コラム・連載
シーズン4 第1回 新型コロナウイルス第5波
新型コロナウイルス感染症はなかなか収束せず、現在は第5波となっていますが、この状況をどうご覧になっていますか。
私は第5波になる前に「鎖国しろ」と大騒ぎしたのに、結局は入るだけ入ってしまいました。感染が拡大してからようやく「ロックダウンしろ」と言っている専門家もいますが、入ってくる前にロックダウンしないといけないでしょう。とにかく、できるだけ早くワクチンを打って、できるだけ人と接触しないようにすることが大事です。大事なことは割と単純なんです。大昔からある疫病対策と一緒ですね。
ある専門家の先生とTwitter上で論争もされましたね。
専門家の先生から「あなたを馬鹿にはしていないけれど、あなたの感染対策は僕が包茎手術やるくらいのレベルです」みたいなことを言われましたが、あなたの手術はそんなに下手なんですかと言いたいです。包茎手術は要領を少し教えてもらえれば、誰でもうまくできるものです。その先生は最初は「私は専門家だからマスクをしない」と言っていたことを私が忘れたとでも思っているのでしょうか。その後は反省したようだったから、私も触れないでいたら、最近またおかしなことをおっしゃっているんですよね。
政府はロックダウンに踏み切れないのでしょうか。
踏み切れないも何も、自分の生命がかかっていることです。人と接触したら感染しますし、免疫力がない以上は予防注射を打っておかなければ感染する可能性が高いというのは常識的な話ですよ。踏み切る、踏み切らないではなく、本当は国が強制的にやらなければいけないことです。私たちが子どもの頃は予防注射は義務でした。新型コロナウイルスのワクチンも以前の種痘のように全員に打てばいいんです。でも、ワクチンが十分に行き渡っていません。手に入ったら片っ端から打ってしまわないといけないですね。
ワクチン接種の進行も遅いです。
本当ですね。馬鹿なことだと思います。
最近ではワクチンへの異物混入の騒動もありました。
混入しても死なないんだからいいんじゃないですか。異物といっても、人体に害のないものです。異物が混入していたのはワクチンを溶かす前の粉の部分でしょう。そこから溶かして薄めるわけだから、どのぐらいの量であれば身体に害があるのかが問題なのであって、異物かどうかはあまり問題ではありません。異物ということで騒ぎすぎなんです。
先生は早い段階で接種されましたよね。
高須病院で余っているワクチンがあれば打とうと思っていたので、すぐ打ちました。高須病院にはファイザーのワクチン用の冷凍庫があり、送られてきたワクチンをそこに保存しておき、それを西尾市などの地元の医師会の先生方にお分けしています。高須病院は地域のワクチンセンターになっているんです。
東京では三次救急の応需率が以前の4分の1ぐらいに低下し、救急車も逼迫しているとの話もあります。
アフガニスタンの空港に比べたら、まだ大丈夫です。でも、振り返ってみると、武漢での最初の取り組みが正解でしたね。患者さんが一杯入る病棟をいくつも作り、陽性者全員を隔離しました。あの病棟ではおそらく患者さんを寝かせておくだけで、治療はほとんどしなかったのでしょうが、隔離し、接触を絶たせただけでうまく沈静化させました。台湾もうまくやりましたね。日本では強権が発動できません。それはやはり政治が悪いです。東京には夜遅くまで酒を出している店が何軒もありますよね。飲み放題のお店もそれなりに流行っているようです。
2021年2月のインタビューで、高須病院ではまだ感染者が出ていないとのことでしたが、半年後の現在はいかがですか。
今も出ていませんよ。いまだに一人もいません。感染者というより、陽性者が出ていないんです。これは大威張りできる成果だと思います。
半年前に比べ、新しい取り組みをなさっているのですか。
同じです。とにかく発熱外来を病院の外で行うこと、病院内に怪しいものを一切入れないこと、面会も全部謝絶することです。面会はリモートで行っています。私は毎週土曜日は赤坂の高須クリニックにいますが、土曜日の午後に愛知県に帰り、月曜日は高須病院に出勤します。そこで、きちんと感染対策をしているかどうか、チェックしているんです。
毎週の移動も大変ですね。
緊急事態宣言の都市から緊急事態宣言の都市への移動なので、どちらの都市にとっても悪いとは言えません。一時期と比べると、新幹線の席も埋まっています。一つの車両に私しか乗っていないという時期も随分、長かったですからね。
人の流れも戻っていると言われていますね。
皆が舐めてしまったのではないですか。戦争中の空襲と同じですよ。空襲警報が何回も出ているうちに、皆が慌てなくなったんですよね。
今後の見通しをお聞かせください。
来年の夏には収束していると思います。これまでの感染症は全て収束しているんです。武漢型、イギリス型のウイルスがなくなったように、いつまでも猛威を奮うウイルスはないんです。インフルエンザが自然に収束するみたいに、新型コロナウイルスも収束します。ただ、来年の今頃は全く違うウイルスが流行っているかもしれません。ラムダ型が出てきたように、カッパ型やミュー型など、あらゆる型が出てきそうです。
著者プロフィール
著者名:高須 克弥
高須クリニック 院長
- 1945年 愛知県幡豆郡一色町(現 西尾市)で生まれる。
- 1969年 昭和大学を卒業する。
- 1973年 昭和大学大学院を修了する。
- 1974年 愛知県幡豆郡一色町に高須病院を開設する。
- 1976年 愛知県名古屋市に高須クリニックを開設する。
- 2011年 昭和大学医学部形成外科学(美容外科学部門)客員教授に就任する。
- インタビュー 高須克弥先生に訊け
- 25. 2022年の再生プロジェクト
- 24. 前科者の会
- 23. 高須クリニック銀座移転
- 22. GonzoさんとのCM撮影
- 21. 新型コロナウイルス第6波
- 20. 再生プロジェクト
- 19. がんを治療する
- 18. がんを発見する
- 17. 末期がんに対する挑戦的治療法
- 16. 新型コロナウイルス第5波
- 15. 本物と偽物
- 14. フェイスシールド
- 13. 医師国家試験
- 12. 昭和大学での日々
- 11. 東京オリンピック
- 10. ウィズコロナの時代に
- 09. 最近の美容外科に警鐘を鳴らす
- 08. 社会貢献活動
- 07. 愛知県に暮らす
- 06. 新型コロナウイルス
- 05. 新しい美容外科
- 04. ミケランジェロ™
- 03. 国際交流
- 02. 血液クレンジング
- 01. 美容外科のニーズ
- 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
- がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
- 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
- 私の研究 一瀬 幸人Dr. 国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究センター長
- 次代を担う君達へ 菊池 臣一Dr. 福島県立医科大学 前理事長兼学長
- 若い医師へ向けたメッセージ 安藤 正明Dr. 倉敷成人病センター 副院長・内視鏡手術センター長