コラム・連載
シーズン5 第3回 高須クリニック銀座移転
新しいクリニックを銀座にオープンされるそうですね。
高須クリニック東京院は港区赤坂にあるのですが、テナントとして入居しているビルの一帯を再開発するとのことで、今のビルが超高層ビルに生まれ変わるのだそうです。それで銀座に移転することにしました。
なぜ銀座を選ばれたのですか。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業や店舗が銀座からいなくなってしまいました。それで私は「逆張り」をして、銀座を選んだのです。商業施設の最上階が空いていましたので、そこに移転します。
新しいクリニックの特徴について、お聞かせください。
「新型コロナウイルス完全要塞化クリニック」です。今、多くの病医院で受診控えが起こっているのは施設内でウイルスに感染するのが怖いと思っていらっしゃる方が増えているからです。感染している人が院内に入ってきたら、その人がマスクをしていたとしても、飛沫が飛んでくるかもしれません。新型コロナウイルスはエアロゾル感染もあります。よく「マスクは無駄ではないか」「目は大丈夫なのか」という声も聞きますが、空中にあるウイルスを全部退治したら、マスクも不要になります。
どのように退治するのですか。
紫外線を使います。ウイルスは紫外線に弱く、紫外線のもとではどんなウイルスも死んでしまいます。ただ紫外線を浴びると、人間の肌も痛みますし、目もやられます。そこで、肌にダメージがなく、目もやられない紫外線の装置をクリニック内の要所に設置することにしました。
どのような装置なのでしょうか。
ウシオ電機さんが開発した「Care222®」です。これまで紫外線によるウイルスの不活化や殺菌には波長254nmの紫外線が使われていたのですが、それだとやはり日焼けなどの皮膚障害、皮膚がん、白内障といった病気が発生するリスクが高く、人体への直接照射は避けられてきました。しかし、このCare222®はエキシマランプと特殊な光学フィルタが組み合わされていて、人体に影響が少ない200nmから230nmの紫外線だけを照射します。人体に危険な波長をフィルタでカットしてくれるんですね。これで、ウイルスや細菌が付着しやすい器具や衣服といった環境表面や空間に対して、有人監視下で直接照射することで、ウイルスを抑制したり、除菌が可能になるそうです。
殺菌力が高いのですね。
乾燥したプラスチック上の新型コロナウイルスに対し、222nmの紫外線を30秒照射したところ、99.7%の割合で感染力を失ったそうです。私自身のこれまでの蓄積とこうした新技術で、要塞化したクリニックを作っていきます。
ほかに銀座院の特徴はありますか。
次世代のクリニックだということですね。できるだけ高須克弥の色を薄くしようとしています。嫁たちが中心になって、準備を進めているところです。おとっつぁんである私が出ていくと、昔のスタイルになってしまいますからね。私は今、「お金持ちおばさん以外は来るな」と言って、高齢の方ばかりを診ています。
銀座で診療はなさらないのですか。
しますよ。最初は私が行かないと、誰も分からないでしょうし、医師の引き継ぎも必要です。
医師の採用もされますか。
私どもでは医師は豊富に在籍しているので、今回は採用しません。赤坂から銀座に移転するだけですので、医師数は同じでいいのです。
新しいクリニックも楽しみですね。
いえ、面倒なことも多いですよ。楽しみなのは新しいクリニックでお仕事をする方々ではないでしょうか。設計してくださる方、施工してくださる方、テナントとして物件を貸し出してくださる方といった方々は楽しみにお仕事をしてくださっているようです。
著者プロフィール
著者名:高須 克弥
高須クリニック 院長
- 1945年 愛知県幡豆郡一色町(現 西尾市)で生まれる。
- 1969年 昭和大学を卒業する。
- 1973年 昭和大学大学院を修了する。
- 1974年 愛知県幡豆郡一色町に高須病院を開設する。
- 1976年 愛知県名古屋市に高須クリニックを開設する。
- 2011年 昭和大学医学部形成外科学(美容外科学部門)客員教授に就任する。
- インタビュー 高須克弥先生に訊け
- 25. 2022年の再生プロジェクト
- 24. 前科者の会
- 23. 高須クリニック銀座移転
- 22. GonzoさんとのCM撮影
- 21. 新型コロナウイルス第6波
- 20. 再生プロジェクト
- 19. がんを治療する
- 18. がんを発見する
- 17. 末期がんに対する挑戦的治療法
- 16. 新型コロナウイルス第5波
- 15. 本物と偽物
- 14. フェイスシールド
- 13. 医師国家試験
- 12. 昭和大学での日々
- 11. 東京オリンピック
- 10. ウィズコロナの時代に
- 09. 最近の美容外科に警鐘を鳴らす
- 08. 社会貢献活動
- 07. 愛知県に暮らす
- 06. 新型コロナウイルス
- 05. 新しい美容外科
- 04. ミケランジェロ™
- 03. 国際交流
- 02. 血液クレンジング
- 01. 美容外科のニーズ
- 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
- がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
- 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
- 私の研究 一瀬 幸人Dr. 国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究センター長
- 次代を担う君達へ 菊池 臣一Dr. 福島県立医科大学 前理事長兼学長
- 若い医師へ向けたメッセージ 安藤 正明Dr. 倉敷成人病センター 副院長・内視鏡手術センター長