医者が知らない医療の話
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第49回

日常の診療ネタ

《 2021.10.10 》

 この頃あまりアカデミックな話題が無い。例のワクチンで時間取られてるのもあるが、停滞期と言うか、未だ結果が出ていない。「上清液」にしても、色々あるうちの面白いと思う「骨髄幹細胞」の上清液は担当者が、このコロナ禍、なんとヨーロッパ出張だって。隔離期間考えるとしばらく会えない。

 中国の教授だって、「ワクチン打ちたいから日本行くね。」とか言ってるけど一向に来れる気配がない。中国は今、共産党の幹部だけじゃなく、経済人も出国できなくなってきてるから、大きなところの社長は財産守るのに結構必死だ。もっとも私の周りの日本に居る中国の面々は政府に目を付けられるほどの大物でないので、結構景気いいのだが。

 何事も「小金のある庶民」が一番幸せって言うからなぁ。小金というのがどのくらいかがミソなのだが。例の教授もきっと小金は稼いでるはずだけど、妙に社会的地位があるので動きにくいみたい。あの立場で、シノファームのワクチン打たないでかわしてるだけでも大したもんだけど。

 私も何もしていないのじゃ無いのだが、NMN投与した人達も投与期間が終わった人達が出て来たので、テロメア測ってんだけど結構時間かかるので未だ結果出てない。更に例の研究者と添加物を入れて効果倍増を図る実験もしてるのだけど、未だ出来てない。これは私だけの責任じゃ無いのだが、何せ相手は気が乗らないと動かないので・・・。

 で、日常の診療ネタになるけど、ちと気になった件があって。コロナの患者さんから電話が来て、後遺症が続いていると言う。コロナの自主隔離期間終わったけど、頭痛など色々症状が続いていると。「PCRは陰性になったんですか?」「いいえ、陽性です。」「それって、後遺症というより、未だ感染症状ですよね?」「いいえ!隔離期間が終わったのでコロナは治りました!」「でも、症状が続いているし、未だPCR陽性なんでしょう?」「何を言ってるんですか!保健所に聞くとPCRは何ヶ月も陽性に出る事があるのであてにならないと言ってました。先生、少し勉強してください!がっかりです!」。めんどくさいのでお断りした。

 それにしても、保健所がPCR指標にならないって。今までのコロナの検査を全否定するような話じゃありませんか。もっとも、こんな調子の人だから、シツコク詰め寄って、保健所の人も「まあ、当てにならないこともあります。」程度の話を都合よく解釈したんだろうけど。

 ワクチンの事も、色々な意見があるが、「思い込んでる人」は説得できないね。時間と労力の無駄ですね。もちろん、疑問点は説明しますよ。でも、「思い込んでる人」は無理ですね。皆さんもこんな患者さんいてるでしょ。今回はこの辺で。

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著者プロフィール

中川 泰一 近影Dr.中川 泰一

中川クリニック 院長

1988年関西医科大学卒業。
1995年関西医科大学大学院博士課程修了。
1995年より関西医科大学附属病院勤務などを経て2006年、ときわ病院院長就任。
2016年より現職。


