恐れる必要はないということですね。
ないですよ。死亡者の少ない感染症を恐れる必要はありません。陽性者の数は発症者の数ではないのです。未知のウイルスへの脅威を煽る段階は過ぎたと考えています。無症候で自然治癒した人が既に多くいらっしゃるでしょう。これからも陽性者は増えますが、ほとんどが自然治癒します。
高須病院は相変わらず陽性者はゼロですか。
高須病院には毎週月曜日に回診に行っていますが、ずっとゼロです。陽性者も出ていないと、重症者も出るわけがないのです。日本も今回のオミクロン株でゼロにできたはずです。海外から来た人たちから感染していって、濃厚接触の人たちも感染してという流れですから、私は鎖国しろと言っていたのです。海外から来た人たちは出島のような場所に隔離しておけばよかったのです。出島の場所はどこでもよくて、尖閣列島でもどこでも構いません。淡路島だと怒られるでしょうから、人がいないような出島のようなところを作って、リゾート地にすればいいです。プライベートビーチも作るといいですね。死なないと分かっているから、こういう場所が流行るのではないかと思います。
がん治療
2021年の11月末にがん治療を再開されたと伺いました。
オミクロン株と一緒です。オミクロン株が一例も出ていないと思ったら、一例出たように、がん細胞を発見したのです。私は膀胱がんなので、尿中にがん細胞が出てきたら、がんがまだいるということです。数は少ないんですけどね。完全にいなくなったと思ったら、まだいました。絶滅したはずのニホンオオカミがまだいたような感じです。駄目押しが甘かったから、完全に鎮火したボヤが出てきたのでしょうが、大火事にならないことは分かっています。一度は制圧していますし、死ぬようなことでもないので、気楽にしています。
以前と同じ治療を再開されたのですか。
そうです。ゲムシタビンをまた入れました。膀胱にゲムシタビンを直接入れるという治療は世界でもほとんど例がありません。次回で14回目なのですが、14回入れたというのは本当に例がないんです。新しい領域で治療できているのは楽しいことです。誰も見たことがない世界ですからね。これだけで治ってしまうのではないかという気もしています。
ではオミクロン株も先生のがんも大丈夫ですね。
私は全く舐めていますね。オミクロン株はまもなく収束しますし、私のがんも大丈夫です。
治療は外来でなさっているのですか。
入院して放射線治療をしようというアイディアもあったのですが、放射線治療は続けてやらないといけないのです。1カ月入院するとなると面倒ですし、それよりは月に一度、ゲムシタビンを入れる治療をしようということになりました。がん細胞の数が少ないから、月に一度で大丈夫です。煙草の不始末によるボヤをはしご車やヘリコプターを出動させて、水をまく必要はありませんからね。仕事は普通にやっていますし、CMの撮影もしています。
著者プロフィール
著者名:高須 克弥
高須クリニック 院長
- 1945年 愛知県幡豆郡一色町(現 西尾市)で生まれる。
- 1969年 昭和大学を卒業する。
- 1973年 昭和大学大学院を修了する。
- 1974年 愛知県幡豆郡一色町に高須病院を開設する。
- 1976年 愛知県名古屋市に高須クリニックを開設する。
- 2011年 昭和大学医学部形成外科学(美容外科学部門)客員教授に就任する。
- インタビュー 高須克弥先生に訊け
- 25. 2022年の再生プロジェクト
- 24. 前科者の会
- 23. 高須クリニック銀座移転
- 22. GonzoさんとのCM撮影
- 21. 新型コロナウイルス第6波
- 20. 再生プロジェクト
- 19. がんを治療する
- 18. がんを発見する
- 17. 末期がんに対する挑戦的治療法
- 16. 新型コロナウイルス第5波
- 15. 本物と偽物
- 14. フェイスシールド
- 13. 医師国家試験
- 12. 昭和大学での日々
- 11. 東京オリンピック
- 10. ウィズコロナの時代に
- 09. 最近の美容外科に警鐘を鳴らす
- 08. 社会貢献活動
- 07. 愛知県に暮らす
- 06. 新型コロナウイルス
- 05. 新しい美容外科
- 04. ミケランジェロ™
- 03. 国際交流
- 02. 血液クレンジング
- 01. 美容外科のニーズ
- 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
- がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
- 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
- 私の研究 一瀬 幸人Dr. 国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究センター長
- 次代を担う君達へ 菊池 臣一Dr. 福島県立医科大学 前理事長兼学長
- 若い医師へ向けたメッセージ 安藤 正明Dr. 倉敷成人病センター 副院長・内視鏡手術センター長