コラム・連載
シーズン5 第4回 前科者の会
最近はよくゴルフもなさっていますね。
そうですね。ゴルフをしている最中にボールを打ち込まれて、それをリアルタイムで実況中継したこともありました。ゴルフは死ぬ間際にもできるものです。でも、先日、一緒にゴルフをする予定だった人は亡くなってしまいました。「10日ばかり入院してくる」と言うので、「そうか。出てきたらゴルフしようぜ」と約束していたのですが、入院している間に亡くなったのです。
それはお気の毒でした。
そういうかわいそうな人は少なくありません。がんがないかどうかの検査に行ったら、その検査で入院しているときに亡くなった人もいます。
皆さん、がん友の会の方々ですか。
そうです。その友の会の人たちが次々に亡くなっています。ツイッターで「コメダ珈琲に行こう」と呼びかけても、コメダ珈琲に一緒に行っていた人たちが少なくなってきました。一方で、前科者の会はメンバーがどんどん増えてきています。
前科者の会の方々とも一緒にゴルフをされているのですか。
前科者の会の人たちとはゴルフはしません。服役中の話が面白いから、聞いています。私もかつて実刑を食らったことがあります。私自身は脱税に関与していなかったものの、クリニックの代表者として所得税法違反に問われ、実刑判決を受けたことがある前科者なんです。でも服役経験はありません。だから皆と話していても、話が合わないんですよ。前科者の会は私以外のほとんどの人が服役経験者なんです。
それで、服役中の話を聞かれているのですか。
そうです。「服役中に技術を身につけてきた」という人がいて、何の技術かを尋ねたら「豚の種付けができるようになった」とか、ホリエモンこと堀江貴文さんのように「介護は任せて」という人もいます。介護が得意になった人は刑務所の中で不調になった高齢の受刑者の面倒を見ているうちに得意になっていったそうです。
前科者の会は前科があれば入れるのですか。
色々な条件があります。条件をつけておかないと、大勢が入ってしまいますからね。がん友の会はがんを持っている人だけでなく、がんが治った人も入れます。
高須病院での回診
毎週月曜日は高須病院での回診ですね。
土曜日に高須クリニック東京院で診療したあとで愛知県に移動し、月曜日は高須病院に出勤しています。
移動は新幹線ですよね。
今は新幹線です。以前はヘリコプターを使っていました。西尾市の高須病院に行くだけでなく、仙台などにもヘリコプターを使っていたんです。ただ、ヘリポートは新木場にあるのですが、新木場まで行くのが大変なので、使わなくなってしまいました。新木場から高須病院までヘリコプターで2時間ですが、新木場までの移動時間がそれに加わります。鉄道だと東京から名古屋までの新幹線が1時間半、名古屋から西尾までの名鉄が1時間半の3時間なので、ヘリコプターとあまり変わりません。それにヘリコプターは曇天や降雨で、たちまち飛べなくなります。10分の1ぐらいの確率で飛べない日があるんです。新幹線は水が出たとか、地震ぐらいでないと止まりませんからね。
最近はドクターヘリも増えてきました。
ドクターヘリも同様です。ドクターヘリだからと言って無理して出かけて事故に遭ったら、目も当てられません。ドクターヘリこそ、緊急時に向かないですね。ドクターヘリが飛ぶときに、マスメディアを呼んで、取材はさせているところもありますが、いざ飛ぶというときに台風が来ることもありえます。
以前は離島にも行っていらっしゃったのですよね。
高須クリニックや高須病院がヘリポートを整備したのは離島に行くためでした。でも、離島に飛んでいって助けるよりも、離島の人に高須病院に来ていただいて入院してもらった方が全ての人にとって、経済的にも時間的にも助かるのです。
高須病院での回診風景もツイッターで拝見しました。
患者さんから「どうぞお大事に」と言われています。回診ではマスクとフェイスシールドを着用しています。接近するとマスクは無力ですが、フェイスシールドはウイルスをはねつけるのです。ただ、SNSに自分の写真をアップするときにはウレタンマスクを使っています。これは皆様にプレゼントしていただいたもので、皆様の心が伝わってくるようで、快適な使い心地です。
高須病院では3回目のワクチン接種も進んでいますか。
進んでいます。高須病院は地域のワクチンのストック管理も担っており、モデルナ社とファイザー社のワクチンフリーザーが常時稼働しています。
著者プロフィール
著者名:高須 克弥
高須クリニック 院長
- 1945年 愛知県幡豆郡一色町(現 西尾市)で生まれる。
- 1969年 昭和大学を卒業する。
- 1973年 昭和大学大学院を修了する。
- 1974年 愛知県幡豆郡一色町に高須病院を開設する。
- 1976年 愛知県名古屋市に高須クリニックを開設する。
- 2011年 昭和大学医学部形成外科学(美容外科学部門)客員教授に就任する。
- インタビュー 高須克弥先生に訊け
- 25. 2022年の再生プロジェクト
- 24. 前科者の会
- 23. 高須クリニック銀座移転
- 22. GonzoさんとのCM撮影
- 21. 新型コロナウイルス第6波
- 20. 再生プロジェクト
- 19. がんを治療する
- 18. がんを発見する
- 17. 末期がんに対する挑戦的治療法
- 16. 新型コロナウイルス第5波
- 15. 本物と偽物
- 14. フェイスシールド
- 13. 医師国家試験
- 12. 昭和大学での日々
- 11. 東京オリンピック
- 10. ウィズコロナの時代に
- 09. 最近の美容外科に警鐘を鳴らす
- 08. 社会貢献活動
- 07. 愛知県に暮らす
- 06. 新型コロナウイルス
- 05. 新しい美容外科
- 04. ミケランジェロ™
- 03. 国際交流
- 02. 血液クレンジング
- 01. 美容外科のニーズ
- 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
- がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
- 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
- 私の研究 一瀬 幸人Dr. 国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究センター長
- 次代を担う君達へ 菊池 臣一Dr. 福島県立医科大学 前理事長兼学長
- 若い医師へ向けたメッセージ 安藤 正明Dr. 倉敷成人病センター 副院長・内視鏡手術センター長