バックナンバー
  1. Dr.中川泰一の
    医者が知らない医療の話
  2. 86. マクロファージと不妊治療
  3. 85. 中国での幹細胞治療解禁
  4. 84. 過渡期に入った保険診療
  5. 83. 中国出張顛末記Ⅲ
  6. 82. 中国出張顛末記Ⅱ
  7. 81. 中国出張顛末記
  8. 80. 保険診療と自由診療
  9. 79. マクロバイオームの精神的影響について
  10. 78. マクロバイオームの遺伝子解析Ⅲ
  11. 77. マクロバイオームの遺伝子解析Ⅱ
  12. 76. 中国訪問記Ⅱ
  13. 75. 中国訪問記
  14. 74. 口腔内のマクロバイオームⅡ
  15. 73. 口腔内のマクロバイオーム
  16. 72. マクロバイオームの遺伝子解析
  17. 71. ベトナム訪問記Ⅱ
  18. 70. ベトナム訪問記
  19. 69. COVID-19感染の後遺症
  20. 68. 遺伝子解析
  21. 67. 口腔内・腸内マクロバイオーム
  22. 66. 癌細胞の中の細菌
  23. 65. 介護施設とコロナ
  24. 64. 訪問診療の話
  25. 63. 腸内フローラの影響
  26. 62. 腸内フローラと「若返り」、そして発癌
  27. 61. 癌治療に対する考え方Ⅱ
  28. 60. 癌治療に対する考え方
  29. 59. COVID-19 第7波
  30. 58. COVID-19のPCR検査について
  31. 57. 若返りの治療Ⅵ
  32. 56. 若返りの治療Ⅴ
  33. 55. 若返りの治療Ⅳ
  34. 54. 若返りの治療Ⅲ
  35. 53. 若返りの治療Ⅱ
  36. 52. ワクチン騒動記Ⅳ
  37. 51. ヒト幹細胞培養上清液Ⅱ
  38. 50. ヒト幹細胞培養上清液
  39. 49. 日常の診療ネタ
  40. 48. ワクチン騒動記Ⅲ
  41. 47. ワクチン騒動記Ⅱ
  42. 46. ワクチン騒動記
  43. 45. 不老不死についてⅡ
  44. 44. 不老不死について
  45. 43. 若返りの治療
  46. 42. 「発毛」について II
  47. 41. 「発毛」について
  48. 40. ちょっと有名な名誉教授とのお話し
  49. 39. COVID-19と「メモリーT細胞」?
  50. 38. COVID-19の「集団免疫」
  51. 37. COVID-19のワクチン II
  52. 36. COVID-19のワクチン
  53. 35. エクソソーム化粧品
  54. 34. エクソソーム (Exosome) − 細胞間情報伝達物質
  55. 33. 新型コロナウイルスの治療薬候補
  56. 32. 熱発と免疫力の関係
  57. 31. コロナウイルス肺炎 III
  58. 30. コロナウイルス肺炎 II
  59. 29. コロナウイルス肺炎
  60. 28. 腸内細菌叢による世代間の情報伝達
  61. 27. ストレスプログラム
  62. 26. 「ダイエット薬」のお話
  63. 25. inflammasome(インフラマゾーム)の活性化
  64. 24. マクロファージと腸内フローラ
  65. 23. NK細胞を用いたCAR-NK
  66. 22. CAR(chimeric antigen receptor)-T療法
  67. 21. 組織マクロファージ間のネットワーク
  68. 20. 肥満とマクロファージ
  69. 19. アルツハイマー病とマクロファージ
  70. 18. ミクログリアは「脳内のマクロファージ」
  71. 17. 「経口寛容」と腸内フローラ
  72. 16. 腸内フローラとアレルギー
  73. 15. マクロファージの働きは非常に多彩
  74. 14. 自然免疫の主役『マクロファージ』
  75. 13. 自然免疫と獲得免疫
  76. 12. 結核菌と癌との関係
  77. 11. BRM(Biological Response Modifiers)療法
  78. 10. 癌ワクチン(樹状細胞ワクチン)
  79. 09. 癌治療の免疫療法の種類について
  80. 08. 食物繊維の摂取量の減少と肥満
  81. 07. 免疫系に重要な役割を持つ腸内細菌
  82. 06. 肥満も感染症? 免疫に関わる腸の話(2)
  83. 05. 肥満も感染症? 免疫に関わる腸の話(1)
  84. 04. なぜ免疫療法なのか?(1)
  85. 03. がん治療の現状(3)
  86. 02. がん治療の現状(2)
  87. 01. がん治療の現状(1)

 

  • Dr.井原 裕 精神科医とは、病気ではなく人間を診るもの 井原 裕Dr. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科教授
  • Dr.木下 平 がん専門病院での研修の奨め 木下 平Dr. 愛知県がんセンター 総長
  • Dr.武田憲夫 医学研究のすすめ 武田 憲夫Dr. 鶴岡市立湯田川温泉リハビリテーション病院 院長
  • Dr.一瀬幸人 私の研究 一瀬 幸人Dr. 国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究センター長
  • Dr.菊池臣一 次代を担う君達へ 菊池 臣一Dr. 福島県立医科大学 前理事長兼学長
  • Dr.安藤正明 若い医師へ向けたメッセージ 安藤 正明Dr. 倉敷成人病センター 副院長・内視鏡手術センター長
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